富のない社会

金持ちが貧乏人を見る目は
思いのほか厳しい
そこに見えてくる貧乏人は
自分たちを被害者と位置づける人たちで
政府には自分たちの面倒をみる責任があると思っていて
働く意思もなく
税金もまともに払っていないのに
医療や教育を無料で受ける権利があるとか
人権が侵害されているとか
勝手なことばかり言う

貧乏人が金持ちを見るときは
憎しみにも似た感情が混じる
金持ちは貧乏人から吸い上げた富を独占し
政府に影響を及ぼし法律を曲げ
出来上がった不公平な仕組みが不平等を大きくし
金持ちはなんにもしないのに富が増え
貧乏人は働いても働いても貧乏で
金持ちは豪邸に住み高級車に乗り
おいしいものを食べていい思いばかりしている
金持ちを許してなるものか
のさばらしてばいけない
自分たちは
不当な扱いを受けていると思っている

金持ちは自分たちこそが
不当な扱いを受けていると思っている
貧乏人の何倍も働き財産を築いた
努力をしてスキルを蓄えカネを稼いだ
リスクを取って命がけで生きてきた
富は親から受け継いだものではない
ぜんぶ自分が働いたおかげだ
そういう自負があればこそ
働かない貧乏人が貧しいのは
仕方がないと言ったりする
努力をした人が努力にふさわしい富を得るのは当然だとか
努力にふさわしい成果を手にする仕組みは正しいだとか
そんなことを主張する

努力をしても富を生み出せない人がいて
努力すらできない人もいて
そういう人たちのことを
思い浮かべることのできない
想像力のない人々が
弱い人への思いやりを
持てるわけもなく
自由経済などと言われた人たちが
納得できるわけもないから
話し合おうとする人はどこにもいない

金持ちがもし貧民街で生まれていたら
金持ちになれただろうか
貧乏人がまともな教育を受けてきたら
貧乏人のままなわけはないだろうに
金持ちがシアトルの裕福な家庭でなく
ハルゲイサの極貧のなかで生まれていたら
貧乏人がハルゲイサの極貧のなかでなく
シアトルの裕福な家庭で生まれていたら

富は誰かのものではないはず
社会全体のものでもないはず
人生は所詮ゲームだけれど
ゲームにはルールが必要で
ルールはフェアなものでなけれはならない

フェアとは
金持ちにとってのフェアではないはずで
貧乏人にとってのフェアでもないはず
フェアとは
富を個人のものとして独占することでもなく
社会のものとして独占することでもない
フェアとは
金持ちも貧乏人もいない
緊張のない
いい状態
でも
人がいる限り
そんな状態は絶対に生まれない

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2 Responses to 富のない社会

  1. shinichi says:

    (sk)

    第42作
    Wealthless Society

    Buttonwood
    https://kushima38.kagoyacloud.com/?p=33663
    にインスパイアされて。

  2. shinichi says:

    The Wealth of Humans: Work, Power, and Status in the Twenty-first Century

    by Ryan Avent (Author)

    (2016)

    None of us has ever lived through a genuine industrial revolution. Until now.

    Digital technology is transforming every corner of the economy, fundamentally altering the way things are done, who does them, and what they earn for their efforts. In The Wealth of Humans, Economist editor Ryan Avent brings up-to-the-minute research and reporting to bear on the major economic question of our time: can the modern world manage technological changes every bit as disruptive as those that shook the socioeconomic landscape of the 19th century?

    Traveling from Shenzhen, to Gothenburg, to Mumbai, to Silicon Valley, Avent investigates the meaning of work in the twenty-first century: how technology is upending time-tested business models and thrusting workers of all kinds into a world wholly unlike that of a generation ago. It’s a world in which the relationships between capital and labor and between rich and poor have been overturned.

    Past revolutions required rewriting the social contract: this one is unlikely to demand anything less. Avent looks to the history of the Industrial Revolution and the work of numerous experts for lessons in reordering society. The future needn’t be bleak, but as The Wealth of Humans explains, we can’t expect to restructure the world without a wrenching rethinking of what an economy should be.

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