MSN産経ニュース

CCTVは2000年に英語チャンネルを開始したのを皮切りに、04年にスペイン語とフランス語放送、09年にはアラビア語とロシア語の放送も開始。NHK国際放送(テレビ)は英語チャンネルだけだが、CCTVは国連の6つの公用語をすべて網羅している。
外国の都市のケーブルテレビのほか、衛星を通じてテレビ番組を世界中に流している。CCTV関係者は「12億人近い人が見ている世界で最も視聴者数が多いテレビ局」と主張する。
以前は政府から補助金をもらっていたが、広告収入の増加もあり現在は受け取っていないとしている。主な収入源は広告と映像ソフトの販売。現在は240億元(3600億円)以上と推定され、10年前の2倍以上になっている。
2011年の段階で従業員は契約社員を含め1万3000人、海外支局は53カ所。現在はさらに増えている。昨年にはアフリカ(ケニア)と北米に相次いで支社を開設した。同年2月に米国の首都ワシントンで放送を開始したのがCCTVアメリカだ。

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  1. shinichi Post author

    新帝国時代

    プロパガンダ戦争

    (1)ソフトパワーの「先兵」CCTV

    http://sankei.jp.msn.com/world/news/130401/chn13040111200001-n1.htm

     沖縄県・尖閣諸島の国有化を受けて中国全土に吹き荒れた反日デモが収束してから約1カ月後の昨年10月下旬のことだった。北京を訪れたイベント会社経営の日本人男性が滞在したホテルの部屋に、CCTV(中国国営中央テレビ)幹部が訪ねてきた。男性は約10年前にCCTVが製作した日本に関する番組に協力したことをきっかけに、この幹部と知り合った。

     「私たちの英語チャンネルを日本の主要都市で放送したい。実現すれば大金が入る」

     幹部はこう切り出した。英語チャンネルはCCTVが持つ20以上のチャンネルの1つ。日本ではまだ放送されていない24時間ニュース番組を流し、中国政府の視点で国内外の出来事を解説しているのが特徴だ。

     反日デモをめぐり日本メディアによる中国批判が強まったなかで、各地のケーブルテレビなどを通じてCCTVの番組を流すことができれば、中国側の見方を日本の視聴者に直接提供できる。こんな思惑が中国側にはあったとみられる。

     幹部は「ホテルなどで見られるようにすればいい。一般家庭は無理でも構わない」と述べ、実現すれば中国当局から資金援助が受けられると語った。

     男性は日中関係が悪化しているなかで「自分ができるビジネスではない」と判断、丁重に断ったという。

    × × ×

     CCTVは2000年に英語チャンネルを開始したのを皮切りに、04年にスペイン語とフランス語放送、09年にはアラビア語とロシア語の放送も開始。NHK国際放送(テレビ)は英語チャンネルだけだが、CCTVは国連の6つの公用語をすべて網羅している。

     外国の都市のケーブルテレビのほか、衛星を通じてテレビ番組を世界中に流している。CCTV関係者は「12億人近い人が見ている世界で最も視聴者数が多いテレビ局」と主張する。

     以前は政府から補助金をもらっていたが、広告収入の増加もあり現在は受け取っていないとしている。主な収入源は広告と映像ソフトの販売。現在は240億元(3600億円)以上と推定され、10年前の2倍以上になっている。

     2011年の段階で従業員は契約社員を含め1万3000人、海外支局は53カ所。現在はさらに増えている。昨年にはアフリカ(ケニア)と北米に相次いで支社を開設した。同年2月に米国の首都ワシントンで放送を開始したのがCCTVアメリカだ。

    × × ×

     CCTVアメリカはホワイトハウスまで約1キロ、米議会まで約2キロの距離にある。全面ガラス張りのモダンな建物だが、CCTVの表示はない。キャスターにCBS系列のテレビ局に出演していた白人のマイク・ウォルター氏らを起用するなど、中国色を薄める工夫をしている。

     顧問を務めるベテランジャーナリストのジム・ローリー氏によると、スタッフは100人程度。中国人は2割で「給与は米大手ネットワークと遜(そん)色(しょく)がない」という。ローリー氏は「CCTVといえばプロパガンダといわれるが、ステレオタイプで判断しないでほしい。世界的な放送局を目指している」と強調する。

     同氏は「報道内容に(中国当局から)規制がかかることもない」と胸を張るが、完全な報道の自由が保障されているとはいえないようだ。ローリー氏は尖閣諸島問題では、ほとんどが中国国内で作成された内容を伝えるとしたうえで、「Senkakuではなく(中国名の)Diaoyuと呼ぶ」と語る。

