老人の言葉

散歩をしていたら畑を耕していた老人が
 この辺りは海だった
と言った。

海になる前には人が住んでいたみたいで
その頃の遺跡があるという

海だった頃には人が住んでいなかったから
その頃の遺跡はないという

老人は
 遺跡を発掘に来た人たちに聞いた話だから
 間違いはない
と言った

研究者たちの論文より その老人の言葉のほうが
本当のように聞こえるのはなぜだろう

Posted in belief | 1 Comment

深い顔

いつか深い顔になるのだと思っていたら
ある日深い顔になっているのに気がついた
でもそれは決していい顔なんかじゃなくて
嘘とごまかしが刻まれた醜い顔だった

Posted in bad | 1 Comment

永遠でなくても

感じられないかもしれないけれど
愛を感じてください

信じられないかもしれないけれど
愛を信じてください

Posted in love | 1 Comment

人が作ったもの

古地図を見れば陸と海が絶えず動いているのがよくわかる
陸地が盛り上がったり沈み込んだり海の位置が変わったり
強固な岩盤だって大きな大陸だって動かないわけじゃない

6000年前には江東区はもちろん墨田区も葛飾区も足立区も
そして草加市や川口市や越谷市やまでもが海だったという
気温が上がって氷河が融けて 海面が100mも上昇したのだ

1万8000年前には東京湾は隅から隅まで陸だったというし
それよりも前には日本は大陸と陸続きだったみたいだから
将来の日本が動かないなどと思うのは科学的とはいえない

盛り上がったり沈み込んだり動きまわっている陸地の上に
橋やトンネルやダムや堤防や高層ビルや発電所など作って
それでそれらがいつまでも壊れないで役に立つわけもなく

それでも僕たちは陸地が動かないと信じているフリをして
何が起きても原子力発電所は絶対に安全だって嘘をついて
想定外の事故があるとそれを自分でない誰かのせいにする

作ったものはいつかは壊れて築いたものはいつかは崩れる
そんなあたり前のことをみんなまるで知らないふりをして
今日もどこかで完成を祝い竣工式や落成式が執り行われる

神に感謝しても仏に祈っても作ったものはいつかは壊れる
構造計算をどれだけやっても築いたものはいつかは崩れる
完璧なことなどありえないし永遠のものなどどこにもない

人が作ったものなんかが
自然が作ったものよりも
すごいなんてわけはない

Posted in globe | 1 Comment

人がいる場所

真理とか正義とかが必要な前時代的な人たちが
真理とか正義とかから抜け出せずに悩んで
人は意識の根源を直視していないといい
不安や焦躁や倦怠が不幸の根源なのだという

不幸を感じることができるのは高貴な証だとか
人でない生き物は不安や焦躁や倦怠を感じないだとか
わかったようなわからないようなことを言いつのって
人は動物とは違う高尚な存在なのだという

人は考えることができるから
自分が死ねると知ることができるし
宇宙が優れていると知ることもできる
でも宇宙は考えられないから何も知らない

人の尊厳を空間や時間に求めてはいけない
多くの土地を所有したところで優れていることにならないし
長い時間を生きたところで偉大なわけではない
尊厳は考えることにしかない

そんないい加減な論理が語り継がれ
哲学とか知恵とかいって残ってきたが
気が付けば周りには真理も正義もなく
人が特別な存在だと考える人も もうあまりいない

人だけが特別だという宗教のせいで
人は地球の主だと勘違いし
地球とそこに住む生き物をないがしろにし
人のおごりが人を滅ぼそうとしている

人は地球に住まわせてもらっていて
他の生き物と一緒に生かされていて
地球とそこに住む生き物がなければ
存在すらできないのだと知るべきだ

人はじつは考えることができない
人はなんにも知らない
そうでなければ私たちが
こんなふうに生きているわけはない

Posted in human being | 1 Comment

地球にいちばん近い満月

月は楕円運動をしてるから
どこで満月になるかで
見える大きさが大きく違う

それにしても
大きな満月は理屈より大きく
ずっと大きく見え
小さな満月は理屈より小さく
ずっと小さく見える

それだけではない
ふたつを並べて見ることはないから
印象でしか比べることができないけれど
大きな満月は明るく
小さな満月は暗い

大きな満月は自信いっぱいで
こちらを見てる
小さな満月は自信なさげで
隠れてしまいそう

でも
大きな満月も小さな満月も
じつは同じ月

だから月に言う
大きくなっても小さくなっても
君を思っているよって
君がどんなでも
僕は変わらずここにいるよって

Posted in difference, globe | 1 Comment

分を超えて

動物も植物も細胞の中心に細胞核を持ちその中に染色体がある
父親と母親から23本ずつ受け継いだ46本のヒトの染色体には
1番から22番までの常染色体とXとYの性染色体があって
男は常染色体とXのセットと常染色体とYのセットを
女は常染色体とXのセットを2セットを持っている
染色体には長い二重らせん形のDNAが収納されていて
DNAのなかで遺伝情報をもっている領域を遺伝子という
染色体のぜんぶ遺伝子のぜんぶ遺伝情報のぜんぶをゲノムといい
ヒトゲノムに含まれる遺伝子の数は約26,800個だという

そういう中学理科の世界からはるかに遠いところに
個人の遺伝情報に合わせた医療だとか
生分解性プラスチックだとかがあって
遺伝子の組み換えはとどまるところを知らない
農業と食品工業は遺伝子組み換えで境界をなくし
医学と医薬品産業は一緒になって遺伝子を組み換え
エネルギー分野も環境分野も遺伝子を組み換え
遺伝子組み換えの技術は悪いことではなくなる

ナチュラルチーズの大量生産も
酵母や麹菌の育種や甘味料の製造も
ヒトインスリンやB型肝炎ワクチンのの製造も
エタノールの効率いい生産も
生分解性プラスチックの生産も
農作物の改良からナノバイオデバイスまで
みんなみんな遺伝子組み換えのおかげだと
いいことばかりが宣伝される

いいことばかりに目を向いていて
なにか基本的なことを忘れてしまい
倫理や人権も大事だけれど
まずはビジネスが大事だと
うーん
もっと基本的なことがあるんじゃないか
人間の存在が
存在そのものが
大切なのではないか

遺伝子を組み換えたりしていいのか
そんなことをする人に畏れはないのか
菌の遺伝子を組み換え
植物の遺伝子を組み換え
動物の遺伝子を組み換え
ヒトの遺伝子を組み換え
なんにも起こらないと思っているのか

ウイルスの感染が広がっただけで
オタオタしている人間が
もっともっと大きなことを
顔色も変えずにやっている
新しい生物を生み出し
それをビジネスにして生きていく
そんなことが許されると思っている
ヒトはなんて楽観的なんだろう

Posted in business | 4 Comments

みんな幻 みんな夢

現実は精巧に出来た幻
現実は精巧に造られた夢
目の前の美を素直に見ていると
それが見えてくる

みんな幻
みんな夢
昨日のことも
明日のことも

宇宙の夢に比べれば
これは一瞬の夢
時間の幻に比べれば
これは一瞬の幻

いつまでも完璧にならず
いつまでも未完成の
どんなに経っても永遠とは遠い
夢という無 幻という空

心地よい夢のなかに眠り
風のような幻のなかで遊ぶ
日常のなかで見る幻も
一日の終わりに見る夢も
ほんの一瞬のこと

ふわふわした儚い夢を
覚えていることはなく
あるはずのない幻が
輪郭を持つこともない

美しい一瞬が永遠に思え
そして消える
君への思いが永遠になる

Posted in dream | 2 Comments

幸せ

幸せはとらえどころがない
幸せはつかのまのこと
幸せは無益でしかない
だから幸せを夢見るなんて
虚しいだけ

幸せを求めても
まるで蝶のように
この手をすり抜けてゆく
でも期待しないで静かに座っていると
幸せが空から降ってくる

遺伝子によって幸せと不幸せが決まる
出来事によって幸せと不幸せが決まる
その人の価値感によって幸せと不幸せが決まる
でもそんなこととは関係なく
幸せは手の届くところにある

自分の幸せなんて考えずに
人の幸せを考えていたら
君の幸せを考えていたら
幸せはそこにあった

Posted in happiness | 1 Comment

人道に対する罪

みんなは
東京大空襲を忘れたのか
どれだけの人が家を失い
負傷し死んだのかを忘れたのか
あの大空襲は
人道に反する犯罪ではなかったのか
人道に対する罪ではなかったのか
戦争に勝った国は人道に反しても許されるのか

みんなは
広島と長崎を忘れたのか
原爆が奪った命の数を
一瞬にして失われた普通の暮らしを
あの爆弾投下は
人道に反する犯罪ではなかったのか
人道に対する罪ではなかったのか
戦争に勝った国は人道に反しても許されるのか

アメリカ合衆国が悪いといっているのではない
アメリカ人が悪いといっているのでもない
あの頃にアメリカにいて
そんな決定をした人たちが
人道に反していたのではないかと言っているのだ
今でも称えられている人たちが
狂っていたんじゃないかって思っているだけだ
旧ユーゴやルワンダを裁く前に
アメリカを裁いたらどうなんだ
そして
日本を裁いたらどうなんだ

Posted in hypocrisy | 1 Comment

夢は夢だ
夢から醒めたら
夢は夢だったと悟る
なんで信じたのかと驚く

生きているから
夢は夢だったと悟る
生きていなければ
夢の虚妄に気付かない

死は人生の断絶だ
死のあとにはなにもない
夢を信じたまま死ぬ人は
夢のなかに人生を終える

夢を抱いたまま
人生を終えたい
夢を信じたことを
後悔はしない

死ねば意識はなく
人生は終わる
信じたものも
消えてなくなる

なにかを信じるのなら
信じるに足りることを
そうは思っても
確かなことはなにもない

夢を見るのなら
明るい夢を
君との夢を
死ぬまで見る夢を

Posted in life | 1 Comment

老化

老化とは年をとることとその過程だ
時間とともに個体に起きる変化とか
死に至るまでに起きる機能低下とか
時間とともに変化するすべてが
老化なのだ

木の葉が色づいて散るのも老化だ
動物の活動性が低くなっていくとか
細胞が分裂をやめてしまうとか
身体的 心理的 社会的な変化が
老化なのだ

老化の原因がわかっただとか
いや原因はわかっていないとか
いろいろなことが言われているけれど
誰も老化は避けられないし
誰も老化を止められない

ピカピカな歯で死んでゆくのもいいけれど
ボロボロの歯で死んでゆくほうが自然だし
黒くてふさふさした髪で死ぬよりも
薄くなった白い髪で死ぬほうがいい

年より若く見えるよりも
年相応に見えるほうがいいし
内面が顔に表れているほうが
のっぺりした顔よりずっといい

若いってすばらしくないんだと
心からそんなふうに思ってみれば
老いてからでないとできないことが
たくさん浮かんでくる

好きな人がだんだんなくなってきたら
石や木や水が近づいてきて
老いをそのまま受け入れてみたらどうか
すべてを面白がってみたらどうかと言う

自然のなかを歩いてみれば
真上には太陽が輝いていて
後ろからは風が吹いてくる
目の前の池が言う
なかなかいい
なかなかいいよって

Posted in life | 3 Comments

国家

国の偉い人たちが
国民を勝てるはずのない戦争に導き
国を滅ぼした
そこまで書いて僕は筆を止めた
なんともやるせない気分になったのだ

純粋で無知な若者たちは
なにがなんだかわからないうちに
戦争にかり出され
なにがなんだかわからないうちに
死んでいった
その無念は慰められ
死んでいった若者たちは
英霊と呼ばれた

若者たちは
生きているときに
国の偉い人たちに利用され
死んでからも
国の偉い人たちに利用される
死ぬ原因を作り出したのが
国の偉い人たちだったと
知ることもなく
親のため家族のため友のため
そして国というなんだかわからないもののために
死んでいった

隣の国の事情は
少しだけ違うのだろうが
若者たちが国の偉い人たちに利用されるのは
きっと同じに違いない
そのまた隣の国の事情は
もう少しだけ違うのだろうが
若者たちが国の偉い人たちに利用されるのは
きっと同じに違いない

偉い人たちが集まって
国家を宣言する
いつのまにか人々は
国家の一部になる

国旗なんていうものが掲げられ
国歌なんていうものが歌われて
ナショナリズムが人工的に作られ
パトリオティズムが流布されて
だれもかれもが
無意識にプロパガンダに陥って
プロパガンダと同じことを言う
スピーカーになる

平時には機能している仕組みが
非常時には機能しないで
プロパガンダの暴走を
想定外だと言い訳する
どんな国家も暴力団のようなもの
危機を煽ったり戦争を起こしたりして
罪もない人たちを殺してしまう

国家なんていうものに
利用されないようにしよう
国家なんていうものに
殺されないようにしよう

Posted in fake | 1 Comment

人間も動物なのに

人間もただの動物なのに
人間だけが特別だと思う人がいて
オスとメス男と女 とは違うのだという
人間の愛は崇高だとか
人間の愛は永遠だとか
オスとメス だって惹かれ合うのに
人間だけを特別に見る
人間も動物なのに

動物の生死はただの生存競争だから
人間の生死のような尊さはないという
一人の生命は地球より重いなどと言い
死ぬべき人を生かしてなにも感じない
次の瞬間に踏まれてしまう蟻や
弱れば食べられてしまうシマウマは
自然のルールに従って生きて死ぬ
人間のように寝たきりになっても生きていたり
植物状態になっても生き続けたりはしない

