いくら美意識が千差万別とはいえ、あんなふうに全肯定されたら、かえって不気味なのよ。私は自分のことを良い女だなんて思ったことは一度もないわけ。なのに私が世界一みたいな言い方されてごらんなさいよ。あまりに気持ち悪くて、眉毛を描く気にもなれないわよ。
**
無理です。ほかの女性なんて、考えられません。
当たり前でしょう。ほかの人なんて考えられないと思うのが恋愛なのよ。みんな、ほかの人なんて考えられない、と思いながら別れてほかの人と出会って好きになって、ほかの人と付き合うのよ。何度でも。
いくら美意識が千差万別とはいえ、あんなふうに全肯定されたら、かえって不気味なのよ。私は自分のことを良い女だなんて思ったことは一度もないわけ。なのに私が世界一みたいな言い方されてごらんなさいよ。あまりに気持ち悪くて、眉毛を描く気にもなれないわよ。
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無理です。ほかの女性なんて、考えられません。
当たり前でしょう。ほかの人なんて考えられないと思うのが恋愛なのよ。みんな、ほかの人なんて考えられない、と思いながら別れてほかの人と出会って好きになって、ほかの人と付き合うのよ。何度でも。
クローバー
by 島本理生
島本理生(1983年 – )
『シルエット』(2001年)
『リトル・バイ・リトル』(2003年)
『生まれる森』(2004年)
『ナラタージュ』(2005年)
『一千一秒の日々』(2005年)
『大きな熊が来る前に、おやすみ。』(2007年)
『あなたの呼吸が止まるまで』(2007年)
『クローバー』(2007年)
『波打ち際の蛍』(2008年)
『君が降る日』(2009年)
『真綿荘の住人たち』(2010年)
『あられもない祈り』(2010年)
『アンダスタンド・メイビー』(2010年)
『七緒のために』(2012年)
『よだかの片想い』 (2013年)
『週末は彼女たちのもの』 (2013年)
『Red』 (2014年)
『夏の裁断』(2015年)
『匿名者のためのスピカ』(2015年)
『イノセント』 (2016年)
『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』(2017年)
『ファーストラヴ』(2018年)