テクノロジーは儲かる。アメリカの Alphabet(Google)、Apple、Meta(Facebook)、Amazon、Microsoft などに目を向けてみれば、その意味は明らかだろう。IBM、インテル、シスコシステムズ、オラクルなどの古くからあるテクノロジー企業も安定した業績を残していて、テクノロジーがカネになるのは間違いない。
そして中国のいわゆるチャイナテックを見てみると、カネになるという言葉の意味がもっとはっきりしてくる。IoT関連産業や AI関連産業は年20~30%、フィンテックは年60%の成長率を見せ、会社単位で見ても、字节跳动、百度、腾讯、阿里巴巴、华为技术、小米、京東などの業績はどれも右肩上がりが続いている。
テクノロジー企業が資金を手にすると、会社の将来のために、資金を自社開発に投入したものだった。今の状況は少し違って、資金は他の有望なスタートアップへの投資に向けられる。成功した企業には最新のテクノロジーをキャッチアップすることは無理だから、スタートアップへの投資は理に適っていると言われている。
もっともスタートアップの殆どは失敗に終わる。アメリカに限っても、テクノロジー企業の70%が失敗し、ハードウェア企業に限れば 97%が破綻に追い込まれている。中国の事情も、そうは違わない。なくなってしまう会社に投資しても儲かりはしない。それでも投資をするのは、成功した時の儲けが大きいからだ。
テクノロジーはカネになると言われているが、テクノロジーだから金儲けにつながるというわけではない。テクノロジーと金儲けは分けて考えたほうがよいのだが、投資しなければ大きく儲けることもない。宝くじを買っている人が、買わなければ当たらないと言っているのと、何ら変わりがない。
テクノロジーで金儲けをするのは難しい。金儲けができない理由のひとつは、パブリックセクターにある。税金のほかにもスタンダードだとかサーティフィケートだとかいっておカネを持ってゆく。それが重しになってしまう。もうひとつの理由は、金儲けが目的になってしまっていること。金儲けが目的になると、金儲けはできない。
(sk)
第513作
Money-oriented Society
(The Society Series #19)