野口晴哉

万病の因と言われ、また一方で「たかが・・・」と軽く見過されている風邪。風邪に対する一般通念からすれば、本書の表題は極めて奇異なものとして映るかも しれない。しかし著者は、独自の観点から風邪は治すべきものではない、経過すべきものであると主張する。人間は心身の偏り疲労が限界に達したとき、それを 調整すべく、自律作用として風邪をひくと言うのである。
著者は、風邪を病理的に捉えるのではなく、謂わば健康の自然法として捉えている。自然な経過を乱しさえしなければ、風邪をひいたあとは、あたかも蛇が脱皮するように、新鮮な体になるとする主張は、極めて説得力に富んでいる。
著者独特の自然観から編みだされた「経過する」というユニークな概念は、「闘病」という言葉に象徴される現代の病気に対する考え方を一変させる可能性をもっている。

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