ゲノムをコピーする時のミスだとか
コピーするときに起きたエラーとかで
種が劣化するのを防ぐため
適応できてない個体を壊してなくし
適応できる個体を作り直して残す
そうすることによって動物は
環境の変化に対応した個体を生み出して
命を繋いできたという

生まれたものは必ず死んで
生きる死ぬが繰り返されて
個体はどうでもいいように見えて
それでも個体は生きていて
命は輝いていて
命を繋がない個体たちも
もう役目を終えた個体たちも
一生懸命生きていてる

人間の命が尊いというのなら
動物の命も同じように尊い
植物の命も細菌の命も尊いはず
ウィルスにも命があると思うはず
人間の命の尊厳を謳うなら
生物の命の尊厳も謳ったらいい
人間の権利を口にする人には
生物の権利も考えてほしい
人間の健康を口にする人には
生物の健康を考えてほしい

人間が強くなりすぎて
人間が多くなりすぎて
人間の出すゴミは異臭を放ち
人間の周りからは美しさが消えてゆく

人間のエゴが消えた日に
人間はもう一度人間に戻って
自然の美しさのなかで
命を懸けて生きる
そうなったときに人間は
輝きを取り戻し
体の底から声を出し
心の底から愛を言う

Posted in love | 1 Comment

男と女

すでに男のために作られている構造に
女が自分を簡単に合わせることはできない

女が構造に完全には入り込めないのなら
構造を作り直すべきなのだ

軍隊に象徴される階層構造は
上下関係が好きな男のためのもの

上下関係が見えないような構造でないと
女の能力はうまく発揮できない

Posted in globe | 1 Comment

気候変動

今の空気中の二酸化炭素レベルは
過去何十万年のうちで最高で
21世紀の地球の温度は
これまでになかったほど高く
北極の氷の融解スピードは
1990年代の10倍近く
北極圏の夏の海氷は
記録的な範囲にまで縮小し
世界の平均海面水位は
過去100年間で18cm近く上昇している
数字でどうだこうだ言っても
なかなかピンと来ないけれど
気温が上昇するだけではなく
地球全体の気候が大きく変わっている
海面上昇 高潮 氾濫 洪水 干ばつ 熱波
気候変動とか異常気象とかいうけれど
実際に起きているのは生活の破壊で
感染症は地球の隅々にまで拡大し
疾病が増え
健康障害が頻発する
エネルギの供給は増え続ける需要に追い付かず
インフラの機能はマヒし
飲み水が不足する
自然災害の被害は大きくなり続け
農業生産は減少し
食糧は危険にさらされ
生計は崩壊し
財政は破綻する
生態系や生物多様性に狂いが生じ
多くの種が絶滅する
根本的な解決策は
人が減ること
それに尽きる

Posted in globe | 1 Comment

脆い花びら

綺麗な花は脆い
道端に咲く花も
風が吹くたびに
目の前で落ちる

地上に落ちて
散らばる花は
時に流される
私の心のよう

花びらには
軽さがあり
脆さだけが
重さになる

舞うのか
落ちるか
死ぬのか
生きるか

脆さは
美しく
儚さは
切ない

咲く
散る
風に
舞う




Posted in dream | 1 Comment

りんごを食べないで

りんごを食べないで
もし今のままでいたいなら
もしも変わるのがいやならば

マッチをする
炎が灯る
一瞬のしあわせが訪れる
炎が消える
ふーっ
一瞬のしあわせは永遠で
マッチをすってよかったのだと
生きていた頃を振り返りながら
自分に言い聞かせる

箱を開く
煙がでる
一瞬のうちに年老いる
息が絶える
はー
乙姫との思い出は永遠となり
箱を開けてよかったのだと
竜宮城にいた頃を振り返りながら
自分に言い聞かせる

りんごを食べる
死んでしまう
王子がキスをする
愛が訪れる
うーん
純粋な愛は永遠に続くことになり
愛に出会えてよかったのだとと
継母のことを思い出しながら
自分に言い聞かせる

マッチを
マッチをすらないで
もし生きていたいなら

箱を開けないで
もし夢を見続けたいなら

りんごを食べないで
もしも少女でいたければ
もしも大人がいやならば

許して下さい
マッチを
マッチをすらないで

お願いですから
箱を
箱を開けないでください

りんごを
りんごを食べないで
そのりんごを食べないで

Posted in story | 3 Comments

素朴な愛

複雑な愛はいらない
素朴な愛がいい
日常を大事にするような
繰り返しを大事にするような
そんな愛がいい

観念の世界で遊んでいる
どこかの作家とか
時流の言説に乗っている
あの思想家のようには
ならないようにしなければ

Posted in love | 1 Comment

しらすおろし

重要だったものが重要でなくなり
大事だったものが大事でなくなり
大切だったものが大切でなくなり
好きだったものが好きでなくなる
そんなこころの変化に気づいてしまった

何万人もが楽しむコンサートとか
雰囲気のいい有名レストランとか
歴史に登場する史跡や建造物とか
美術館の中の高価な美術品とかが
私のこころをときめかすことはもうない

旨味たっぷりの味噌汁とか
たったひとりの優しい歌声とか
しらすおろしのさっぱりした味とか
アルヴォペルトの簡素で静かな音楽とか
そんなのがいい

もしかしたら
わびと
さびと
きみが
影響しているのかもしれない

Posted in music | 1 Comment

昨日 今日 明日

過去のことがよいという
でもそれは
過去のことだからよいのではない
過ぎ去ったことでもよいものはよいのだ

過去が間違っているという
でもそれは
過去だから間違いがわかるのではない
過ぎ去ったものでも間違いは間違いなのだ

過去をなおざりにするなという
それは
現在もなおざりにしない
未来もなおざりにしないということなのだ

過去のことを言い続けるのは
きっと
現在のことを言っていて
未来のことを言っているのだ

美しいものが過去に破れることはない
美しいものは現在に終わらない
そして
美しいものは未来にも尽きない

過去といい
現在といい
未来といい
時間は続いていて
過去といっても
その時々の現在の連続で
未来といっても
その時々の現在の連続なのだ

時間が連続しても永遠にはならない
私がなにをしても完璧にはならない
どんなものを作っても完成はしない
一瞬のことこそが真実なのだ

君を好きだと今言って
そのことに嘘はないけれど
過去の説明はできないし
明日の約束はできない

今の真実が
明日も今の真実になって
明後日も今の真実になって
それが一日でも長く続けばいい

今 君が好きで
明日も君が好きで
明後日も君が好きで
それが一日でも長く続けばいい

Posted in time | 2 Comments

違うのは悪くない

異質な要因を持たない人を
正常といい
異質な要因を多少でも持つ人を
異常だという
20人のうち19人は
基準範囲のなかに入り
正常といわれ
20人のうちひとりだけが
基準範囲の外にいて
異常ということになる

誰が普通で
誰が異常なのか
異常な人がなにか悪いことをしたというのか
違うのが
悪いわけではないのに
違うというだけで異常といわれる

なにが普通で
なにが異常なのか
背の高いのは異常なのか
背の低いのは異常なのか
太っているのは異常なのか
痩せているのは異常なのか
血圧が高いのは異常なのか
血圧が低いのは異常なのか
成績がいいのは異常なのか
成績が悪いのは異常なのか

同じことを考えないのは異常なのか
同じことを感じないのは異常なのか
同じことを望まないのは異常なのか
同じことに従わないのは異常なのか

同じ宗教を信じないのは異常なのか
同じ教育を受けないのは異常なのか
同じ知識を持たないのは異常なのか
同じ経験を持たないのは異常なのか
同じ信念を持たないのは異常なのか
同じ能力を持たないのは異常なのか
同じ価値観を持たないと異常なのか

違うのはそんなにいけないことなのか
同じなのがそんなにいいことなのか

ひとりひとりが違うのに
基準上限値とか基準下限値を外れれば
異常とか
おかしいということになる
異常でなく
なにもおかしくないのに
まるで悪いみたいにいわれ
間違っているかのように扱われる

違うのは
悪くない
違うからといって悪いというのが
悪いのだ

Posted in difference | 1 Comment

感性は

感性が鋭くて
些細な感情の動きに気づく
普通なら見過ごしてしまうような
人が気づかないような
微弱な感情を拾う
狭く深いところまで入っていく
ひとりの人の気持ちに敏感な
感性がある

感性が豊かで
多くの刺激に反応する
人が気づかないような
さまざまな感情を拾うような
多種多様な感情を拾う
浅く果てしないところまで広がっていく
たくさんの人の気持ちに敏感な
感性もある

感性が鋭い人はそれを見せない
感性が豊かな人はそれを話さない

ほかの人が気づくことのない微細なことを
面白いと思う人がいる
ほかの人の目が捉えないさまざまなことを
面白いと思える人もいる
感じたあとで
そのことを上手に表現できる人がいる
感じても
それをうまく表現できない人もいる

敏感な人は
気配りをして無駄に疲れてしまったり
そうかと思うと
思いやりが空回りして傷ついてしまったりする
感じやすさは能力ではあるけれど
そんな能力はいらない時もある
感情は過ぎると
刃になる

感性があると理性がないと言われる
知性がないとも悟性がないとも言われる
感情におぼれて論理的に考えることができない
新しい認識を形成できないとも言われる

傷つきやすい人の感性はみずみずしく
石を見て涙ぐむ
木を見ても水を見ても涙ぐむ
でも
みずみずしい感性だけが時代を捉え
美しいものを創り出す
知能だけが時を進めるわけではない
論理がすべてではない

Posted in heart | 1 Comment

顔のない顔

どんな人の顔も
死ぬ前になれば
しっくりと落ち着き
安定感がでてくる

鏡のなかの顔は不安定で
なんとも落ち着きがない
たぶんまだ
死なない

間の抜けた顔が
どうしたら安定感のある
落ち着いた顔になるのか
想像もつかない

死ぬ前になれば
誠実さや正直さが
身についているとでも
いうのだろうか

この顔のない顔は
なにをしても
ちゃんとした顔には
ならないと思うのだけれど

Posted in heart | 1 Comment

言葉にしない ありがとう

今日は記念日
昨日までの良いことばかりを思ったり
悪いことばかりを思ったりではなく
明日からを楽観的に考えるのでも
悲観的に考えるのでもない
今日を祝う
ひたすら今日だけを祝う

明日も記念日
明日になったら
ひたすら明日という日を祝う

明後日も記念日
明後日になったら
ひたすら明後日という日を祝う

そう
毎日が記念日
毎日
ひたすらその日を祝う

毎日が記念日で
毎日記念日を祝って
毎日君に感謝して
毎日君の笑顔を見る

毎日が記念日でも
なにも困りはしない
心のなかで
ありがとうと言う

ありがとう

Posted in love | 1 Comment

1 2 3 ・・・

1 2 3 ・・・と数えて
1 2 3 の前には 0 があると気づく
0 1 2 ・・・と数えて
0 1 2 の前には -1 があると気づく
-1 0 1 ・・・と数えて
私は数えるのを止める

江戸時代までは一倍が倍のことだった
明治時代になって二倍が倍のことになった

この国のビルディングは 1階 2階 3階 ・・・ で
あの国のビルディングは 0階 1階 2階 ・・・ だ

1 2 3 ・・・か
0 1 2 ・・・か
悩むところではあるけれど
0 は知らないことにして
1 2 3 ・・・で行ってみよう

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 ・・・

Posted in happiness | 1 Comment

静かな場所で

火山が爆発して
溶岩や火山灰にすべてが覆われた
命あるものは一瞬のうちに絶命する
大きな力の前では生き物は無力だった

ダムができて
水のなかに村々が埋もれていった
神の住まいは山の上に移される
人々は村を捨てるしかなかった

都市ができて
土はアスファルトやコンクリートで覆われた
生き物は生き埋めになる
人が都市を我が物顔で歩き回った

都市は汚れ
ネズミやゴキブリが人の棲み家で暮らし始めた
人は人以外の生き物を力でねじ伏せたが
目に見えない菌やウイルスが人を覆っていった

都市は壊れる
かたちあるものは必ず壊れる
都市を逃れた人間に
行く場所はあるのだろうか

都市での生活が便利になった分だけ
人は生命力を失った
自然に返された人間が
素手で生き延びることができるだろうか

私は夢を見ている
私は好きな人と
微笑みに包まれて暮らしている
そこは穏やかでとても静かだ

とても静かだ

Posted in happiness | 1 Comment

事実を伝えること

記憶も記録もあてにはならない
記憶だからあてにならないとか
記録だからあてになるとか
そういうものではない

記憶は
何が起こったのかでも
何が起こらなかったのかでもなく
そうだったかもしれないという
そして
そうでなかったかもしれないという
可能性なのだ

記録は
何か起こったことについて
記録する人がこうであったらいいなということを
期待を込めて書いたもので
不完全で間違いだらけの
人が記したものなのだ

起きたことを起きたこととしないで
起きなかったことを起きたことにして
起きたことと起きなかったことの
境界をあいまいにしてしまう

不完全な記憶
未完成な記録
永続しない記憶
永久に残らない記録

記憶や記録でできあがった歴史とか
記憶や記録に頼った判断が
正しいわけはない
記憶も記録も事実ではない

Posted in memory | 3 Comments

ウイルス

わかったふりをした専門家たちが
私たちの生活に口を出し
新しい生活様式などという枠をはめ
お願いという名の命令を発表した

 マスクを着けろ
 冷房時には窓を開けろ
 毎朝体温を測れ
 健康チェックをしろ

命令に添えられた優等生の作文からは
なぜそうしなければならないのかは
伝わってこない

先人たちが勝ち取ってきた行動の自由は
感染症対策といって制限され
移動の自由は奪われて
近くに住む人にさえ会いに行けなくなった

病人を見舞ったり死者を弔ったりすることも
前のように自由にはできなくなり
老人施設にいる年老いた母にも
会いに行けない
施設という監獄のなかにいる人は
誰もがまるで囚人のようだ

