身近なこと 遠いこと

開発とか支援とかいう言葉を聞くと
いくつかの国際機関が浮かんでくる
人道とか人権という言葉も浮かぶ

国際機関で人道を仕事にしている人が
人道に興味がない人に
 あなたは利己的だ
と言ったのを思い出す
 無関心と想像力のなさと認識不足が
 人道に対する罪なのだ
とも言った

国際機関で人権を仕事にしている人が
人権に興味がない人に
 あなたには思いやりがない
と言ったのを思い出す
 見て見ぬふりと自己保身と差別意識が
 世界中の人権状況を悪くしている
とも言った

キリスト教を信じていた人たちが
人道と人権を尊重しないのはいけないと言い出し
人道や人権はいつのまにか正義になった
人道と人権を軽視するのは悪いことだという
新しいあたりまえが生まれたのだ

裏の畑の作物と 日がなすごしている婆さまは
人道援助じの字も知らないが
畑でできたものをお地蔵様に供え
うまいものは近所に分けていた

裏山の杉の木と 取っくみ合ってる爺さまは
人権のじの字も知らないが
伐採した木の切り株に酒をふりかけ
森にも人にも優しくしていた

遠い国の諍いの 巻き添えを食った人たちは
確かに可哀想かもしれないけれど
だからといって私たちが憐れんで
事情も知らずに助けに行けるとでもいうのだろうか

織田信長に殲滅された人たちを
誰も助けに来なかったじゃないか
独裁者に抑圧されている隣国の人々を
誰も助けに行かないじゃないか

マリとブルキナファソで
戦闘に巻き込まれた人たちが
過激派組織のせいで可哀想な目にあっている
家を失った子どもたちを救うといって集めたカネで
過激派組織を壊滅させるための武器を買う
それが人道援助だと 独裁者が笑ってが胸を張る

人道援助はいつも どちらかの側につき
人権活動もいつも どちらかの側のため
人道も人権もそれを考え出して
自分たちのために使ってきた人たちのためにある

人道も人権も よく考えて見極めなくてはいけない
無条件降伏ではあるまいに
無条件に受け入れればいいというものではない
いつも いいものではない

2 thoughts on “身近なこと 遠いこと

  1. shinichi Post author

    (sk)

    君から見れば 僕もまやかしということになるのだろう
    でも僕は人道でも人権でもない
    僕は君のことを思っている
    人道や人権を編み出した人たちが自分たちを思うくらいには
    君のことを思っている

    Reply

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