変わらないこと

今から2500年くらい前に古代ギリシャの哲学者プラトンが
 普通の人は国家という船をどうやって操縦したらいいのか知らない
 だから多数決による民主主義は成り立たない
というようなことを書き残した

驚いたことに 書いてあることの殆どが
今になっても何も変わらずに続いている
他の何もかもが大きく変わったというのに
人も仕組みも変わらないのだ

普通の人は誰も
戦略とか経済とか軍事とか法律とか倫理とか外国のことに
つまりは わかりにくい複雑な問題に
精通してはいない
そういった知識を得たいとも思っていない
努力とか自制とかいったものにも興味を示すこともない
無知のせいで 外見や弁舌で騙すような政治家を選び
なにが起きているかもわからないままに
見えないトリックに騙され続ける
注意深い分析もせずに不合理な感情に揺り動かされ
言葉だけの冒険的な方向に突き進み
抜け出せない泥沼に足を踏み入れる

誰もがが異常に忙しく 考える時間すら持つことができない
情報は溢れ どの情報が信頼できるものなのかも定かでない
いい加減なことを信じ もっともらしく見える単純さを選ぶ
すべての変化が正しく見えて 変わらないことは軽く扱われ
隣国とわかり合い仲良くするよりは 仲違いするほうを選び
あらゆる判断が危ういものになっても 誰にも変えられない

それでいいのかと自問しても いい方法ななにもない
民主主義がそんなに素晴らしいのかと言っても
民主主義に代わるものはなんなのかと言われる
代わるものがなければ 変えることもできない

自由 平和 愛 人権 人道 博愛
そんな言葉に惑わされて
隠れたものを見ないでいると
いつのまにか暗闇に突き落とされる

権力の周りに群がっている人たちは
自分たちにカネがまわるようにと
ありとあらゆる手段を尽くす
自分たちの策略がうまくいかずに
他の人たちにカネがまわりだすと
その人たちを陥れ
賄賂に使った以上のものを必ず手に入れる

複雑な問題に精通する人たちは
邪魔だと言って遠ざけられ
長期的な目を持っている人たちは
危険なので口を封じられる

やがてひとつの時代が終わり
新しい時代には新しい人が現れて
新しい仕組みと新しい言葉が
人々に希望を抱かせる

でも 人のやることは
なにからなにまで繰り返し
ペテン師はいつになってもペテン師で
人の好い人たちはいつも割を食う

みんなの意見が反映されるとされる社会と
みんなの意見が反映されないと批判される社会とで
いったい何が違うのか
何も違わないじゃないか

違いを生むのはそこにいる人
人ひとりひとりが違いを生む
制度もなにも関係ない
大事なのは人なのだ

王様は 人々が王様だと敬うから王様で
偉い人も 人々が偉い人と思うから偉いわけで
もし人々が敬わず 人々が偉い人だと思わなければ
王様も偉い人もただの人でしかない

民主主義も人々がいいと思うからいいのであって
いいと思わなければ なんの価値もない
大事なのは仕組みではなくて
人が大事なのだ

One thought on “変わらないこと

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