なにを隠そう私は運び屋である。この稼業に就いて、かれこれ6年になる。当然、捕まったことは一度もない。世間一般に言うところの運び屋は、違法なブツを扱う黒い運び屋と相場が決まっている。しかし、世の中には白い運び屋というものが存在するのだ。
この仕事で世界中あちこちに行った。タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、インド、台湾、韓国、イギリス、チュニジア、ブラジル、アメリカ、カナダ。中国とメキシコにはもう何回行ったか。。。この2ヶ国については、空港のある都市を全国制覇しつつある。
タイに週3回、メキシコに週2回、香港に日帰りで行ったこともある。中国にいたっては、一時期は毎日行っていた。夜に最終便で中国に飛び、翌日の昼に帰国する。その繰り返し。空港の近くに住めば、上海も広州も充分通勤圏内なんだと思った。
ネットの旅系掲示板に「ハンドキャリー経験した人いませんか?」というスレを見つけた。それに対するレスは、「ハイリスクハイリターン」だの、「ヤバい仕事」だの。。。この仕事はすでにやっている人からの紹介で決まるのでほとんど求人が出回らない。実体がよくわからず、半ば都市伝説化しているのだろう。
知らないうちに黒い運び屋に仕立て上げられ、海外で懲役刑や死刑判決が下された日本人も実際にいる。しかし、その人たちには実に気の毒だが、その仕事が白か黒か見分けがつかなかった時点で、人材としては完全にアウトなのだ。
運び屋だけどなんか質問ある?
by 片岡恭子
地球はとっても丸い
第1回 都市伝説バイト
海外在住メディア広場
http://chikyumaru.net/?p=4487
なにを隠そう私は運び屋である。この稼業に就いて、かれこれ6年になる。当然、捕まったことは一度もない。世間一般に言うところの運び屋は、違法なブツを扱う黒い運び屋と相場が決まっている。しかし、世の中には白い運び屋というものが存在するのだ。宅急便もバイク便も、合法なブツしか運ばないという意味では白い運び屋である。私のような国境を越える白い運び屋は、昔はクーリエと呼ばれていたが、今はハンドキャリーと呼ぶ方がより一般的なようだ。
この仕事で世界中あちこちに行った。タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、インド、台湾、韓国、イギリス、チュニジア、ブラジル、アメリカ、カナダ。殊に中国とメキシコにはもう何回行ったか、わからない。20回を超えてからは数えるのを止めた。この2ヶ国については、空港のある都市を全国制覇しつつある。
多いときは週1、少ないときは月1で出動する。タイに週3回、メキシコに週2回、香港に日帰りで行ったこともある。中国にいたっては、一時期は毎日行っていた。夜に最終便で中国に飛び、翌日の昼に帰国する。その繰り返し。空港の近くに住めば、上海も広州も充分通勤圏内なんだと思った。残念ながら、航空券に定期券や回数券はないけれど。
ネットの旅系掲示板に「ハンドキャリー経験した人いませんか?」というスレを見つけた。それに対するレスは、「ハイリスクハイリターン」だの、「ヤバい仕事」だのと非難囂々(ひなんごうごう)。知りもしないくせによく言うよ。この仕事はすでにやっている人からの紹介で決まるのでほとんど求人が出回らない。実体がよくわからず、半ば都市伝説化しているのだろう。
知らないうちに黒い運び屋に仕立て上げられ、海外で懲役刑や死刑判決が下された日本人も実際にいる。しかし、その人たちには実に気の毒だが、その仕事が白か黒か見分けがつかなかった時点で、海外仕様の人材としては完全にアウトなのだ。
旅の達人ブログ 秘境散歩
中南米とフィリピンを得意とする秘境者(ひきょうもの)片岡恭子が現地より発信します。
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「あんた、生きてたんや。帰ってきたんや」
母は涙ながらにそう言って、実家に戻った私を迎え入れた。
WEB春秋『ここではないどこかへ』
第十二回「旅の空から」
by 片岡恭子
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