横井也有

  • しわがよるほくろができる背がかがむあたまがはげる毛が白くなる
  • 手はふるう足はよろつく歯はぬける耳は聞こえず目はうとくなる
  • またしても同じ話に孫自慢達者自慢に古きしゃれいう
  • くどくなる気短かになるぐちになる思いつくことみな古くなる
  • 身にそうは頭巾えり巻きつえめがね湯婆温石にしびんまごの手
  • 聞きたがる死にともながるさびしがるでしゃばりたがる世話やきたがる
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4 Responses to 横井也有

  1. shinichi says:

    甲子夜話

    by 松浦静山

    松浦静山は『甲子夜話』続編に次のような狂歌を引用した。自戒と自嘲をこめて「自ら恥じる所なり」と述べながら。

    ・皺がよるホクロが出来る背がかがむ 頭は禿げる毛は白くなる
    ・手はふるう足はひょろつく歯は抜ける 耳は聞こえず目は疎くなる
    ・身にあうは頭巾襟巻杖めがね たんぽ温石しびん孫の手
    ・くどくなる気短になる愚痴になる 思いつくこと皆古くなる
    ・聞きたがる死にともながる淋しがる 出しゃばりたがる世話焼きたがる
    ・又しても同じ話に孫ほめる 達者自慢に人をあなどる

    これらの狂歌の原作は、尾張藩士で俳文集「鶉衣』の著者として知られる横井也有(1702~83)である。

  2. shinichi says:

    横井也有は天明3年(1783)に 82歳で亡くなった。死後、その写本の一部を読んで感激した狂歌師大田蜀山人が出版したのが『鶉衣』。

    奈良団賛 ならうちわのさん
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz01.html

    長短解 ちょうたんのかい
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz02.html

    摺鉢伝 すりばちのでん
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz03.html

    餅辞 もちのじ
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz04.html

    隅田川涼賦 すみだかはすずみのふ
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz05.html

    謝無馳走辞 ぶちそうをしゃするじ
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz06.html

    鍋蓋額賛 なべぶたがくのさん
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz07.html

    俳席之掟 はいせきのおきて
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz08.html

    鼻箴 はなのしん
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz09.html

    手水鉢銘 ちょうずばちのめい
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz10.html

    名徳利説 とくりになづくるのせつ
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz11.html

    楽老記 らくろうのき
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz12.html

    借物の弁 かりもののべん
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz13.html

    猫自画賛 ねこのじがさん
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz14.html

    断酒辞 だんしゅのじ
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz15.html

    恋説 こいのせつ
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz16.html

    妖物論 ばけもののろん
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz17.html

    知雨亭記 ちうていのき
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz18.html

    あてがき歌仙 あてがきかせん
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz19.html

    衆魚譜 しゆうぎよのふ
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz20.html

    弔不幸文 ふかうをてうするぶん
    http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/y_uz21.html

  3. shinichi says:

    横井也有「蘿葉集」抄

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    柱にもまたるゝ花やはつ暦

    鬼を山が笑ひかへすや明の春

    君よりは身のため寒し若菜売

    此村に一えだ咲きぬ梅の華

    背戸までの野ごゝろつきぬ梅の花

    梅がゝや耳かく猫の影ぼうし

    花散て葉のなき梅の又寒し

    傘にふり下駄に消けり春の雪

    まだ去年の暦も棚に寒さ哉

    珍しう蚤のくふ夜や春の雨

    うぐひすを夜るにして聞朝寝哉

    黄鳥や二声めには余所の藪

    武者絵にはあしらひにくき柳哉

    上へまだ延ぬでもなき柳かな

    屋根ふきにたばねられたる柳哉

    猿曳も月やほしがる戻り道

    障子には夜明のいろや朧月

    三日月のしばらくながら朧かな

    鶏にかげろふもゆる垣根哉

    出代の伊達やこゝろの浅黄うら

    出がはりや行燈に残す針の跡

    寺町や猫と涅槃の恋無常

    花に啼絵になく鳥や涅槃像

    青海苔にさく白魚のさかり哉

    万歳の畑うつ頃や桃の花

    桃のさく頃や湯婆にわすれ水

    永ひ日を幕にたゝむやさくら狩

    開帳の庭にほしがるさくらかな

    蝶々や花盗人をつけてゆく

    うらみ寝の猫やおもひの煙出し

    をよぐ田も飛ぶ田も有て蛙哉

    一夜寝た妻に尾やひく雉の声

    笠着れば一重へだゝる雲雀哉

    蓬莱に見るや浮世の慾ぞろへ

    老の腰摘にもたゝく薺かな

    公家の手に豆出かしたる子の日哉

    こゝ迄の下駄の跡ありんめの花

    矢場もまだ片肌寒し梅のはな

    梅の散るあたりや炭の明俵

    うぐひすや耳に千鳥の凍どけぬ

    鶯や土へは下りぬ身だしなみ

    鶯や名は雲雀より上に啼

    枝はいと糸は枝なるやなぎ哉

    池水に蛙の波やおぼろ月

    翌日の空どちらへならむ朧月

    菜の花や揚ゆく駕の片簾

    売捨に出るやきのふの田螺取

    出代や人浮雲の二日月

    涅槃会やされども雁は生別れ

    山寺の春や仏に水仙花

    蛤の茶屋も吐べき潮干哉

    名を呼べば口紅はげて桃の花

    ひなの日や蔵から都遷しあり

    一本にかたまる人やおそ桜

    袷縫ふまどに盛やおそ桜

    くさめして見失ふたる雲雀哉

    骨折て落る時見る雲雀哉

    二つ啼くひとつは見出すひばり哉

    山吹やとへばこたへの比丘尼寺

    実のために枝曲られて梨子の花

    折る人に秋の欲なし梨子の花

    香久山に赤ひもの干すつゝじ哉

    躑躅さく谷やさくらのちり所

    ゆく春や一寸先は木下やみ

    行春や送る門には松もなし

     