これもすべて生存のため
いのちを守るために協力してください
言葉は優しいふりをするが
使われているレトリックは凶暴だ

人間であるための条件を奪われて
怯えのせいで我を忘れ
攻撃的になった人たちが
大事なものを捨てて群れを成す

いのちを守るためだけに
すべての自由を差し出して
私たちはいうことを聞く素晴らしい民だと
なぜか胸を張る

自由とか違いとか
善だと固く信じてきたものが突然悪になり
考えないとか みんなに従うとか
悪だと固く信じてきたものが突然善になる

見当違いばかりのなかで
みんなでいのちをながらえて
すべてを失った人たちのなか
ウイルスの声が聞こえてくる

地球が人のものだなんて
誤解したほうが悪いんだ
地球はみんなのためにある
石や木や水やウイルスを
忘れたほうが悪いんだ

ウイルスは笑わない
石は動かず
木は静か
水は今日も流れ続ける

Posted in globe | 7 Comments

恋愛と約束

短い時間で燃え上がって出来た関係はドラマチックで
終わるのも早い
長い時間をかけて出来上がった関係は安定していて
長い日常が続く

独占欲や嫉妬のある刺激的な愛
安定した関係が続く穏やかな愛
愛のかたちは選ぶものではなくて
自然にできあがる

恋愛のふわふわしたイメージが
私たちの周りに溢れている
イメージはどれもドラマチックだけれど
実際の恋愛の多くは日常的だ

恋愛にたどり着けない人だって
たくさんいるし
たどり着けたからといって
思い描いたようになるとは限らない

ときめきとか情熱という
そんな言葉に象徴される恋がある
その時その時には人生で一度だけの恋だと思い
恋が終われば人生は終わりだと思いつめる
それなのに
人はまた違う恋をする
なんていい加減なと思う
でも
そのいい加減さは救いでもある
恋による不安や絶望から人を救ってくれるのは
いつもいい加減さと次の恋なのだ

親しみとか優しさという
そんな言葉に象徴される愛もある
愛があるのに気付かない人
ないのにあると思い込んでいる人
愛なのかただの錯覚なのか
その辺のことは誰にもわからない

人が変わり続けるとすれば
愛もまた変わり続ける
変わらぬ愛を願うのは
いつまでも生きたいと願うのと同じ
時と共に成長する愛を
育むことができなければ
変わらぬ愛を願って
傷つくしかない

終わってしまう恋や不安定な愛を
なんとか繋ぎ止めようとして
人は永遠の契りを結ぶ
ある人は結婚という形を選び
ある人は永遠の愛を誓う
けれどどんな約束も
祝福は続かず破れてしまう

責任を背負ったとしても
背負い続けることはできない
時が流れ すべてが変わり続けるなかで
恋だけが変わらないわけはない
愛だけが永遠に続くなど
ありえないのだ
恋は病気のようなものだという
愛は幻想だという人もいる
約束はいつか破られ
契りは忘れられる
それでも人は恋をし
愛を求める
約束をし
誓い
契りを交わす

恋も愛も
知れば知るほどわからなくなる
先人たちの名言を集めても
なんの役にも立たない。
恋や愛や約束の断片を書いたところで
なにもわからない

恋と愛と約束が織りなす模様は
驚くほど複雑だ
恋はときめきと情熱の色
愛は優しさと親しみの色
約束は契りと永遠の色
そういった色が
補う色や反対の色を内包しながら
予期せぬ模様を作り出す
まるで乱数が作ったかのような
意味のない複雑な模様を
ただただ楽しめたらいいのだけれど
なかなかそうはいかない

恋も愛も約束も
そんなに簡単ではない
恋は夢だと悟り
愛は幻だと気づき
約束は破られると知っても
私たちは恋を信じ
愛を信じ
約束を信じる

長いとは言えない人生のなかで
誰かに恋をし
誰かを愛し
誰かと約束を交わせたら
どんなにいいだろう

恋とか愛とかの不思議な感情や非論理的な行動は
私たちの心をとらえて離さない

決して結ばれることがないという悲劇に涙し
心から愛し合うふたりという純愛に感動する
戦争となれば平気で人を殺す人間が
恋をし
愛や平和を語る
こんな変なことが他にあるだろうか

恋も愛も
民主主義や人権のように
西洋から来た言葉のように思える
どちらも私たちのものでない
そう言いながら
源氏物語の世界にはいり込む
光源氏の世界は
外国のように遠い

長い時間のあとで
それでも愛してると言えたらいい

結果はどうであれ
誰かに恋をし
誰かを愛し
誰かと約束を交わせたら
そんなことが一度でもあれば
その人生はいい人生と言っていい
そう思う

Posted in love | 1 Comment

フェイク

映像や画像が事実を伝えた
そんな時代もあった
でも今は違う
映像や画像は現実ではない
現実を伝えるものでもない

情報が交錯するなかで
伝えたいメッセージが先にあって
メッセージを伝えるために
映像や画像が作られる

映像や画像は加工され
会ったことのない人が並んで映り
いるかどうかわからない人が
あるかどうかわからない街で
シナリオ通りのセリフを喋る

昔の絵巻物となにが違うのか
ちょっとリアルなだけじゃないか
そんなことを言われても
納得はいかない

バーチャルだフェイクだと
カタカナで言ってみたところで
イカサマはイカサマだし
間違いは間違いでしかない

正義や中立を口にしても
正義も中立もない
あるのはただビジネスの論理と
テクノロジーの追求だ

有名人のセックス映像はどれもフェイクで
政治家の賄賂の受け渡し画像はでっち上げ
映像や画像を作った人は
真実を伝えるためと開き直る

映像や画像が現実でないとわかっていても
フェイクを見ると半分信じる
半分信じれば ぜんぶ信じる
フェイクはいつのまにか現実になり
違うと言っても誰も聞いてくれない

映像や画像は現実ではない
現実を伝えるものでもない
でも残酷な人間は
映像や画像をおもしろがって
加工してコピーして見て笑う

映像や画像を信じてきた人たちは
作られたものだと知ってか知らずか
相変わらず見たままを信じる
信じてはいけないものを信じる

Posted in fact | 1 Comment

致命的な暴力

日本人だという理由だけで嫌な目にあったり
朝鮮人だという理由だけで強制的に連行されたり
中国人だという理由だけで嫌われたり
ユダヤ人だという理由だけで殺害されたり
クルド人だという理由だけで弾圧されたり
アフリカ系アメリカ人だという理由だけで差別されたり
日系アメリカ人だという理由だけで収容所に入れられたり
そんなことがあまりにもたくさんあって
私たちは鈍感になってしまった

ユダヤ人だという理由だけで子供達を虐殺するのは
戦闘に参加している編集者たちを虐殺するよりも卑劣だとか
日本人だという理由だけで住んでいる人みんなを原爆で殺すのは
戦闘に参加している医療従事者たちを殺すより道義に反するというように
ああして殺すのはこうして殺すより悪いというのは絶対におかしい
殺しは殺しだ

戦場で人を殺すのは戦争だからといって許される
それだけでなく英雄になったりもする
立て籠もり犯を殺すのは人質を守るためだといって正当化される
そればかりか人質の生命を守ったといって褒められる
死刑を執行するのは法律に従って出された判決に従っただけだという
法務大臣はよく署名したと称えられる
どの場合にも 殺人はいけないという声は消される

殺人は人の本能だという人もいる
でも人が群れを作るようになる前は 私たちはそんなに殺人をしなかった
人間は群れになり 村を築き 部族で暮らし 国という人為的な集団を作った
そういう変化によって殺人率は大きく上昇し 人は殺人をする種に変貌した
人が多くなりすぎて 殺さなければ生きていけなくなってしまった

同類を殺し同種を殺し同族を殺す
人が人を殺す
殺す種
それが現代の人間だ
暴力をむき出しにしてしまった人間が集まり
攻撃的な人を指導者として殺し合う
それを悲しいと思ってはいけないのだろうか
殺しは殺しだ
そして
差別は差別だ

Posted in human being | 3 Comments

愛してる。

Posted in globe | 1 Comment

何者でもない

私は
まえから何者でもない
いまも何者でもない
これからも何者でもない

何者かになりたいわけでもない
でも夢はたくさん持ちたい
世界中の夢をかき集めて
夢いっぱいになりたい

他人を意識すれば
何者かになりたくもなる
でも意識しなければ
夢いっぱいになれる

他人を意識しなければ
自分も意識しなくなる
そうすると自分の文章から
自分が消えてゆく

自分のことばかり書いていたつもりが
自分のことは何も書いていない
自分のことを書いてないのに
書いたものは限りなく自分だ

何者かにならないでよかった
何者かになれない自分でよかった
夢いっぱいになりたい
そんな自分がいい

Posted in good | 1 Comment

ほのかな香り

人は言葉で自分を表現する
でも木が言葉で自分を表現するなんていうことは
ありえない

声を発したり食べて味わったり動いたり
動物がすることを
植物はしない

人は外見で自分を表現する
木が外見で自分を表現するなんていうことは
ありそうもないけれどでもあるかもしれない

木は服を着たり眼鏡をかけたりしないけれど
自分をすっと見せたり高くみせたりできる
輝く緑や深い緑を見せることもできるのだ

人は匂いで自分を表現する
木が匂いで自分を表現することも
きっとある

匂いだけでない
木は葉で枝で樹皮で自分を表現して
他の木になにかを伝える

木は静かで
枝の軋みにも葉のざわめきにも主張がない
でも
木がなにかを伝えようとするときに
ほのかな香りがする
そう思うのは
気のせいなんだろうか

Posted in life | 2 Comments

黒いひかり

ひかりを感じながら
景色を眺めていると
景色は色を失って
ひかりだけが残る

景色のなかには
ひかりしかなくて
色がなくて
そして
景色がひかりを失うと
闇があたりを包み込み
すべてのひかりは
吸収されてしまったのか
遮断されてしまったのか
どこにもその形跡はない

朝がひかりを取り戻して
ひかりは弾み
息づいて
なにも掴めない私たちは
ひかりと影に従う

ものに色をつけて
ひかりなんて幻だって言って
色に名前をつけて
布を染め
器に着色し
ありとあらゆるものに色をつけ
ひかりを征服したつもりになっても
夜がくれば色は消え
闇だけがあたりを占める

ひかりがないのが闇だという
でも闇に包まれてみると
黒いひかりを感じる
ないはずのものを感じる

太陽を感じる
白いひかりを感じる

闇を感じる
黒いひかりを感じる

ないものを感じる

Posted in beauty | 1 Comment

誰がために

聴く人のいない音楽や
見る人のいない映画は
読む人のいない物語に似ている

聴く人が
メロディーを変えることはなく
見る人が
映像を乱すこともない
読む人が
物語に入り込むなんてありえない

出来上がった音楽は
譜面の上にあり
出来上がった映画は
ディスクのなかに埋もれ
出来上がった物語は
紙の上で固まっている

録音されなかった音楽は
演奏するたびに異なった音を紡ぎ
撮影されなかった演劇は
上演されるたびに台詞が違い
紙の上に固定されなかった物語は
語られるたびに彩を変えた

聴く人を知らない音楽には
興奮や喜びがなく
見る人を知らない映画には
笑いも涙もない
受けとる人を知らない物語は
始まる前から終わっている

流れのない音楽には
淀みしかなく
画面の変わらない映画には
輝きはない
心のない物語からは
事実しか伝わってこない

それでも人は
聴く人のいない音楽を編み出し
懲りることなく
見る人のいない映画を制作し
あてどなく
読む人のいない物語を書き続ける

聴いてほしい人は自分の音楽に酔っていて
他人の音楽を聴くだけの余裕はなく
見てほしい人は映像の制作で手いっぱいで
他人の映画を見ることなど考えない
読んでほしい人は書くことに夢中で
他人の物語を読む時間を持たない

音楽も映画も物語も
みんなみんな自分のため
作り手も自分のため
受け手も自分のため
でもそのほうが
他人のためというよりも
ずっといいのかもしれない

Posted in art | 1 Comment

物語のなかの真実

ハッピーエンディングは
ハッピーなエンディングなんかじゃなく
ハッピーエンディングは
ハッピーはエンディングなのかもしれない
ハッピーエンディングのあとは
ずっとハッピーが続くって思ってたけど
ハッピーエンディングのあとの長い時間が
ずっとハッピーだなんてありえない
ハッピーエンディングは
終着駅なんかじゃなくて
ハッピーエンディングは
乗換駅でしかないんじゃないか

