ああ
このような雪夜じゃれば
ひょっとして
ここらあたりの原っぱの
赤いひがん花の
花あかりのもとで
身づくろいしておった
あの
しろい狐御前の子に
また生まれ替わるのかもしれん
いまはまだ
けやきの大樹の根元にいて
天の梢から降ってくる雪にうたれながら
みえない繊い糸を
くわえ くわえ
うなじを反らしているばかり
手も無か
足も 無か
目も無か
めめんちょろの
野蚕さんになっておって
這うて漂浪くのが
役目で
ございます
ああ
このような雪夜じゃれば
ひょっとして
ここらあたりの原っぱの
赤いひがん花の
花あかりのもとで
身づくろいしておった
あの
しろい狐御前の子に
また生まれ替わるのかもしれん
いまはまだ
けやきの大樹の根元にいて
天の梢から降ってくる雪にうたれながら
みえない繊い糸を
くわえ くわえ
うなじを反らしているばかり
手も無か
足も 無か
目も無か
めめんちょろの
野蚕さんになっておって
這うて漂浪くのが
役目で
ございます
彼岸花
by 石牟礼道子
彼岸花 (石牟礼道子)
ふるさとへ回る六部は
http://blogs.yahoo.co.jp/yoshiono/24184033.html
1973年・1974年に、詩画集『彼岸花』(版画:秀島由己男)が南天子画廊より刊行されている。
南天子画廊
東京都中央区京橋3-6-5
03-3563-3511
http://nantenshi.com/