ユーカリ

オーストラリアの森林火災は予想される範囲を超えて
大きく広がった

すべての山火事が鎮火したというタイミングでドライブに出かけ
両脇のまる焦げになったユーカリの木々を見た
いつまでも黒い木々が続く景色は異様だった
交通標識が溶けてしまうようななかで
真っ黒に焼けているのに目にも鮮やかな緑の芽を出しているユーカリ
なんという生命力だろうと感動した

ただ調べてみると感動するようなことではない
山火事が大きくなった原因のほとんどがユーカリなのだ

ユーカリの葉はテルペンを放出するのだがテルペンは引火性なので
何かの原因で発火したら燃え広がって大きな山火事になる
ユーカリの樹皮は燃えやすく火がつくと幹から剥がれ落ちるのだが
幹の内側は燃えずに守られる
ユーカリの根は栄養をたくわえていて
火事の後も成長し続けることができ
新しい芽を出す

美しい花をつけ かぐわしい香りを放ち
鳥や動物を惹きつけ続けてきたユーカリが
長年にわたって邪魔に思ってきた下草や低木を焼き尽くし
焼畑農業のように土壌を良くする
そんなことを何百年何千年何万年も繰り返してきたユーカリ
まさに恐るべしだ

自分たちが快適に生きるためならなんでもやるっていうことを
人がやって来る前からずっと長いあいだ続けてきたのだと思うと
ユーカリに対してなんともいえない気分になった

One thought on “ユーカリ

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