ハッピーエンディングのあとの
日常は長く
ハッピーエンディングのあとに
見るものは違う
ハッピーエンディングの前に
見えなかった現実が
ハッピーエンディングのあとには
次から次へと押し寄せる
血の繋がった人たちも
血の繋がらない人たちも
問題を持ってやってくる
病気 怪我 家事 育児
教育 労働 介護 お金
問題の種は限りなく
乗り越えなければならないことが
ハッピーエンディングをぼやかしてしまう

ハッピーエンディングは
ハッピーなエンディングなのか
ハッピーはエンディングなのか
映画のなかの主人公たちの
ハッピーエンディングのあとの時間は残酷なほど長い

ハッピーエンディングは
始まりなのか
終わりなのか
なにかの終わりは他のなにかの始まりだから
ハッピーエンディングはやっぱり乗換駅というしかない

日常の繰り返しのなかに
喜びを見出すことのできる人だけが
ハッピーエンディングを超えていく

ハッピーエンディングとは縁のない
しあわせもある

Posted in perception | 1 Comment

穏やかな日々

向上心いっぱいで生きてきて
向上心なんてなかったと言う
そして
向上心なんてなかったらなあと
嘘みたいなことを考える

向上心がある人は
自分を高めたい人
自己実現に向かってどこまでも
自分を高めていきたい
そんなこと
よく言えたもんだ

向上心がある人は
今日が明日のためにある
今日したいことを我慢して
なにもかもを犠牲にして
明日のために生きる
明日が来れば明後日のため
明後日が来れば明々後日のため
そんな人は
いつになっても今日を生きられない
今日を生きられない人が
明日を生きられるわけがない

向上心がある人の
明日のためというつまらない日々が
いつまでも続きますように
逝くその間際まで
明日のために生きますように

向上心がある人には
達成したい夢がある
夢が達成できたなら
もう少し大きな夢を持つ
それが達成できたなら
もっと大きな夢を持つ
いつになったら休めるのだろう
死ぬまで奴隷でいたいのか

向上心がある人には
友だちがいて愛する人がいて
愛があって繋がっていて
愛がすべてなんて口にする
でも
すべての悪いことや醜いことが
愛から始まっているとは
認めようとしない
目を閉じて
愛は美しいと呟く

いいときは確かに美しく
悪いときはほとんどが醜い
出会いはなぜか美しく
別れはいつもせつなくて
執着は見苦しく
心変わりは冷たい
始まりはきれいだったとしても
終わりがきれいだったことは
あまりない

向上心には終わりがなくて
そこにはなぜか競争があって
他人のことは気にせずに
自分だけが良くなって
愛する人を裏切って
友だちなんて口だけで
夢はいつでも自分のため

向上心のある人が
向上心のない人を
心の底から馬鹿にする

馬鹿にされた人たちは
馬鹿にされたことも知らないで
今日も
今日を楽しんで
気楽な人と
季節に満ちた時間をすごし
好きなことをして
暮らしている

Posted in difference | 1 Comment

淡い色

湖は茫として水も空も見えず
白さだけが辺りを覆っていた
きれいだねと口にしてみると
きれいねという声が聞こえてくる
連れ出してもらったことへの感謝なのか
ほんとうにきれいだと思ったのか
なにも見えないけれど
吹きすさぶ風は寒くはなかった

帰ろうかって聞いてみたら
もう少しだけいようと言う
きれいだって思ったけれど
好きだとは口にできない
日常から少しだけ離れてみて
味わった小さな自由は
たいしたことのないものかもしれないけれど
とてもとても暖かかった

自由がしあわせなのだと
勘違いしていたころに
見た夢は
淡い

Posted in beauty | 5 Comments

富のない社会

金持ちが貧乏人を見る目は
思いのほか厳しい
そこに見えてくる貧乏人は
自分たちを被害者と位置づける人たちで
政府には自分たちの面倒をみる責任があると思っていて
働く意思もなく
税金もまともに払っていないのに
医療や教育を無料で受ける権利があるとか
人権が侵害されているとか
勝手なことばかり言う

貧乏人が金持ちを見るときは
憎しみにも似た感情が混じる
金持ちは貧乏人から吸い上げた富を独占し
政府に影響を及ぼし法律を曲げ
出来上がった不公平な仕組みが不平等を大きくし
金持ちはなんにもしないのに富が増え
貧乏人は働いても働いても貧乏で
金持ちは豪邸に住み高級車に乗り
おいしいものを食べていい思いばかりしている
金持ちを許してなるものか
のさばらしてばいけない
自分たちは
不当な扱いを受けていると思っている

金持ちは自分たちこそが
不当な扱いを受けていると思っている
貧乏人の何倍も働き財産を築いた
努力をしてスキルを蓄えカネを稼いだ
リスクを取って命がけで生きてきた
富は親から受け継いだものではない
ぜんぶ自分が働いたおかげだ
そういう自負があればこそ
働かない貧乏人が貧しいのは
仕方がないと言ったりする
努力をした人が努力にふさわしい富を得るのは当然だとか
努力にふさわしい成果を手にする仕組みは正しいだとか
そんなことを主張する

努力をしても富を生み出せない人がいて
努力すらできない人もいて
そういう人たちのことを
思い浮かべることのできない
想像力のない人々が
弱い人への思いやりを
持てるわけもなく
自由経済などと言われた人たちが
納得できるわけもないから
話し合おうとする人はどこにもいない

金持ちがもし貧民街で生まれていたら
金持ちになれただろうか
貧乏人がまともな教育を受けてきたら
貧乏人のままなわけはないだろうに
金持ちがシアトルの裕福な家庭でなく
ハルゲイサの極貧のなかで生まれていたら
貧乏人がハルゲイサの極貧のなかでなく
シアトルの裕福な家庭で生まれていたら

富は誰かのものではないはず
社会全体のものでもないはず
人生は所詮ゲームだけれど
ゲームにはルールが必要で
ルールはフェアなものでなけれはならない

フェアとは
金持ちにとってのフェアではないはずで
貧乏人にとってのフェアでもないはず
フェアとは
富を個人のものとして独占することでもなく
社会のものとして独占することでもない
フェアとは
金持ちも貧乏人もいない
緊張のない
いい状態
でも
人がいる限り
そんな状態は絶対に生まれない

Posted in moral | 2 Comments

罪を感じないから

人は自分が犯罪者であることに気付かず
無実だということを信じて疑わない
時に被害者を加害者扱いし
時に犯罪そのものを否定して
人を裏切っても気付くことなく
人を傷つけてもなにも感じず
罪悪感にとらわれている人を見て
それじゃ幸せになれないと言い
自分に対して罪悪感を持つことがないから
自分を受け入れる必要すらない
罪を感じれば自分に罰を与えたり
優しくしたり許したりできるのに
罪を感じないから
いつまでも変わらない
罪を感じないのは
傲慢だからじゃない
幸せになりたいという本能のせいで
それで罪を感じない

罪を感じないから
なにも変わらず
いつまでも君を
傷つける

Posted in happiness | 1 Comment

ゆったりした風景

ニュースで見る世の中は酷いことばかり
理不尽なことや悲しいことでいっぱいだ
でも散歩して見る世の中は呑気なもので
ゆったりした風景とのんびりした人々が
ぼんやりした時間を贅沢にすごしている
靴を脱いでズボンをたくし上げ水に入る
ニュースのようなことはここにはないと
思っていたら転んで水に濡れてしまった
やっぱりこの世の中は酷いことばかりだ
この濡れた服をどこかで乾かさなければ

Posted in simple | 3 Comments

変わってしまうもの

それほど大切だと思うのなら
過去を悔やんだりしないで
思い出したりもしないで

好きな君のことだけを想う
それだけで

続いてほしいと願っていても
変わらないものはどこにもないから
どんなことにも終わりが来る

でも君のことだけはと
言いかけて

Posted in love | 3 Comments

細胞は生きている

一つ一つの細胞には限りある命があり
寿命が来て死ぬと新しい細胞に置き換わる
人の体には50兆から75兆の細胞があるのだけれど
細胞は約260種類に分けられ
種類ごとに違った寿命を持つ

胃や腸の表面にある上皮細胞は1日
精子細胞は約3日、皮膚細胞は約2〜3週間
血液中の赤血球は約4か月、白血球は1年以上
骨の細胞は約10年
脳細胞は人が死ぬまで
心臓の心筋細胞や神経細胞も一生かわらない

人体は1日で1兆個もの細胞を入れ替える
不要になった細胞は死んで
そばの細胞を分裂させてふたつにして
そのひとつを死んだ細胞と入れ替える

人間が死ぬと体内の細胞も死ぬ
でもすべての細胞が死ぬまでに
数時間はかかる
時には1日かかることもある

細胞がいくら入れ替わっても
変わらないものがある
決して入れ替わらない細胞もあるけれど
それよりも
その人のまごころ、慈しみ、誠実さ
それらは絶対に変わらない
そして
その人の魂、本性、正体
そんなものもたぶん変わらない

Posted in human being | 2 Comments

悪の華

生物学にキャリングキャパシティという概念があって
動物としてのヒトの密度の上限は
1 km2 あたり 1.2~1.4人だという
世界での人口密度は 1 km2 あたり 50人なので
上限を40倍も超えてしまったことになる
ヒトはどう考えても多すぎるのだ

ヒトは農耕や牧畜で食糧を確保し
行動圏を拡げることで人口を増やしてきた
400年前には5億にまで膨らんだ世界の人口が
100年前には19億 そして今では77億

自然災害、飢饉、戦争、疫病
どんな災難が降りかかっても
ヒトが減ることはなく
あたりまえのように増え続けた

生産技術の発達、品種の改良、化学肥料
石油エネルギー、公衆衛生、医学
物流の発達、IT、AI
それで食糧が増え ヒトが増えた

ヒトが増えたツケは重く
食糧の増加は頭打ちになり
エネルギーは枯渇して
食料不足がやってくる

ヒトは少なくならなければならない
それなのにヒトは増え続ける

ヒューマニズムという考えのせいで
生きられるはずのない場所で
生きられるはずのない人々が
上限を超えて大量に生まれる

援助という名の下に
ヒトが増えるのを助け
その結果どうなるのかは
想像できないでいる

助けられた人たちは
食ベものさえ作れない場所で
収入を得るすべもなく
援助や保護をたよりに生きていく

援助や保護で暮らすことが
幸せにつながるわけもなく
汗水たらして働くあてもなく
援助や保護が永遠に続くわけもない

ヒトは少なくなったほうがいい
増え続けるだけではいけない

ヒトは意識しないで環境を壊し
生態系を壊して生物の生存を脅かす
森林を伐採して都合のよい植物を植え
機械を作り毒をまき散らす

美徳でヒトを救うのが
結果としてヒトを増やすなら悪徳で
意識して環境を守ろうとしても
無意識で環境を破壊する

ヒトの数が
100年かかって10倍に増えてしまったのなら
同じように
100年かかって10分の1 になってもいいのではないか

10倍に増えたのが嬉しくなかったように
10分の1 になるのも悲しくないかもしれない
減るのもそんなには悪くない

Posted in human being | 2 Comments

2種類の人間たち

女だから 男だからと 性別で分けられ
10代だから 60代だからと 年齢で分けられ
長髪だから 身なりが悪いからと 外見で分けられ
アフリカ系だから アジア系だからと 人種や肌の色で分けられ
日本人だから 韓国人だからと 国籍で分けられ
介護士だから プログラマーだからと 職業で分けられ
共産主義者だから イスラム教徒だからと 思想や宗教で分けられ
婚外子だから 母子家庭だからと 生まれや育ちで分けられ
障がい者だから 太っているからと 立場や状態で分けられ
うつ病だから HIV感染者だからと 病気で分けられと
私たちはなんだかんだで分けられる