     英語チャンネルでは視聴者を誘導するような報道も時にある。たとえば、尖閣問題での中国の主張を伝えるニュースの前に、北方領土をめぐる日露の対立を紹介する。続けて韓国で起きた慰安婦問題をめぐる反日行動の報道などと合わせて紹介。日本は周辺国との「トラブルメーカー」であると印象づけるのだ。

     中国共産党の理論誌『求是』3月号に掲載された国防大教授2人の論文は世論形成強化について「国際競争力を強化するうえで必然の選択」と明記している。

     CCTVの海外展開からは、中国政府のソフトパワー戦略の「先兵」としての姿が浮かび上がってくる。

    プロパガンダ戦争

    (2)南太平洋でも中国語浸透

    http://sankei.jp.msn.com/world/news/130402/asi13040208560001-n1.htm

     南太平洋に浮かぶフィジーの首都スバにある南太平洋大学。太平洋地域の12島嶼(とうしょ)国が共同で設立した大学で、同地域の将来を担う優秀な人材が集う。そのキャンパスの中に孔子像が立つ。昨年9月に開校した中国の教育機関「孔子学院」の目印となっている。

     「睡覚(シュイジャオ)」(寝る)

     「起床(チーチョァン)」(起きる)

     冷房が入っているにもかかわらず熱気に満ちた教室からは、中国人教師の声に続けて発音するフィジー人受講生20人の声がこだましていた。

     学生向けの中国語授業もあるが、この日は近隣住民が受講できるクラスの日。週1回2時間で17週間のレッスン料は200フィジードル(約1万円)で、「受講希望者は定員の100人を上回る人気ぶり」(大学関係者)だ。

     夫婦で受講するジャグ・ラムさん(40)は「仕事の関係で中国本土と香港、台湾に頻繁に出張する。取引相手と中国語で会話をしたいので授業は絶対に休めない」と話す。

     「かつてフィジーの人は日本語を学んでいたが、いまは中国語を学んでいる」と話すのは首相府のピコ・ティコンドゥアドゥア次官だ。南太平洋大によると、設立費15万米ドル(約1400万円)は中国がすべて負担している。

     2006年の軍事クーデターで、欧米や日本から事実上の制裁措置を受けているフィジーにとって、条件なしで開発目的の援助を行ってくれるのは中国だけだ。現地の支援関係者はこう指摘する。

     「孔子学院は長期的な展望を持って、ソフト面でも浸透を図ろうとする中国の戦略の一部だ」

    取材に「圧力」

     孔子学院はCCTV(中国国営中央テレビ)と連携し、各地で中国語のスピーチコンテストを開催している。10年度報告によると、同年は62カ国から10万人が参加した。孔子学院とCCTVは中国のソフトパワー拡大の“車の両輪”となっているわけだ。

     フィジーでもCCTVは有料ケーブルで放送されている。運営するフィジー・テレビにCCTVの放送内容について取材したが、対応に出てきた顧問弁護士は「NHK国際放送のほうが内容が素晴らしいから私は好き」とはぐらかすばかり。同テレビ関係者は「フィジー政府と友好関係にある中国への配慮から、日本のメディアからの問い合わせに応じるなという圧力がかかった」と明かす。

     放送免許は半年ごとにフィジー政府から更新されるだけに、テレビ局側も自由に動けないようだ。

     フィジー情報省が月2回発行する新聞には、中国関係ニュースに特化したページが設けられている。中国からの援助をうけたプロジェクトにからむイベントには国内メディアを駆り出すなど、フィジー政府の対応からは中国への配慮が随所にうかがえる。

    台湾を手本に

     「中国は文化交流を重視してきた台湾のやり方を見習っている。中国と台湾に共通しているのは、宣伝が大事だと認識し、優秀な人材と予算をつけることだ」

     米シンクタンクに在籍したことのある東京財団の渡部恒雄上席研究員は中国の手法をこう分析する。

     中国のソフトパワー拡大は米シンクタンクでも顕著だ。シンクタンク事情に詳しい米ペンシルベニア大国際関係プログラムのジェームズ・マックガン副所長は、中国関連のプログラムや使節団員の訪問数の増加など「皮膚感覚として(ワシントンでの)中国人の増加は間違いない」と語る。

     シンクタンクでは人脈の構築だけでなく、米政府の政策決定プロセスや人事情報、米議会に影響力のある専門家の特定など生きた情報として入手できる利点がある。もっとも、ソフト路線一辺倒ではないようだ。

     最近では中国が発信源とみられるシンクタンクへのハッカー攻撃も多発している。米メディアによると閣僚経験者などの有力者が会員に名を連ねる外交問題評議会などが標的となった。

     マックガン氏は「米国の研究者には中国への懐疑心と慎重さが求められる」と警鐘を鳴らすのだが…。

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