人権

1948年12月10日の第3回国際連合総会で
Universal Declaration of Human Rights (世界人権宣言)
が採択された

「Universal」は「世界」と訳されているが
「普遍的」と訳したほうが
人権宣言の持つ意味が正確に伝わるように思う

この宣言が人類にとって普遍的だというのだ

人権という言葉は
フランス革命の頃からよく使われてきてはいたが
頻繁に使われるようになったのは
第二次世界大戦後のこと
それも国連での宣言の採択以降のことと言っていいだろう

第二次世界大戦後の人権の台頭は
戦争直前のキリスト教会での「人間の尊厳の擁護」の議論に始まる
カトリック教会とプロテスタントサークルは
キリスト教の信仰にとって最後の黄金時代となりうる議論に熱中した
そして人間の尊厳がキリスト教の政治的言説の中心になっていった
戦時中にローマ法王は
世界の原則としての普遍的人権の基本的な考え方が発表し
第二次世界大戦後の西欧の政府やキリスト教民主党の勢力は
信心深い信仰の公の表現に真剣に向き合って
人権は 冷戦の初期に 西側にとっての強力な武器となっていった

キリスト教の流れをくむ政党が統治する戦後の民主主義のなかでは
人権は最大限に利用され 個人に道徳的制約を課す役割も負った
イスラム教徒の移民はキリスト教の人権という考えに同化させられ
人権はじわじわと世界中の普遍的な価値へと変貌していった

日本では人権は独自の発展をとげ
部落解放をはじめとした役割を果たしてきたが
グローバル化が進むなかで
世界中の人権が日本になだれ込み
いつのまにか人権が普通に話されるようになった

人権は日本には馴染まないなどと言っていた人たちも
海外の人と同じように人権を口にする
いいか悪いかは別として
日本だけが特別だという時代は終わった
これからは世界のみんなと同じ人権が
日本の隅々にまで入り込む

でも
権利を主張するのが不得意な私たちには
少しばかりの思いやりとか気遣いのほうが似合っている
自分のことを考えるよりも
他人のことを考えたほうがいい

外から来た人権に頼るよりも
もとからある情を大切にして
おもんばかって暮らした方が
私たちには似合っている

もっとも
やられたらやり返すという気質とか
武士という殺人集団の思考とかが
私たちの核なのだとしたら
人権など必要ないけれど

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