    ____________________________________________

    すがたみにうつる月日や更衣

    夏たつや衣桁にかわる風の色

    ほとゝぎす三日聞ねば初音哉

    まつ恋に捨る夜明を郭公

    ほとゝぎす仏師も耳を刻むとき

    卯の花や手で追ふ程の蚊のゆふべ

    竹の子や寝た鶯に名もたゞず

    杣の手に明てゆく夜や木下やみ

    延るほど鷺はみじかき青田哉

    こき交るものなき夏の柳哉

    隠居家にかくし子鳴るや紙幟

    所化寮の窓に夜明の蚊やり哉

    骨折をくべて木挽のかやりかな

    貴ぶねへも火はいたゞかで飛螢

    我やみへもどる夜明のほたる哉

    飛ぶ螢いつの涼の蒲むしろ

    夜があけて骨折見えず螢がり

    青梅に匂ひもあらば五月やみ

    人が門たゝけば逃るくゐな哉

    村中にひよつと寺あり椶櫚の花

    鮓売も人におさるゝ祭かな

    草刈の手に残りけり祭笛

    初蝉の耳まで来たる暑哉

    井戸ほりの浮世へ出たる暑かな

    子福者といわれて蚊やの暑かな

    唐秬の中ゆく笠のあつさ哉

    くらがりに座頭わすれてすゞみかな

    糞とりが来て風よごす涼かな

    むかしむかし祖父も川へと涼哉

    白雨や揚る大工にさす日影

    昼がほやどちらの露も間に合ず

    ひる顔やかり橋残る砂河原

    ゆふ顔や大工にわたす行水場

    タがほや月の鏡もまたでさく

    葛に汲水の行ゑや御禊川

    芳野をも見ずにことしも袷かな

    馬士に馬のみゝありほとゝぎす

    聞かぬとし有も命ぞ蜀魂

    いつも初音ましてはつ音の時鳥

    みじか夜や蚤ほとゝぎす明のかね

    短夜や棚に鼠の明のこり

    蝶々も来て乳を吸ふや花御堂

    我門へ尻の近よる田植かな

    刈るときに産む腹もあり早苗取

    小便はよその田へして早苗とり

    筍や盗人に縄かけらるゝ

    雪隠の小城を責る蚊遣り哉

    もやすでも消すでもなふて蚊遣り哉

    捨た身も喰せまいとてかやり哉

    蚊はこちへはいる隣のかやり哉

    憎ひ蚊と同じ盛のほたる哉

    橋の下ちぎれて通る螢かな

    ふたつとも飛ぱず雨夜の螢かな

    取らるゝも口ゆへならで螢かな

    昼見てはきたなひ水に螢かな

    手すさびの扇も芥子に嵐哉

    最ひとつのつれ見付けり初茄子

    夕暮の蟻握りこむ牡丹哉

    胸をやむ人を似せてや百合の花

    草刈にお手はと問はば金銀花

    影法師を寺にも建る幟かな

    幟とも竹のよしみや笹粽

    言ひまけて一羽は立か行々子

    さりながら人事いはず行々子

    さみだれや入日いり日を見せながら

    五月雨や背戸に盥の捨小ぶね

    男より女いそがしさ月晴

    傘にたゝみこみけり鍋牛

    寝くらして鷺は染らぬ青田かな

    箒木やまた蜘の巣に負て居る

    ゆふ顔や挑灯つるす薬師堂

    昼寝した手に持て居る団かな

    雪隠に去年ながらのうちはかな

    此松も柳にしたき清水かな

    土用干や袖から出たる巻鯣

    物申の声にもの着るあつさ哉

    傾城の汗の身をうる暑哉

    牛も笛もなき草刈のあつさ哉

    涼しさを祈り過てや羽ぬけ鳥

    しからるる子の手に光る蛍かな

     