でも人間には
まともな人間と
まともではない人間の
2種類しかない

どんなに私たちを分けようと
分けられたグループの両方に
まともな人間とまともではない人間が
入り込む

日本人のなかにも
まともな人間とまともではない人間がいる
日本人はみんなまともだとか
日本人はみんなまともでないとか
そんなことは絶対にない

イスラム教徒はみんなまともではないと言う人は
自分がまともでないのを知らない
黒人はみんなまともでないという白人は
自分が狂っているのがわからない

どういうふうに分けられてもいいし
どんなレッテルを貼られても構わないけれど
私は私
レッテルは私ではない

どんなグループにもまともでない人がいる
そして
どんなグループにもまともな人もいる

Posted in human being | 1 Comment

してもいいこと

品種改良のおかげで
寒冷地でも稲作ができるようになった

病気に強い種苗ができた
作物はおいしくなった
見ばえがよくなった
生産量が増えた

異なる品種のいちごを交配し
いちごの新しい品種を作る

品種改良はいいこと
そのことに疑問はこれっぽっちもなかった

どうしたらもっと良くなるか

作物の遺伝子を切り取って
別の作物に組み込んでみた

切り取った遺伝子を並び替えて
もとの作物に戻してみた

もっとおいしくなった
病気の心配のない種ができた
思うとおりの色や形になった
収益が上がった

品種改良は限りなく進む

除草剤に強い細菌の遺伝子を
作物の遺伝子に入れてやったら
除草剤に強い作物が生まれた

植物と細菌という
まったく違う生物が
ひとつになった気がした

植物でできたのなら動物でもできるはず
そう考える人たちがいて
動物の改良も進む

この種とあの種をかけ合わせれば
どの馬より速く走る馬が出来上がる
生まれた馬は美しく
走る姿は人々を興奮させた

種は改良され
優秀な動物が創り出された
出産がコントロールされ
動物の質は保証された
病気は減り
動物の苦しみは軽減した

動物の遺伝子は複雑で
植物ほどにはうまくいかない
それでも科学の進歩はすさまじく

動物の遺伝子を切り取って
別の動物に組み込んでみた

切り取った遺伝子を並び替えて
もとの動物に戻してみた

優秀な動物があっという間に創り出され
動物の質は完璧に保証され
病気はなくなり動物は長生きになった

動物でできたのなら人でもできるはず
そう考えて
人の改良が始まる

この人とあの人をかけ合わせれば
誰より優秀な人が出来上がる
生まれた人はすばらしく
その能力は人々を興奮させる

人の改良は続き
人は人以上の存在になっていく
出産はコントロールされ
創られた人の質は保証された
病気は減り
苦しみは減っていく

人の遺伝子は複雑で
動物ほどにはうまくいかない
それでも科学の進歩はすごく

人の遺伝子を切り取って
別の人に組み込んでみた

切り取った遺伝子を並び替えて
もとの人に戻してみた

想像以上の優秀な人があっという間に創り出され
その質は完璧に保証され
病気はなくなり創られた人は信じられないくらい長生きになった

選ばれる人間がいて
選ばれない人間がいて
選ぶ人間がいる
誰が選ばれて
誰が選ばれない
そして誰が選ぶのか

質の高い人が子孫を多く残す
質の低い人が子孫を残さない
そんなことが実施されようとしたとき
質の高い人というのが誰で
質の低い人というのが誰なのか
そんなことを誰が決めるのか
誰も答えられなくなった

才能ある人々同士の結婚出産が奨励され
病気を抱える人々の出産は抑制される
そんなことを決める人間もいて
悪の園が拡がった
アングロサクソンが優秀だとか
ゲルマン民族が優秀だとか
あれとあれをかけ合わせなければとか
あれはみんな殺さなければとか

勝つのが優秀で
負けるのがぼんくらで
でも勝つ人は
負ける人がいなければ
勝つことはできない

いい音楽を作るのも優秀で
いい音楽を聴いているのはぼんくらで
でも聴く人がいなければ
音楽に意味はない

品種改良を始めた時に
こうなってしまうのはわかっていたのだ
人間が進歩を愛した時から
この悲劇は始まっていたのだ

思い上がった人間は
ビールスがやってくると
それが人をおびやかすと思い込む
ヒトゲノムの約半分は
ウイルスとウイルスもどきの遺伝子配列なのに
人にとって大切なものだというのが基本なのに
まるでいらないもののように扱い
退治することしか考えない
人とビールスがひとつのものだということを
忘れている

私たちは地球の持ち主ではない
神でもない
他の生き物をかけ合わせたり作り変えたりするのは
私たちの役割ではない
私たちは私たちを生きればいいのだ

Posted in human being | 2 Comments

おにぎりころりん

おにぎりとおむすびでは
なにも違わないのに

ローソンでは おにぎり

ファミリーマートでは おむすび

セブンイレブンでは
ノリがパリパリだと おにぎり
そうでないと おむすび

大きく握ったら おむすび
小さく握ったら おにぎり

転がるのが おむすび
転がらないのが おにぎり

三角だと おにぎり
丸いのは おむすび

いやいや ここでは
丸くても おにぎり
俵型でも おにぎり
平べったいのも おにぎり
みんな おにぎり

ん?

きみは おむすびって言ったよね
ならば おにぎりは NG だ
みんな おむすび
どれも おむすび

Posted in difference | 1 Comment

よき日

パーフェクト・デイ
最上の日
特別な一日
申し分のない一日
素晴らしい一日
とても楽しかった一日
うってつけの日
最良の日
日々是好日
ひびこれこうじつ
にちにちこれこうじつ
にちにちこれこうにち
ひびこれよきひ
毎日がよき日
喜怒哀楽を十分に味わう
どんなにつらくても
悲しくても苦しくても
毎日毎日を生きる
喜ばしいことがあった日も
そうでなかった日も
とってもいい
死にたくない自分と死んでゆく自分
災害を避けたい自分と災害に遭う自分
どれも受け入れる
後悔はない
並んで歩いた日
雨宿りをした日
おいしいものを食べた日
黙った日
笑った日
静かな日
枯葉が暖かかった日
シャッターを切った日
陽がまぶしかった日
君といた日
嬉しかった日
とてもよかった日
パーフェクト・デイ

Posted in life | 1 Comment

科学のようなもの

経済が成長するのは
経済学者のおかげではない

経済予測は当たることもあるが
当たらないことが多い
経済がいい時には
どれもがよい経済モデルに見える
危機が来た時には
どの経済モデルも役に立たない
経済学者は成長に浮かれているうちに
経済学が役立たずだったことを忘れる
経済モデルが危機のときは機能せず
解釈に必要な直感とか経験とかが
インチキを際立たせる

子供が成長するのは
医者のおかげではない

エビデンスという言葉は
医者の本質をついている
患者が健康なときには
名医と藪医者に違いはない
重病になってはじめて
誰がよい医者なのかがわかる
いずれにしても医者は科学者ではない
応用はしても発見はあまりしない
発見ができても一般化ができない
作業は速いが言うことはよく変わる
権威を敬い疑問を持たない
効果や効率を重んじ創造性はない
そう 医者は科学者ではないのだ

聞かないという態度は大事
聞いた人はシベリア
聞かなかった人は日本に帰れた
それを忘れないようにしなければ
だから医者の言うことは聞かない
そう言いながら
医者の言うことを聞いてばかり
でもそのまま信じてはいけない

科学者の言うことは場合によっては信じる
経済学者の言うことは信じてはいけない
医者の言うことはそのままは信じない
医者が言っていることの半分以上が
5年後には間違っていましたになる
5年後にはほんとうでなくなることを
信じるわけにはいかない
そんなことを言っていても
医者が何か言うと
従っちゃうんだけど

Posted in business | 3 Comments

自由な人なんてどこにもいない

人は自由だ
他人の自由を侵さない限り自由だ
法律を侵すかどうかはそれほど問題でない
でも誰かの自由を侵すのはいけない

自由が欲しければ
他人の自由を侵さないこと
法律も侵さないこと
侵さなければ自由でいられる

そんなことのはずなのに
現実にはだれも自由ではない
自由がほしくないわけはないのに
みんな自由に背を向けている

考える自由
考えない自由
選ぶ自由
選ばない自由

失うものがないっていうのが自由なら
失いたくないものに囲まれて生きていたい
するのもしないのも自由だとしたら
なんにもしないでいたい

自由がなければ享受することもできない
自由がないところに愛はない
気をつけないと自由は不自由になり
無意識がすべてを奪い去ってしまう

愛さないのも自由
愛するのも自由
君を思わないのも自由
君を思うのも自由

Posted in freedom | 3 Comments

本音と建前

民主主義では少数が尊重され
多様な意見が取り入れられる
多数決の原理と少数派の擁護とが
民主主義を支える一対の柱となり
少数派の権利とか自由とかを守り
すべての人をしあわせに導く
そんなことを教えられ信じた
でも
きれいごとはいつのまにか影を潜め
すべてが多数派によって決められて
諮問機関やら専門家会議やらが
多数派の意見だけを提言する
多数派の人々が集まって
民主主義を褒めたたえる
変えようという意見は無視されて
なにも変えないことが評価され
すべての進化が止まってしまう
これは多数の専制政治じゃないか
違うことが悪いことのように言われ
民族が違い言葉が違うと仲間に入れず
文化が違うとオリジナリティを認めず
慣習の違いを礼儀知らずと批判し
良心を認めず宗教を忌み嫌い
住んでいる場所で人を見て
所得が低ければなぜか見下し
信条を持てば危険と見られ
これが自由だ民主主義だと
自由な社会は寛容と譲歩とが中心で
民主的過程は話し合いと合意だという
建前があって本音があって
国の建前や社会の建前
求められているのは
本音だろうか建前だろうか
個の本音とグループの本音
求められていないのは
本音だろうか建前だろうか
民主主義が社会に根付いたという
表向きにはそういうことになっている
民主主義を口にする人は民主主義を知らず
民主主義を知る人は民主主義を嫌う
じゃあと聞く
民主主義に代わるものはなんなのか
さあね
AIじゃないの?

Posted in human rights and democracy | 1 Comment

いつもここにいる

東京には崖線という
川や海の浸食でできた
崖の連なりが
あちらこちらにある

崖線は木の緑で覆われ
崖線の下には湧水が湧いていて
崖線のうちのいくつかは
はけとかままとか呼ばれる

崖線の上の屋敷からは
富士山や多摩川が美しく
崖線の下の田んぼには
動物たちが顔を出す

崖線は子どもには厄介で
自転車をこいでは登れない
一昔前の大人たちは
水を担いで途中でへばっていた

崖線に聳える欅や樫が
見て来たものは多い
でも湧水の下の茶色い岩が
見てきたものとは比べようがない

私たちの見ていることなんて
ほんの一瞬
瞬きほどのこと
きっと とるにたらないことばかりなのだろう

Posted in nature | 1 Comment

みんなが貧しかったなら

預貯金や株式や投資信託や保険といった
世帯が保有する金融資産の合計が
あんまりも多いので
なにかの間違いではないかと思った

飛行機の素晴らしい座席は満席で
街を歩けば高級車が走り抜け
豪邸の塀はあくまで高く
富裕層がいるのは知っていたけれど

1/500 の世帯が 資産5億円以上の超富裕層
1/50 の世帯が 資産1億円以上の富裕層
1/5 の世帯が 資産3千万円以上以上のアッパーマス層
残りが 資産3千万円未満のマス層

金融資産には土地や建物は含まない
貴金属も宝石も骨董も美術品も含まない
もしそんな実物資産を含んだら
数はもっと多くなる

経済がよくなるとアッパーマス層が増えて
アッパーマス層が増えれば富裕層が増えて
富裕層が増えれば超富裕層が増えて
街はリッチな人ばかりになる

ところが経済がはじけてしまったら
倒産や廃業がふえて株価が下落して
アッパーマス層があっという間に消えて
外国の人たちにカモにされ

超富裕層と富裕層が少しだけ増えて
アッパーマス層が減ったぶんマス層が増えて
平等の気分が増えて不満は減って
みんなで貧しくなればこわくないって

いいレストランは外国人であふれ
宝石店に入るのは外国人だけ
あれっ この風景はいつか見たよね
あっ そういえば戦後の日本だ

でもアッパーマス層がたくさんいるのより
みんなが貧乏でいるほうが
不平や不満が少ないんだと
それってなんだか変だよね

もしもみんながマス層になって
AIに仕事を奪われて
誰も税金が払えなくなって
うーん

Posted in Japanese way | 2 Comments

得たあとに

取れそうもないと怖気づいても
最高のものを出して
いいところを見せて
取れちゃったりして
でも最高のものを出し続けて
いいところを見せ続けなければ
獲得したものは手の中から
するりと逃げていってしまう

無理をして獲得したものには
それだけの価値がある
背伸びしてやっと掴んだものは
守り抜かなければならない
最高以上のものを出して
獲得したものを輝かせ
いいところを何倍にもして
掴んだものを抱きよせる

なにをしても無理なのに
どうせ掴めないものなのに
そんなことを言っていた人たちに
できたということを見せなければ
たどり着くその先に見える
誰も見たことのない景色を
いつか見るために
そして君に見せるために

Posted in attitude | 1 Comment

変わりゆく先

ビッグデータがビジネスを変える
AIが株価を予測し株の売買を行う
ブロックチェーンが社会を変える
人がいないのがニューノーマルだ
うーん
本当にそうなんだろうか

Posted in technology | 1 Comment

楽園が失ったもの

ナウルという楽園の静かな沈黙は
永遠に続くように思われていたのだけれど
武器と宗教と贅沢と欲望とがやって来て
幸せな時間を奪ってしまったように見えた

リン鉱石という自然の恵みのおかげで
島の人々は物質的な豊かさを知り
カネの意味すら知らないままに
文明の恩恵を享受するようになった

まもなく島にはカネが流れ込み
食ベて寝てがあたりまえの楽園の
夢のような暮らしが始まったかのように見えた

気がつけば島からは静けさが消え
働かない人のこころは病んで
顔からは笑いが消えていったと言われた

そう遠くない将来にリン鉱石がなくなってしまう
鉱石を採りに来ていた外国人が心配そうに言った
なくなったら昔に戻ればいいと言ったら
なにをのんきなことをと笑われた

蝕まれた人たちは働かないなどと言われ
静かな楽園はもう戻らないとも言われ
なにも言わないでいたら笑われて
なるようにしかならないと小さな声でつぶやく

欲に目がくらんだ外国人たちが集まって
マネーロンダリングに手を染めて
汚れたカネを集めてみたりと
島は騒がしくなるばかり

困った人がいたら助けなくてはと
誰にでもパスポートを発行することにしたら
集まってきたのは犯罪者ばかり
裏金に身代金に灰色のカネに黒いカネ

資金援助という手があるんだと
国際機関の人たちがやってきて
持続的開発で豊かになると言われて
島の人々は戸惑ってしまった

働くことを忘れた哀れな人々と言われ
肥満は健康の敵だと決めつけられて
リン鉱石はあと10年で枯渇するから
このままでは滅びてしまうと諭される

ではなにをどうしたらいいのかと聞けば
働きなさい働きなさいと繰り返す
私たちは豊かだから必要ないと言えば
明日のことを考えなくちゃと叱られる

魚を獲ったり果実を割ったり
神に祈ったり歌を歌ったり
波の音を聞きながら授かり授け
風に吹かれながら食事をする

生まれてきてから死ぬまでの時を
肥満と言われた人々が昔ながらにすごす
そして働きなさいと言われたときに
大事なことに気がついた

なにも失っていなかったのだ
この島に来た外国人が騒がしかっただけで
その人たちが失っただけで
私たちはなにも失っていないのだ
私たちは昔から働いたことなどなかったのだ
なにも変わってはいないのだ

