ジェームズ・ジョル

「気の毒だが、諸君はとりのこされた人間だ。諸君の運命はきわまった。諸君の役割はおわったのだ。諸君にふさわしいあの歴史の掃きだめに、諸君はさっさと消え失せるがよい」。一九一七年一〇年、トロツキーは反対派のメンシェヴィキをこう非難したというが、これは歴史にたいするひとつの全体的な見方を代表するものである。この見方にしたがえば、歴史家にとって大事なのは、勝利をおさめた立場だけであり、歴史の前進に寄与しない運動や個人は、反動か、無知のいずれかなのだから、無視するか、嘲笑するか、放逐するか、そのへんがかれらにふさわしい処置である、ということになる。歴史をこのようにあつかってきたのは、なにもマルクス主義者ばかりではない。キリスト教の立場にたつ歴史家は異教徒にたいして、自由主義的な歴史家は保守主義者にたいして、それぞれおなじ見方をあてはめてきたのである。

1 thought on “ジェームズ・ジョル

  1. shinichi Post author


     
    アナキスト

    ジェームズ・ジョル (著)
    萩原 延寿 (翻訳)
    野水 瑞穂 (翻訳)

    (1975年)

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    緒論

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