日本にあったもの

古のむかしから影響を与えてきた
中国文明と
近代になって影響を与えはじめた
欧州文明のはざまで
私たちは元々あった大事なものを
いつのまにかなくしてしまった
あらゆる生き物を思いやる心とか
ちょっとしたことへの気遣いとか
そんな諸々を忘れてしまったのだ

所作とか言葉遣いとか 身だしなみ
調和を乱さないための 慎みぶかさ
もてなすときの こころの有りよう
もてなされるときの 感謝の気持ち
自然の微かな動きを 見逃さない目
季節の変化を 美しいと思える感性
季節に合った言葉を 選びとる感覚
月を見上げる習慣や 暦を貴ぶ知恵
言葉に心を込め 思いを込める能力

そんな諸々を 古くさいものと思い
見向きもしない人たちは
中国文明の真似に 時間をついやし
欧州文明の吸収を 学ぶことと思い
無駄なエネルギーを使ってきた
見向きをしないだけでなく
避けたり嫌ったりする人も多く
日本的なものは もうどこにもない
あるのは ビジネスのための日本と
日本ではない日本ばかり
季節のない都会にいるのは
パスポートが日本国なだけの日本人と
カタカナばかりの日本語を話す人たち
僕もそのなかのひとりなのが
なんとも腹立たしいけれど
なにかというと日本という言葉を口にする人たちに比べれば
まだましなのかもしれない

One thought on “日本にあったもの

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