SECIモデルは、野中の著書『知識創造の経営』(日本経済新聞社/1990年)、『The Knowledge-Creating Company』(Harvard Business Review掲載/1991年)に“知の変換過程”としてその前身が公表されていたが、1995年に出版された『The Knowledge-Creating Company』(オックスフォード大学出版/Harvard Business Review掲載論文の増補版)で世界的に広く知られるようになった。その後、野中自身も含めて多くの研究者・実践者によって新たな応用、展開が図られている。
SECIモデル
http://www.itmedia.co.jp/im/articles/0501/19/news128.html
知識の共有・活用によって優れた業績を挙げている“知識創造企業”がどのようにして組織的知識を生み出しているかを説明するため、一橋大学大学院の野中郁次郎教授らが示したプロセスモデル。ナレッジマネジメントの基礎理論として知られる。
野中らの組織的知識創造理論では、知識には暗黙知と形式知の2つがあり、それを個人・集団・組織の間で、相互に絶え間なく変換・移転することによって新たな知識が創造されると考える。こうした暗黙知と形式知の交換と知識移転のプロセスを示すのが、SECIモデルである。
■ 共同化(Socialization)
共同体験などによって、暗黙知を獲得・伝達するプロセス
■ 表出化(Externalization)
得られた暗黙知を共有できるよう形式知に変換するプロセス
■ 連結化(Combination)
形式知同士を組み合わせて新たな形式知を創造するプロセス
■ 内面化(Internalization)
利用可能となった形式知を基に、個人が実践を行い、その知識を体得するプロセス
すべての知の源泉は個々人の体験に基づく暗黙知であり、まずそのレベルで相互理解(OJTや手取り足取りなどの経験伝授、以心伝心など)を進める(共同化)。しかし個人に属する暗黙知は、そのままでは他者と共有しにくいため、言語や図表、数式などによって形式知に変換する(表出化)。言語化することでよりコンセプチュアルになり、本質理解が進むことも期待される。
形式知となった知識を材料にしてより体系的、総合的知識を作り出す(連結化)。ここではグループウェアやナレッジベースなどのIT活用が考えられ、他部門の知識に刺激を受け、新たな知が生まれたり、断片的な知識から総合的判断を行うといったことが想定される。個別のアイデアを総合して製品化するといった例もこのステップに該当する。
体系化/総合化された形式知は、それそのものは単なるドキュメントやマニュアルである。これを真の意味で知として個人が身に付けるには、実践や体験を通じた身体知化が必要となる(内面化)。
こうして再び暗黙知となった個々人の知識を、共同化を通じて他人と共有していく――。
これがSECIモデルが示す知識創造のプロセスである。そのプロセスは継続的な循環が想定されているため、「知識創造スパイラル」という。
SECIモデルは、野中の著書『知識創造の経営』(日本経済新聞社/1990年)、『The Knowledge-Creating Company』(Harvard Business Review掲載/1991年)に“知の変換過程”としてその前身が公表されていたが、1995年に出版された『The Knowledge-Creating Company』(オックスフォード大学出版/Harvard Business Review掲載論文の増補版)で世界的に広く知られるようになった。その後、野中自身も含めて多くの研究者・実践者によって新たな応用、展開が図られている。