    ____________________________________________

    寝過して大工来にけり今朝の秋

    千葉どのゝ庭にもけさは一葉かな

    馬はあれど牛や木幡の星迎

    蓑むしも父よぶころや魂祭り

    蚊のしらぬ客あはれ也魂まつり

    おくり火の跡は此世の蚊やり哉

    長ひ夜を輪にして明すおどり哉

    日ぐらしや木に啼むしはまだ暑し

    はたをりや娵の宵寝を謗る時

    虫のねの掃れて遠し寺の庭

    タぐれや蚊を聞かへて荻の風

    鹿なけと戻るか奈良の晒売

    蜘の囲のはしらによはき薄かな

    晴てけさ空はよごれぬ野分哉

    雁よりは哀も低しわたり鳥

    鵙啼や夕日の残る杉の末

    すり減らす秋や木賊に風の音

    狩人にこそ角はあれ鹿の声

    芋の葉や蓮かと問へばかぶり振る

    井戸からもひとつ汲けりけふの月

    美濃近江起てやかたるけふの月

    鐘撞や我手におしむけふの月

    芋むしに啼音もあらばけふの月

    芋よりも名はさゝげにぞ十六夜

    鮓うりを垣からまねく穂蓼哉

    昼からの鍋にしかける夜寒哉

    富士はたゞ袴に着たる錦かな

    丸ふ咲て月に見せけりけふの菊

    辻番も一もと菊のあるじかな

    もる軒に時雨もちかし後の月

    菊畑にのこる星あり後の月

    不破のあれ芭蕉に見るや後の月

    上を見ぬ目にも欲あり菌狩

    蓑虫の父よと呼ばかゝし哉

    売家の直は下りけり蔦かづら

    ゆく秋や尻も結ばぬ糸すゝき

    行秋の時雨そふなと急ぎけり

    秋来ぬと聞や豆腐の磨の音

    折る指もけふから秋ぞ百日紅

    秋なれや木の間木の間の空の色

    牛牽て恋草かりや天の川

    うしや今宵天の河原の茶挽草

    七夕や葛ふく風は夜明から

    星の床まだ仕廻ずや明の雲

    魂棚や不順も順に置直し

    送り火やわかれた人に別れあり

    ゆふがほや隣から来て秋にさく

    曲て寝る枕も痩て老の秋

    覚書して捨られぬあふぎ哉

    蕣の世にさえ紺の浅黄のと

    あさかほや団扇は椽に宵のまゝ

    朝かほの垣や浴衣のほし忘れ

    乱るゝは風の当字や蘭の花

    鬼灯を妻にもちてや唐がらし

    拍子ぬく雁や堅田を直通り

    文にあまる言伝もあり雁のこゑ

    鶏頭に牛の刀の野分かな

    雲さはぎ米買ひさはぐ野分哉

    鬼灯や覗て見れば門徒寺

    掃溜のにしきや蓼の花ざかり

    むしの後人の機織る夜寒哉

    桐の葉も掃くほど落て月夜哉

    芋売は銭にしてから月見かな

    姨捨や芋は親うるけふの月

    十六夜や足して詠る星ひとつ

    いざよひの芋や十日の菊の顔

    栗栖野に垣も謗らずきくの花

    わたとりの笠や蜻蛉の一つづゝ

    そら鞘の闇残りけり後の月

    蚊の声の誰尋ねてか秋の暮

    盗人のとゞかぬ所熟柿かな

    秋風のしまひは白き尾花哉

    ゆく秋や取落したる月の欠

    あきの別れ石ともならで女郎花

    柿一つ落ちてつぶれて秋の暮

     

    ____________________________________________

    蜘の巣に禰宜がかゝるや神無月

    寝覚れば月寝覚れは時雨哉

    笛のねのいつからやみて冬の月

    うどんやへ銭のふり込む時雨哉

    木がらしや海へとらるゝ鐘の声

    うえ下のさびしさになる落葉哉

    老僧の仕事出来たる落葉かな

    手折れて跡は冬木や帰り花

    張物に蝿の小紋や小六月

    去年より似合ふてつらき紙子哉

    ひろふたを嗅げば坊主の頭巾かな

    降ものはしれねど曇る寒かな

    居風呂のあつうて入れぬ寒かな

    引越た鍛冶やの跡の寒かな

    すみ売にそばえて猫のよごれけり

    あし跡を浪にとらるゝ千鳥かな

    散ものも木の葉の後は千どり哉

    娵(よめ)もはや世帯じみたり根深汁

    女房に一夜ふられむ恨深汁

    四五寸の錦は残る枯野かな

    塩うりの霜こぽし行かれ野哉

    隣から起て戻るや雪の竹

    鐘つきのおこしてゆくや雪の竹

    水仙やたけの子ほどは盗まれず

    雪の橋雪から雪へかけにけり

    うづむとは火にさえ寒し夜の雪

    鯨つく日や七浦にかえり花

    瓢箪に頭巾は着せず鉢たゝき

    明やすき水鶏も有を鉢敲

    きかぬ匙杓子にかへて薬ぐひ

    牛の背にあられ走るや年の市

    実に泣傾城もありとしの暮

    兎より人こそはしれ年の浪

    川越しの銭にも成らぬ時雨哉

    傘持て出たれば逢はぬしぐれ哉

    相傘に片袖づゝをしぐれかな

    一本は染る鞠場の時雨かな

    二三枚絵馬見て晴るしぐれかな

    鶯の其手はくわぬ小春かな

    拍手もかれ行森や神無月

    木がらしや風に有名の呼びじまい

    林間に風呂たく迄の落葉哉

    こちの木を隣でもはく落ば哉

    太夫にもならぬ木どもは落葉かな

    朝々の釣瓶に上がる落葉かな

    木に置て見たより多き落葉哉

    五六羽の鴉下り居る枯の哉

    根深煮る色こそ見へね冬籠

    茗荷畑ありしあたりか忘れ花

    其寒さ煮て取かへせ大根引

    霜を踏む世わたり辛し大根引

    茶の花や是から寺の畑ざかひ

    木守の柚に来て啼やみそさゞゐ

    さむしかれぬは鴛の中ばかり

    釣針の智恵にかゝらぬ海鼠哉

    一日の炭撫減らす火桶かな

    似合ぬとむかしいはれし紙衣哉

    寂しさを砧にきかで紙衣哉

    夢よりは先へさめたる湯婆哉

    鷹匠の五十越したる寒かな

    朝めしに三度鼻かむさむさ哉

    萩かれて雪隠見ゆる寒かな

    邪魔が来て門敲きけり薬喰

    飛鳥川けふもきのふの氷哉

    雪の夜や鐘つく人もあれぱある

    業平も何ぞと問はで千どり哉

    化物の正体見たり枯尾花

     

    ____________________________________________

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