ユークリッド・アヴェニューには
6番のバスと9番のバスが走っていて
6番のバスが来ると黒人が乗り込み
9番のバスが来ると白人が乗り込んだ
黒人でも白人でもない僕は
どちらが来ても乗ることにしていた
6番の混んだバスの乗客たちは
なんで乗ってくるのだと 怪訝な顔で僕を見た
9番の空いたバスの乗客たちは
静かに座っている僕に 目を向けなかった
必ずしも黒いとはいえない人たちを黒人と呼んで
必ずしも白いとはいえない人たちを白人と呼んで
黒人と白人という2つの括りのなかに
すべての人間を閉じ込める
黒人の括りに入れられた人たちと
白人の括りに入れられた人たちが
お互いを理解できないといって
不信感を持ち合って対立する
でもちょっと深く考えてみると
同じ括りに入れられた人たちにしたって
似たような人たち同士だって
わかり合えるわけではない
似ている人たちだって一人一人違う
黒人と一括りにされたって
白人と一括りにされたって
一人一人違う
それなのに一括りにされ
違う括りとの違いは強調され
同じ括りとの違いは同調圧力もあって
ないことにされてしまう
同じ括りのなかだって 違うのは悪くない
違うのが間違っているなんていうのが悪いのだ
あたりまえのことが あたりまえと思われない社会で
あたりまえのことを話すのは難しい
(sk)
第171作
Human differences
「人種」というかくも人為的な言葉
https://ozekibook.com/2020/07/24/「人種」というかくも人為的な言葉/
から何らかの刺激を受けて
(sk)
Euclid Avenue, Cleveland, Ohio, U.S.
(1979-1981)
#6 bus: East Cleveland
#9 bus: Mayfield