>堺屋太一

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(モンゴル帝国の財政官)ヤラワチは「自分に通貨の発行権を与えてくれたら、向こう100年間、増税なしで国家運営できるようにしてみせます」と大見得を切り、実際に紙幣を大量に発行した。彼は「おカネは金や銀に換わるから価値があるのではなく、有利子で借りる人がいるから価値がある」と考えた。つまり、おカネの「投資手段としての価値がある」ことに目を向けたわけです。
 そこで、ヤラワチは借り手を確保するために今で言うファンドを作り、貿易商人らに事業の運転資金としておカネを貸した。しかし30年後には、運転資金に貸すだけでは借り手が足りず、設備資金としても貸します。さらに、もう30年後には、王侯貴族に大名貸しまで始めた。これは消費者金融ですから、危険です。
 はたしてその20年後、モンゴル帝国は内乱が起きて大名貸しが回収不能となり、ファンドは次々に倒産してモンゴルの紙幣は価値を失ってしまうのです。
 このヤラワチと同じことをやったのが、レーガン大統領以降のアメリカです。
 つまり’80年代から、アメリカはドルをどんどん発行し、中小企業や新興企業に貸した。これがジャンクボンドです。そして、’90年代にはジャンクボンドが行き詰まると新興国に貸した。それも、’97年のアジア通貨危機でダメになり、次にはIT企業の設備投資に融資してITバブルが起きます。これも’01年には崩壊した。こうしていよいよ貸す相手がなくなり、目を付けたのが消費者金融、つまりサブプライムローンです。
 問題はここからです。こうしておカネの借り手が行き着くところまで行くと、次なる借り手はどこか。いま、それは国です。
 アメリカもイギリスもイタリアも日本も、めちゃくちゃな財政赤字の国です。だから国が借り手になるわけです。では、国の財政再建が実現したらどうなるか。もはやおカネの借り手はなくなり、資金の行き場がなくなります。だから、財政再建を先送りして減税を継続した。これが現在のアメリカです。

2 thoughts on “>堺屋太一

  1. s.A

    >現在、日本の債務は国と地方を合わせると対GDP比約200%にのぼり、さらに、民主党のバラマキ政策によって債務がさらに積み上がれば、国民の貯蓄(約1,400兆円)を上回る可能性がある。

    こうしたマネー、通貨の問題が一気に爆発する危険性をはらんでいるのが、'11年なのです。

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