Posted in UN way | 3 Comments

裏で操る人たち

アラブの春で立ち上がった貧乏な学生は
最新型の上位機種の Mac を持ち歩き
あるはずのない Wifi にアクセスし
ブロックされている Facebook を使いこなす
貧乏な学生に Mac を買ってあげたのは誰?
Wifi の使える環境を用意したのは誰?
Facebook のブロックを解除したのは誰?
アラブの春をプロデュースしたのは誰なのか

フランスの大統領がアフリカの国を訪れたら
その国の人たちはみんなフランスが好きだから
空港から街までの道は人で埋め尽くされ
大統領が通るとみんなでフランスの国旗を振った
空港から街までの道に人を集めたのは誰?
国旗を集まった人の数だけ用意したのは誰?
国旗を配って振り方を指導したのは誰?
大統領の訪問をプロデュースしたのは誰なのか

パキスタンの少女がピストルで撃たれ
瀕死の重傷を負ったけれど命はとりとめ
イギリスに移送されて手術を受け快復し
国連で演説してノーベル賞を受賞した
少女を国連に連れて行ったのは誰?
国連での素晴らしい演説を用意したのは誰?
ノーベル賞がもらえるよう交渉したのは誰?
マララブランドを作り出したのは誰なのか

私たちのまわりはわからないことばかり
グレタという環境活動家をプロデュースしたのは誰?
すべての交差点の監視カメラを診ていいのは誰?
都合の悪いニュースを止めるのは誰?
誰かの居所を知っているのは誰?
誰かの考えを知っているのは誰?
誰かの思いを知っているのは誰?
誰かのことをほんとうに知っているのは誰なのか

ジョージ・オーウェルが『1984年』で書き
竹宮惠子が『地球へ…』で描いた監視社会は
より巧妙なかたちになって私たちにやってきた
普通の人と普通の人と普通の人と普通の人とが
繋がり 共鳴し 理解し合い 共感し 同調し
みんなで空気を読んで 忖度して 自粛する
それがどこかでプログラムされたものなのか
それとも自然発生したものなのか
もう誰にもわからない

Posted in knowledge | 1 Comment

統計データを弄ぶ人に騙されて

統計データを使って結論を導き出すのは
あやうい
欲しい結論をだすために統計データを使うのは
やさしい

統計データは嘘をつかないが
統計データを使う人間は嘘をつく

統計データを眺めていると
変化を表す必然と
なにかの事情と偶然が
入りまじっているのが見えてくる

裏に隠れている暗数は
頼みもしないのに顔を出し
一喜一憂する人たちに
表情を変えずに語りかける
嘘を信じてはいけない
真実も信じてはいけない
嘘も真実も結局は
人が作ったものだから

統計データを使って導き出される結論は
思惑と欲望で穢れているし
シナリオ通りに使われるデータは
こざかしい予定調和で輝きを失っている

むき出しの統計データはなにも語らず
納得するようなメッセージはひとつも発しない
断定形の結論が嘘ばかりだと知れば
「たぶん」だけしか信じることができない

ブロックチェーンを使えば信頼性が上がり
AIを使えば精度が上がる
透明性の高い統計データを使いさえすれば
高度の意思決定が可能になる

透明性の高いデータってなんなのだろう
高度の意思決定ってなんなんだ
わけのわからないことですべてがぼやかされ
統計データは汚されていく

Posted in records | 1 Comment

選択

選択はいっときのこと
それなのに
その後に続く道のりは長く
背負わされるものは重い

正しいかどうかもわからず
正解はどこにもなく
信じて歩いてゆけば
どこかにたどり着くからと

山で道を間違えれば
命を落とすこともあるという
一瞬の迷いやためらいで
藪のなかに迷い込む

弱気な思いも強い思いも
繋がろうが繋がるまいが
笹と灌木はどこまでも続き
空を見上げることもない

楽なほうを選んでおけば
道しるべに従っておけば
そんなことを考えても仕方ない
選んだのは他でもない自分なのだ

でもほんとうに選んだのは
自分だったのだろうか
運命という大きな流れに
流されただけなのではないか

大きな流れのなかにいて
流れていこうと淀もうと
いつかは海にたどり着き
潮のなかに消えてしまう

選択はいっときのこと
そして
その後に続く道のりは長く
前に見えてくる道はぼやけている

でもその道から見える景色に色をつけて
明るい道ゆきを楽しめば
長い時間は優しくなって
微笑だけが二人を包む

Posted in time | 1 Comment

良くなり悪くなる

国連が Millennium Development Goals (MDGs) を掲げ「1990年を基準年、2015年を達成期限」としていろいろな人たちが頑張った。あまり知られてはいないが、MDGs は驚くほどうまくいった。1990年に開発途上国の半数に近い人口が一日1.25ドル以下で生活していたのが、2015年にはその割合が14%まで減少した。10億人以上の人々が極度の貧困から脱却したのだ。

栄養不良の人々の割合は激減。小学校の就学率は上昇し、教育における男女格差はなくなる方向に向かい、幼児死亡率は半分以下に減少した。出産は医療従事者の立会いの下に行われるようになり、妊産婦の死亡率は半減した。HIVへの新たな感染者は大きく減少し、620万人以上の人々がマラリアによる死を免れ、3,700万人もの人々が結核による死を免れた。26億人もの人たちが飲料水へのアクセスを得た。携帯電話の契約数は7億3,800万から70億とほぼ10倍まで増加し、インターネットの普及率は43%にまで増加し、32億人がグローバル・ネットワークとつながった。こういった変化を長々と書き連ねるのはやめておくが、開発途上国の人々の生活は大きく向上した。

Lester C. Thurow という経済学者が書いた『The Zero-Sum Society』という本がある。Thurow はかつて日本経済新聞のインタビューで「日本政府がすべきことはお札を刷り続けること」と言った人で毀誉褒貶は激しいが、『The Zero-Sum Society』には多少の真実が隠されている。

Zero-Sum という考えでは、トータルがゼロ、つまり誰かがプラスになれば誰かがマイナスになる。社会の誰にもいいということはなく、誰かを良くすれば、誰かに悪い。資源が限られているから、環境、食糧、エネルギーなど、経済・社会の問題はすべて Zero-Sum と考えられる。

1990年から2015年のあいだに10億人以上の人々が極度の貧困から脱却したということは、Zero-Sum で考えれば、どこかの生活が悪くなったということになる。それはバブルがはじけたあとの日本であり、共産体制が崩壊した旧ソ連の国々であり、ひとつにまとまりダイナミズムが失われたヨーロッパではなかったのか。

実際、国連の MDGs のおかげもあって、開発途上国の人々の生活が格段に良くなり、先進国の人々の生活が少し悪くなった。 MDGs は Sustainable Development Goals (SDGs) に引き継がれ、開発途上国は少しずつ良くなり、先進国は少しずつ悪くなっている。

開発途上国の人々の生活が相対的に良くなり、日本人の生活が相対的に悪くなる。そのことを良いとか悪いとか言えるだろうか。開発途上国の人たちも日本人も、より良い生活をしたいという基本は同じではないだろうか。

Zero-Sum ではない。Win-Win なのだ。開発途上国の人々の生活が良くなり、日本人の生活も良くなる。そういうことを言う人もいるだろう。でも、あの国が良くなり、この国が悪くなるというのが、現実ではないか。

良くなったあとには悪くなる。悪くなった後には良くなる。でも人は、良くなりたい。誰も悪くなりたくない。良い状態にある人はもっと良くなりたいと思い、悪い状態にある人はもうこれ以上悪くなりたくないと思う。みんなが良くなればいいのだけれど、みんなが他人より良くなるなんていうことはありえない。

Posted in UN way | 3 Comments

人は人殺し

戦争を仕掛け土地を奪い住民を殺す、知識人たちを抹殺する、相手を降伏させ全員を殺す、他民族を虐殺する、宗教の違うものを殺す、気に入らない人たちを殺す、抵抗しないものたちを意味なく殺す。古来、人は、人種・民族・国家・宗教などをターゲットにして大量虐殺を繰り返してきた。
中国だけでもすさまじい数の人々が殺されてきた。8世紀の唐の安禄山の乱では3600万人が犠牲になり、13世紀のモンゴル帝国の様々な地域での戦闘による死者の数は4000万人だったという。17世紀に明朝が滅びた時にも2500万人が死に、19世紀の太平天国の乱では2000万人が死んだ。20世紀の大飢饉などでの死はまだまだタブーだけれど、4500万人という犠牲者の数が出てきている。
中国以外でも状況は同じ。大量虐殺は地球上のあらゆるところで繰り返されてきた。それが私たちだと言ってしまえばそれまでだけれど、私たちのなかには人殺しがいけないというDNAも間違いなくあるように思える。愛する人たちを守るために、家族や仲間を守るために、人は人殺しをするものなのだろうか。

Posted in nature | 2 Comments

デカメロンの冒頭の黒死病流行のことが頭から離れない。妻は夫を棄て、夫は妻を棄て、親は子を棄て、子は親を棄て、兄弟姉妹もお互いを知らない人のように遠ざけ、訪問したり面倒をみたりするのを止めた。患者に近づくと感染するという経験から、家族は看病をやめて患者を放置するようになったのだ。放置された患者は孤独のなかで悶え苦しみ、そして息をひきとる。死体は門前に棄てられ、それを死体運搬人が回収した。死者が膨大な数になると従来の墓場では足りなくなり、町の郊外に大きな穴を堀り、そこに死体を投げ込んだ。瀕死の患者も死体として処理され、穴の中にはまだ息をしている瀕死の患者も数多く埋められていた。患者に近づきたくないために、死を判断することすら躊躇われたのだ。墓場に生き埋めにされた患者は、多くの死体に囲まれながら息を引き取ったのだ。
人は死ぬ。ほとんどの人がベッドや畳の上で死ぬのだと思ってきたけれど、多くの人が戦争や災害や疫病や不慮の事故で死ぬ。硫黄島で敵軍の火炎放射器で死ぬのはさぞ悔しかっただろう。広島や長崎で原子爆弾がなにかも知らず死んでいった人たちは苦しかっただろう。東京大空襲で火のなかで行き場を失った人たちはなにを思っただろう。東北で津波にのまれて流された人たちは怖かっただろう。そのような死を思うとき、病院のベッドの上で死ねるなら、それはそれで恵まれているのではないかと感じてしまう。いつものベッドやいつもの布団で死ぬのがいちばんいいのかもしれないけれど、誰でもがそうやって死ねるわけではない。

Posted in life | 1 Comment

幸せに生きるために

恨み、無念さ、嘆き、悲しみ、つらさ
不満、もの足りなさ、心残り、未練
憧れ、妬み、悲惨さ、渇望、無常
そんなものが体のなかを渦巻いたとき
湧き上がってくるのはなんだろう?

