最終氷期の気温(University of Arizona)

地球最後の氷期「最終氷期」は、およそ7万年前に始まり、2万1千年前に最盛期を迎えて、1万年前に終了したことがわかっています。
約2万年前の最終氷期の最盛期には、巨大な氷河が北米、ヨーロッパ、南米、アジアの多くの地域の約半分を覆い、中緯度地域まで凍りつく極寒の時代でした。
一般的な氷河期のイメージはこの氷期を指すものですが、本来の氷河期は現代の間氷期と氷期を含めた長い時代を指す言葉です。
アリゾナ大学の研究者たちは、海洋プランクトンの化石から収集したデータを海面水温に変換するモデルを開発しました。そして、このデータを気象予報に使用されるデータと同化させ、気象モデルのシミュレーションと組み合わせ当時の気温を予測したのです。こうした方法から、研究チームは最後の氷期の世界平均気温が約8℃だったという結果を発表しました。20世紀の世界平均気温は14℃なので、氷期はそれより6℃低かったということになります。これは大した差ではないように感じますが、実際にはとても大きな変化です。
最終氷期では北アメリカやヨーロッパの北部は完全に氷に閉ざされていてました。特に極端なのが北極海などの高緯度地域で、そこでは現在よりも14℃も気温が低かったことがわかりました。
これは地球の極が気候変動の影響を受けやすいという、現代の科学的理解と一致している結果です。

2 thoughts on “最終氷期の気温(University of Arizona)

  1. shinichi Post author

    謎に包まれていた、地球最後の氷期の平均気温が明らかに!

    by 海沼賢、やまがしゅんいち

    https://nazology.net/archives/67678

    勘違いされている氷河期

    氷河学(雪氷学)の定義では、地球上に大陸並みに凍結した広い氷床がある時代を氷河期といいます。

    最後の氷河期という表現を先ほど使いましたが、実は南極大陸やグリーンランドなど年間を通じて広い氷床に覆われた地面がある現代も、実は分類上は氷河期にあたります。

    クソ暑いのに何いってんだ! と思う人もいるでしょうが、氷河期の中にも特に寒冷化の進んだ氷期と、比較的温暖な間氷期があり、現代はその間氷期にあたる時代なのです。

    恐竜が生きていた中生代などは、南極北極含めて地球上に氷床は存在しておらず、こうした時代が真に温かい温暖期と呼ばれます。

    そして地球最後の氷期「最終氷期」は、およそ7万年前に始まり、2万1千年前に最盛期を迎えて、1万年前に終了したことがわかっています。

    約2万年前の最終氷期の最盛期には、巨大な氷河が北米、ヨーロッパ、南米、アジアの多くの地域の約半分を覆い、中緯度地域まで凍りつく極寒の時代でした。

    一般的な氷河期のイメージはこの氷期を指すものですが、本来の氷河期は現代の間氷期と氷期を含めた長い時代を指す言葉です。これが混同して使われているのは、研究者にとってはもどかしい問題かもしれません。

    地球最後の氷期の気温

    米国アリゾナ大学の地球科学科のJessica Tierney准教授は、海洋プランクトンの化石から収集したデータを海面水温に変換するモデルを開発しました。

    そして、このデータを気象予報に使用されるデータと同化させ、気象モデルのシミュレーションと組み合わせ当時の気温を予測したのです。

    こうした方法から、研究チームは最後の氷期の世界平均気温が約8℃だったという結果を発表しました。

    20世紀の世界平均気温は14℃なので、氷期はそれより6℃低かったということになります。

    これは大した差ではないように感じますが、実際にはとても大きな変化です。

    この事実を説明するため、研究チームは地球上の特定の地域の気温がどの程度変化しているかを示す地図を作成しました。

    最終氷期では北アメリカやヨーロッパの北部は完全に氷に閉ざされていて、今回の研究拠点となっている米国アリゾナ州もかなり寒かったことがわかります。

    しかし、特に極端なのが北極海などの高緯度地域で、そこでは現在よりも14℃も気温が低かったことがわかります。

    これは地球の極が気候変動の影響を受けやすいという、現代の科学的理解と一致している結果です。

    これからの北極圏の温度はどう変化する?

    北極圏の温度変化は極増幅と呼ばれていて、緯度が高いほど気候変動の影響を受けやすくなるのです。

    この事実は、今後地球温暖化が進んだ場合、北極圏に最終氷期の最盛期と逆の現象が起こるだろうと予想されます。

    つまり北極圏は地球全体の気温上昇と比較して、ずっと極端に暖かくなっていくだろうと考えられるのです。

    しかし、現代がまだ過去の地球と比べれば寒い時代にあたる可能性は高いと考えられます。

    今後研究チームは、今回の手法を発展させて地球の温暖だった時代(温暖期)の平均気温も明らかにしようと計画しています。

    これが明らかになれば、地球にとって本当に二酸化炭素レベルの高い状態がどのようなものか、その影響や将来の気候変動についての理解を得ることができるでしょう。

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  2. shinichi Post author

    Glacial cooling and climate sensitivity revisited

    by Jessica E. Tierney, Jiang Zhu, Jonathan King, Steven B. Malevich, Gregory J. Hakim & Christopher J. Poulsen

    Nature volume 584, pages 569–573 (2020)

    https://www.nature.com/articles/s41586-020-2617-x

    The Last Glacial Maximum (LGM), one of the best studied palaeoclimatic intervals, offers an excellent opportunity to investigate how the climate system responds to changes in greenhouse gases and the cryosphere. Previous work has sought to constrain the magnitude and pattern of glacial cooling from palaeothermometers, but the uneven distribution of the proxies, as well as their uncertainties, has challenged the construction of a full-field view of the LGM climate state. Here we combine a large collection of geochemical proxies for sea surface temperature with an isotope-enabled climate model ensemble to produce a field reconstruction of LGM temperatures using data assimilation. The reconstruction is validated with withheld proxies as well as independent ice core and speleothem δ18O measurements. Our assimilated product provides a constraint on global mean LGM cooling of −6.1 degrees Celsius (95 per cent confidence interval: −6.5 to −5.7 degrees Celsius). Given assumptions concerning the radiative forcing of greenhouse gases, ice sheets and mineral dust aerosols, this cooling translates to an equilibrium climate sensitivity of 3.4 degrees Celsius (2.4–4.5 degrees Celsius), a value that is higher than previous LGM-based estimates but consistent with the traditional consensus range of 2–4.5 degrees Celsius.

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