恨まれる、恨む
怨まれる、怨む
憾まれる、憾む
なにもなく幸せに生きるのに
恨みも怨みも憾みもいらない
もちろん罰なんていりはしない

願う、望む、求める、念ずる、欲する
求める、好む、祈る、思う、期待する
そんなことで恨みが変わるのなら
恨みが愛に変わるのなら
過去も報復もいりはしない

恨みの連鎖を断ち切るには
受け入れることと
赦すこと
そして
忘れることが
必要だ

近づかない、関わらない、考えない
そして
受け入れる、赦す、忘れる
受け入れる、赦す、忘れる

Posted in change | 2 Comments

知らない国の子守歌

口づけは暖かく、本当のような気がした。私はベッドのうえ、隣にあの人が座っている。もうきみを連れて行かなくてもいいんだね、優しい声は、柔かで落ち着いていた。

なぜそんなこと言うの、私の声は震えている。もう行かなくては、そう言って後ろを向いたあの人に、私は大きな声で言った、待って、もう一度だけでいいから、私を連れて行って。

まえに見た夢と同じ、あの人が私を抱え、空に浮かぶ。海が見える、白い波が砕けている。砂漠が見える、雪が降っている。随分遠いところまで来た、いったいどこまで行くのだろう。

湖が見える。岸辺で女がこちらを見ている。あれは宿のおかみよね。さあ、誰かな、わからないな。見えないの?見えない、きみのこと以外はなにも見えない。私はあの人を抱きしめる。

水辺に降りることはできないの?どこがいい?あそこの入り江がいいわ。風が湖のほうから吹いている。さざ波が次から次へと押し寄せる。私は湖に踏み出す。水に濡れ、子供のように走る。あの人が私を見つめている。

小船が岸に繋がれている。飛べない鳥たちが羽をふるわせ、水面を滑る。私はあの人と小船に乗る、沖に漕ぎ出す。湖の透きとおった水。見つめあう二人、小船のなか。

気が付くと海、潮の香り。口づけまでが海の味。漕ぎ続ける、ずっと。どこに行くの?どこがいい?抱きあえば、小船は二人の寝台。山が見えてくる、川はどんどん狭くなる。

小船を棄てた私たちは、川に沿って山に分け入る。ひかりの滝をくぐる時、あの人が手を差し伸べる。私はあの人にからみつく、よろこびの水飛沫が風に舞う。

暖かな白い雪が、私たちを狂わせる。茶色い土も緑の草も、真っ白なひかりのなかで色を失う。あの人だけが私を包み、周りの景色が消えて行く。なにも見えなくなる。

もう行かなければならない。あの人が言う。待って、私は大きな声で言う。待って、行かないで。私をおいて行かないで。あの人はなにも言わず、空に飛び、消えて行った。

口づけの記憶はなかった。あの人の記憶もぼんやりとしている。風の感じもない、潮の香りもしない。いつものベッドなのに、なにかが違う。もう空を飛ぶことはないのかもしれない。

Posted in dream | 2 Comments

政府のラバ

国の借金は1114兆円
国民一人当たりの国の借金は901万円
国のGDPが525兆円なので
国の借金はGDPの2倍以上
一般会計予算が101兆円なので
国の借金は一般会計予算の11倍
国の予算が兆円として
国の借金は国の予算の倍

一般会計予算の1/3以上が年金と医療と福祉
つまり主に老人のために消え
一般会計予算の1/4近くが国債費
つまり借金のために消え
一般会計予算の1/6が地方交付かなんかで
カネのない地方にばらまかれ
一般会計予算の1/4が実質の予算
101兆円の一般会計予算があっても
まともに使えるのはたったの26兆円

一般会計予算のほかに特別会計予算があって
そのまやかしの総額は390兆円
わけのわからない会計間のやりとりが90兆円
国債の借換えが103兆円、償還費が88兆円
社会補償給付という聖域が70兆円
地方へのバラマキが19兆円
財政融資資金への繰入が12兆円
つじつま合わせの復興経費が2兆円弱
その他も事務取扱とかで消えてゆく

日本には家計の貯蓄が1755兆円あって
国の借金の1114兆円よりずっと多い
だから大丈夫という人がいるけれど
家計の貯蓄が政府のためにあるわけはなく
日銀は政府のために紙幣を刷り続け
日銀に口座を持っている金融機関と
一緒になって国債を買い続け
みんなで国の借金を増やし続けている

こんなまやかしがいつまでも続くわけがないのに
日銀が紙幣を刷り続け国債を買い続けるかぎり
国債が暴落したり発行できなくなったりはしないとか
日本の企業や個人が海外に持つ資産がたくさんあるから
ぜんぜん心配はないよ大丈夫だよとか
日本の借金は円建てなんだよ印刷できるんだよ
返済を迫られてもお札をすればいいんだよって
そんな説明で納得しているバカな私たちがいる

財務省が借金を減らそうとしても
反対に借金を増やす政治家がいて
日銀の相場を買い支えるというゲームは
見透かされて外資のカモになり
政府の資産が700兆円あったって
借金返済に使えないものばかりだし
日本企業の金融資産が1200兆円あったって
企業は国の借金のしりぬぐいはしない

借金返済と社会保障と地方へのバラマキで
実質の国家予算は減り続ける
弱っていくのは国家だけではなく
実質の個人所得は減り続けるし
それに伴って消費も減り続け
値段がさがればみんなは喜び
喜びとは裏腹に生活は苦しくなり
収入は減り社会保障は増え続ける

しあわせはカネではないだとか
日本に誇りを持てだとか
どんな話もすり替えられて
本質は消えていく
不倫したとか不正をしたとか
小さなことが大ごとになり
国の借金とかブロックチェインの導入とかは
小さなことになる

借金をどうにかしようにも
デフォルトに持って行けるわけもなく
素直で善良な国民は
国の借金なんて気にしない
国の借金が永遠に増え続けても
日本は特別だから平気なのだと
そんなことを言っている人たちは
あとからなんて言うのだろうか

チャウシェスクが倒される前の日まで
チャウシェスク万歳を叫んでいた人たちは
チャウシェスクが倒された次の日には
同じ広場で失脚を祝ったのだけれど
原爆を落とされ戦争に負けて
天皇がただの人になっても
皇居に集まってくる人たちは
天皇陛下万歳と声を揃える

わが国の借金が増え続けている
今朝来た新聞の一面に書いていた
だけども問題は 今日の雨 傘がない
行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ
君の町に行かなくちゃ 雨にぬれ
冷たい雨が 今日は心に浸みる
君の事以外は 考えられなくなる
それはいい事だろ なのだろうか

Posted in Japanese way | 9 Comments

語り継がれたこと

2500年くらい前に
私の心は石でないから
転がすこともできない

と詠んだ人がいて
それが詩経に収められて
後世に伝わることになって

1500年くらい前に
私の心は石でないから
転がすこともできない

というところを読んだ人が
石は無常なものの象徴だって
言い出したりして

800年すこし前に
二条院讃岐という人が
石に寄する恋という題で
私の袖は干潮のときにも見えない沖の石みたいに
だれも知らないだろうけど乾くまもない

って石の無常を詠んで

300年くらい前に
二条院讃岐は
歌のうまかった人だったって
恋多き人だったって
つらい人生を歩んだ人だったって
そんなことが言われだして

私たちは
2500年前の
いったいなにを知っていて
1500年前の
いったいなにを知っていて
800年前の
いったいなにを知っていて
300年前の
いったいなにを知っているかって
そう問えば
じつはなんにも知らないんだって
ぜんぶが想像でしかないんだって
そういう答えが返ってくる

2500年前に
私の心は石でないから
転がすこともできない

と詠んだ人が
なにを思っていたのか
1500年前に
それを読んだ人が
なぜ石が無常なものの象徴だって
思ったのか
800年前に
二条院讃岐は
なにを思ってあの歌を詠んだのか
300年前の人は
二条院讃岐の
なにを知っていたというのか

私たちのように
300年前の人も
800年前の人も
1500年前の人も
2500年前の人も
なにも知らない
それでも定説は
まるで真実かのように
語り継がれる

Posted in truth | 5 Comments

普通の景色

土がもっと近かったころは
土は汚いものではなかったから
泥んこになって働いたり遊んだり
服や靴には土色が混じっていた

水がもっと身近だったころは
潮のかおりに包まれてみたり
水には音も光も匂いもあって
流れる水をいつまでも見ていた

雨が降ったら濡れて歩いて
雨脚が強くなったら雨宿りした
野菜には土が付いたままだったし
野菜のかたちは楽しかった

いつのまにか景色は無機質になり
地面は硬い灰色で覆われて
都会の空に建てられたビルは
まるで墓場の卒塔婆のようだ

空気のなかに聞こえていた歌は
騒音にかき消され聞こえてこない
昼間でも消えることのない街の灯りは
空の色まで変えてしまう

虹のかかった雨上がりの空とか
花でいっぱいになった草原とか
見たい景色はあるのだけれど
もっと見たい普通の景色は
いったいどこに行ってしまったのだろう

Posted in nature | 2 Comments

身近だったころ

病がもっと身近だったころに
お堂にこもって病気平癒を祈るしか
できることがなかったころに

医者は自分の限界を知っていて
患者も医学の限界を知っていて

病が治らないことを
誰かのせいにすることはなかった

病は人の力の及ばないもの
誰もがそう理解していた

死がもっと身近だったころに
道端に死体が転がっているのが
そう不思議でなかったころに

人は人の限界を知っていて
自然を畏れる心を持っていて

死に至ったことを
誰かのせいにすることはなかった

死は人の力の及ばないもの
誰もがそう理解していた

自然は人の力を超えたもので
人は畏れを抱いていた
人は自然とともに生きてきて
自然がやさしくないときは
祈り
自然がゆったりとしているときは
感謝してきた
人が自然を超えたとき
自然が人になにをするか
考えただけでもおそろしい

Posted in dream | 1 Comment

疑問を抱いて

わかり合っている
理解し合っている
なにもかも知っている
ってそんなのより
わからないけど
理解できないけど
なんだか居心地がいいっていうのがいい
そんなのがいい

嘘をつかなくて
誠実で正しくて
信じることができる
ってそんなのより
嘘ばっかりで
不実で間違いだらけで
信じることのできない
ってそんなのがいい

つまらないより
刺激的なほうが
従うより
したいことをしたほうが
閉じ込められるより
彷徨うほうが
ずっと素敵だし
ずっとしあわせ
かもしれない

たぶん
たぶんたぶん
きっと
たぶん

Posted in happiness | 1 Comment

違い

女と男はそんなに違わない
いや、女と男はとても違う
20代の人と30代の人はそんなに違わない
いや、20代の人と30代の人はとても違う
中国人と日本人はそんなに違わない
いや、中国人と日本人はとても違う
二人はそんなに違わない
いや、二人はとても違う

違いばかりがことさらに強調されれば
違っているように思うだろうし
似ているところに注目すれば
そんなに違わないかなと思ってしまう

ある学者は行動を調べて
大きな違いがあると言い
ある学者は脳を調べて
違いはあまり見られないと言う

人と人には違いがあって
違いは個性みたいなもので
性別とか年令とか国籍とは関係なく
似ていることは似ていて
違うところは違う
違いがあってもなくっても
それはなにかのせいではない

違うのがいけないのではなくて
違うのがいけないというのがいけないのだ

Posted in difference | 1 Comment

祈る

自分のために祈るのでなく
他人のために祈るのでもなく
すべての生きとしいけるもののために祈る
そんなことがあちらこちらに書いてある
それはいいことかもしれない
でも
それってきれいごとではないか
表面的すぎやしないか
やっぱり
地球のために祈るのではなく
すべての人のために祈るのでもなく
誰か特別な人のために祈る
そのほうが自然なのではないか
とにかく
言われたように祈るのではなく
決められた通りに祈るのではなく
自分が祈りたいように祈りたいことを祈る
道理を勝手に理解しようとしないで
自分で考えて自分がしたいようにする
正しくはないかもしれない
でも自分でいいと思えればそれでいい

Posted in belief | 1 Comment

重力

玉ねぎの値段で頭を悩ませている人が
憲法改正の論議に乗ってくるわけもなく
病気という大きな問題を抱えた人には
宇宙の大きさは小さな問題でしかない

946兆kmも離れたところで放たれた光が
100年後に地球に到達したとして
それはあまりにも遠すぎて
イメージすることすらできない

重力は時空の歪みが物体を引き寄せる作用だとか
光の軌道は時空の歪みで曲がるとか
宇宙の膨張が加速していると言われたら
なにもわかりたくなくなってしまった

光が放たれたところと地球とが
たがいに引かれ合うわけもなく
100年も宇宙を彷徨ってきた光は
想像もできないくらい孤独だ

Posted in globe | 2 Comments

なんにも知らないのに

メルケルが素晴らしいという
メルケルのことはなんにも知らないのに
ヒットラーは酷い男だという
ヒットラーのことはなんにも知らないのに

Posted in nature | 2 Comments

異なる認識

どの宗教もインチキだと思うから
言っていることが嘘に思えるから
指導者が嘘つきに見えるから
だから世界中の人たちが敵になる

どの政府も酷いなあと思うから
やってることが汚いと思えるから
指導者がイカサマ師に見えるから
だから世界中が敵ばかりになる

どの宗教も信じることができて
どの政府も正しんだと思えたら
世界中の敵は味方になって
世界中の人たちは友だちになる

でも実際はなにも信じられなくて
なにも正しいと思えなくて
世界中は敵ばかりで
友だちはどこにもいない

信じるっていう言葉を表面的に使い続けると
信じていることが人それぞれ違うってことを忘れてしまう
自分の信じていることを話すだけなら
話す意味なんて最初っからない

思うっていう言葉を表面的に使い続けると
思っていることが人それぞれ違うってことを忘れてしまう
自分の思っていることを伝えるだけなら
分かり合えるはずもない

信じるってことをぼやかして
どんな思いも閉じ込めて
あいまいな微笑で人に会い
友だちのふりをする

隣には君がいて
それ以上はなんにも望まないと
他に友だちはいらないのだと
会心の笑いを、君に

Posted in perception | 1 Comment

百年のまぼろし

長いあいだの約束は
ひとつの恋で破られ
思い出は一瞬にして
廃墟のなかの灰になる

嘘は
疑いよりも快適で
愛よりも役に立ち
何よりも長続きする

すばらしい日々は
悲惨さとともに生きる
真実もなく
事実もないところに
すばらしい日々は意味を失う

枯葉の道を歩くとき
百年の孤独が僕に寄りそう
それは仕組まれたものなのか
シナリオ通りのことなのか
私が選び取ったものは
すべてまぼろしだったのか

Posted in globe | 3 Comments

伝わらないこと

こころを籠めて話しても
言いたいことが伝わらない
もどかしいけれど
わかってほしいけれど
言葉を尽くしても
間違って理解されてしまう
誤解される
なにもかもが間違って伝わり
沈黙さえも誤解される
なんにも言わないでいると
嘘をついたと思われ
悪いことをしたかのように
間違ったことをしたかのように
なんにも言っていないのに
優しく響いた音が
なんていう音を出すんだと言われ
間違って出した音ではないのに
いいと思って出した音なのに
こころを籠めて奏でても
そのこころは伝わらない

Posted in communication | 1 Comment

抵抗

政権の脅威は
やつらが権力を握る前にのみ
闘うことができる
でも闘うはずの若い人たちは
抵抗とは程遠い

人は若いと純粋で
純粋だから利用され
飛行機で敵艦に突っ込んだり
大人にとんがり棒をかぶせたり
抵抗しても知れている

自殺は卑怯なことだと言われ
ひきこもりには同情もない
いたずら書きは逮捕され
発言しても相手にされず
若い人の抵抗は徒労に終わる

若い人はわがままで
ないものねだりはどこまでも続く
愛する人と暮らしたい
素敵な場所で暮らしたい
自由が欲しい、お金が欲しい

欲しいものを手に入れるには
抵抗なんてしていられない
ギターを手に入れるためならば
なんでも言うことを聞いて
抵抗なんて忘れてしまおう

従順でいれば大人に好かれ
賞賛されて美化される
抵抗なんかで人生を棒にふれば
あなたは一生後悔をする
抵抗の代償は高いのだ

それでも抵抗をあきらめず
正しい大人をやりながらも
ひそかな抵抗を繰り返し
優しい人を演じながら
抵抗の種を蒔く

Posted in globe | 2 Comments

僕を見る目

マスクをしない僕を見る目は
非難に満ち溢れている
非国民といって
ののしっている

みんなでマスクをつけて
もう一度
敗戦国になってしまえ

Posted in attitude | 5 Comments

偽善者

雌が産む卵や子の数は
死亡率の大小に比例する
死亡率が高いと生まれる数は多くなり
死亡率が低いと生まれる数は少なくなる
それが動物の世界

たくさん生まれれば
たくさん死んでもいい
ひとりしか生まれなければ
ひとりも死んではいけない
そんなものなのだろうか

何百人もの人を殺した地震は悪
何千匹もの魚を釣り上げた釣り人は善
何万人もの人を殺したウイルスは悪
何億もの菌を消毒して殺した人は善
そんなことはあたりまえ

命を大切にと説く人たちが
戦争に行けば敵をたくさん殺し
人の命は地球より重いという人が
人々が殺されていることに目を瞑る
大事なのは自分の命だけ

誠実さという仮面をかぶった人が
したり顔で話す
それを聞いた僕は
気持ち悪くなる
偽善を偽善とも思わない人

連帯という言葉を使って
繋がりが大事だという
その人と繋がらない僕は
連帯の外にいる
連帯というこころの狭さ

共感し合う人たちは
共感しない人たちを
冷たい目でみたり
疎外したりいじめたりする
いったい誰が共感などするものか

誠実さ、連帯、共感
思い上がってはいけない
人が怖い
人のすることが怖い
いい人がいちばん怖い

Posted in dogme | 1 Comment

・・・よりも

記憶に残された遺書は
文字に残された遺書より
はるかに重い

消えるものは
残っていくものよりも
心を打つ

好きな言葉は
正しい言葉より
こころにしみ入る

楽器が奏でる音楽は
機械から流れてくる音楽より
ずっといい

Posted in belief | 1 Comment

シベリアは寒い

シベリアに抑留された人たちは
苛酷な状況のなかで純粋になり
高潔になっていった
その人たちは確かに運が悪かった
けれども不運さゆえに、不幸さゆえに
純粋さと高潔さは際立つ
その人たちがたどり着いた高みは
私たちにはたどり着けない

官庁で高い地位に上り詰めた人たちは
嘘をついたり誤魔化したりしているうちに
醜くなっていった
その人は確かに運が良かった
けれども幸運なのに、幸せなのに
嘘と醜さが際立つ
そのたち人がたどりついた場所は
見かけだけでさもしいばかり

苛酷な状況のなかにいても
汚く立ち回った人たちがいる
でも、官庁の高い地位にいて
純粋さを保った人はいない

Posted in attitude | 1 Comment

中庸

新しい世界を夢想する
夢想したのは明るいか
新しい世界を思い描いた時
思い描かれたものは中庸か
そこに嘘は混じってないか
誰かを傷つけてはいないか

石や樹や水といった
近くにいるものたちも
太陽や月や星といった
遠くに見えるものたちも
嘘をつかないし
傷つけることもない

動物はみんな自由だ
でも限界を超えてはいけない
用心を怠れば傷つき
運が悪ければ命を失う
人間もみんな自由だ
でも人間も動物だ

人間も動物だから
身を守るために
戦わなければならない
暴力を認めなければ
でも、自分の望みを叶えるための
暴力は自分を裏切る

自由がほしければ
正義などと言わないことだ
正義は自由を認めない
ひとつの正義を信じる人は
他の正義を認めないから
正義は自由を壊す

Posted in freedom | 1 Comment

山本幡男

古里遠く 異國に
君若くして みまかりぬ
夢に忘れぬ たらちねの
姿を永遠に 慕ひつつ

寒風狂ふ 北の涯
君若くして 世を去りぬ
暗き戰の 犠牲に
集ひてこゝに 弔はん
 

Posted in heart | 4 Comments

辺見じゅん

それぞれの遺書を読むことで 戦場とは戦争とは何かということを 私たちひとりひとりが自分自身に向かって問いかけることが 大切ではないか そう思っております

おそらくですね 記憶で運ばれた遺書というのは 前代未聞 これからも考えられないような気がするんですね

言葉というのは ことのはと書きますよね ほんとに ことのはなんです そして言霊でもある そこのなかに人間の魂が籠っている 人間が最後に残す言葉というのは ぐさっとささるし そして 染み入るんですね

Posted in heart | 2 Comments

臼井康兆

新型コロナウィルス時代をどう生きるか-。多くの人が自問自答する中、アルベール・カミュの小説「ペスト」が読み直されている。疫病の発生で隔離された街の市民を描いたフィクションだ。
小説の発表は、第二次世界大戦の終戦二年後の一九四七年。大量の人の死など「悪」が象徴的に描かれているとされ、対比するように「誠実さ」「連帯」「共感」などのキーワードがちりばめられている。

Posted in dogme | 4 Comments

竹中治堅

 日本では1月15日にコロナウィルスの最初の感染者が確認される。最初の感染者は中国・武漢市への渡航歴があった(『日本経済新聞』 1月16日)。1月28日には武漢滞在歴のない奈良県のバス運転手が感染していることが判明する(『日本経済新聞』 1月29日)
 安倍内閣の初期対応は迅速だった。1月16日に武漢への渡航歴がある日本人の感染が確認されると関係省庁会議を開催、1月21日には関係閣僚会議を立ち上げている。1月28日に新型コロナウィルスを指定感染症と検疫感染症とすることを閣議決定、入院措置を講じられるようにしている。
 さらに1月30日に首相を本部長とする新型コロナウィルス感染症対策本部を立ち上げることを閣議決定する。同日第1回会合が開かれている。
 また、1月31日には中国湖北省からの入国を拒否する方針を水際対策として打ち出す。対策のため、出入国管理及び難民認定法を最大限柔軟に解釈した。
 2月1日にはコロナウィルスによる肺炎を感染症法上の「指定感染症」と定める政令を施行する。これにより患者に入院勧告や強制入院を行うことが可能になった。

Posted in health | 1 Comment

Pornhub

Posted in health | 2 Comments

Erich Kästner

Die Ereignisse von 1933 bis 1945 hätten spätestens 1928 bekämpft werden müssen. Später war es zu spät. Man darf nicht warten, bis der Freiheitskampf Landesverrat genannt wird. Man darf nicht warten, bis aus dem Schneeball eine Lawine geworden ist. Man muss den rollenden Schneeball zertreten. Die Lawine hält keiner mehr auf. Sie ruht erst, wenn sie alles unter sich begraben hat.
Das ist die Lehre, das ist das Fazit dessen, was uns 1933 widerfuhr. Das ist der Schluss, den wir aus unseren Erfahrungen ziehen müssen, und es ist der Schluss meiner Rede. Drohende Diktaturen lassen sich nur bekämpfen, ehe sie die Macht übernommen haben.

Posted in time | 3 Comments

Franz Kafka

“Now, if you will permit me,” said K., “I will ask you a rather rude question.”
The landlady remained silent.
“So I may not ask,” said K., “that’s enough for me, too.”
“Oh, of course,” said the landlady, “that’s enough for you, that especially. You misinterpret everything, even the silence. You simply cannot help it. I do give you permission to ask.”
“If I’m misinterpreting everything,” said K., “then perhaps I’m also misinterpreting my own question, perhaps it isn’t all that rude. I simply wanted to know how you met your husband and how this inn came into your hands.”

Posted in story | 1 Comment

Gabriel García Márquez, 黒木本店

Posted in happiness | 2 Comments

最果タヒ

想像の範囲内で生きていくのはつまらないですよね。みんな、本質的には色々な感情を持っている。それなのに、相手にわかるように言葉で説明するときに、とにかく単純化してしまいがちです。その都度、自分の感情を削ぎ落として、よくある話として、ポンって出してしまう。わかる話ばかり受け取っていると、概念しか残らないんですよ。例えば「愛」って言葉を表面的に使い続けると、その「愛」が人それぞれ違うってことを忘れてしまう。自分の知っている概念を話すだけなら、いっそ話す意味なんてないじゃないですか。

Posted in poem | 2 Comments

谷川俊太郎

万有引力とは
ひき合う孤独の力である
 
宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う
 
宇宙はどんどん膨らんでゆく
それ故みんなは不安である
 
二十億光年の孤独に
僕は思わずくしゃみをした

Posted in poem | 2 Comments

らくなちゅらる通信

「祈り」は学校教育にも取り入れられています。毎朝の朝礼で児童たちは必ず1分間の瞑想をするのです。朝一番に祈りを捧げることで、授業中の集中力が高まるという調査結果も出ているとのこと。
では、ブータン人のみなさんは、祈るとき一体何を考えているのでしょうか?
質問をしたほとんどの方が真っ先に答えたフレーズは、「生きとし生けるものすべてが、災いから解き放たれ、幸せになりますように」。ブータンの人々は、仏壇に祈りを捧げるとき、お経を唱えながら、まず第一に、「すべての生きとしいけるもの」に祈りを捧げるのです。

Posted in belief | 1 Comment

W. Robert Moore

Posted in picture | 1 Comment

Barry L. Beyerstein

Whenever I venture out of the Ivory Tower to deliver public lectures about the brain, by far the most likely question I can expect as the talk winds up is, “Do we really only use 10 percent of our brains?” The look of disappointment that usually follows when I say it isn’t so strongly suggests that the 10-percent myth is one of those hopeful shibboleths that refuses to die simply because it would be so darn nice if it were true.
Why would a neuroscientist immediately doubt that 90 percent of the average brain lies perpetually fallow? First of all, it is obvious that the brain, like all our other organs, has been shaped by natural selection. Brain tissue is metabolically expensive both to grow and to run, and it strains credulity to think that evolution would have permitted squandering of resources on a scale necessary to build and maintain such a massively underutilized organ. Moreover, doubts are fueled by ample evidence from clinical neurology. Losing far less than 90 percent of the brain to accident or disease has catastrophic consequences. What is more, observing the effects of head injury reveals that there does not seem to be any area of the brain that can be destroyed by strokes, head trauma, or other manner, without leaving the patient with some kind of functional deficit. Likewise, electrical stimulation of points in the brain during neurosurgery has failed so far to uncover any dormant areas where no percept, emotion or movement is elicited by applying these tiny currents.

Posted in lie | 3 Comments

Nextstrain

Posted in technology | 3 Comments

四本裕子

駒場の1年生の心理学の講義で、最初にやるんですよ。血液型性格判断がいかに正しくないか、科学的じゃないか。でも、結構な数の子があれでショックを受けちゃうんですよね。今まで信じてましたって。でも、サイエンスとしての心理学の講義をとる以上、そこのところはちゃんとしてほしいです。血液型性格判断は、もう100パーセント非科学的なんですけど、ただ、血液型性格判断を信じてしまう人の心理っていうのは、おもしろい研究対象ではありますね。

Posted in human being | 3 Comments

四本裕子

間違った心理学で、男性がこう、女性がこうとか、世の中ではよく言われていますね。 例えば、男女の脳の違いとして、男性の方が左右の脳の連携がよくないとか。これには、元になった論文がありまして、1982年に『サイエンス』誌で発表されています。男女それぞれ、脳梁の太さを測ったら、女性のほうが太かったと。でも、この論文のデータは男性9人、女性5人からしかとってないんです。それだけで、女性のほうが左右の脳の連絡がよくできてるっていう結果にしている。そもそも信頼性がないし、その後、いろいろな研究者が再現しようとしたんだけど、結局できてません。今さすがにこれを信じている脳科学者はあんまりいないんですよ。

パターン認識は、最近の機械学習が得意なので、パターンの違いを学習したAIに分類させると、約92%の精度で男女を見分けることができる、くらいのことは言えるんです。でも、これって、たぶん男女じゃなくても、これくらいの差は出るんですよね。例えば、20代の人と30代の人、というふうに比べてもやっぱり差はでると思います。

Posted in globe | 2 Comments