グアンタナモ湾は、キューバ島の南東部、首都ハバナから約九二〇キロメートルに位置し、キューバ島と東隣のエスパニョラ島を隔てるウィンドワード海峡そして南のジャマイカを分かつコロンブス海峡を睨む、カリブ海海上交通上の要衝である。
コロンブスによる「発見」の後、グアンタナモを含むキューバ島全体がスペインの植民地となったが、十八世紀には英国が武力でグアンタナモを奪わんと試み、米西戦争開始直後の一八九八年六月にアメリカがグアンタナモに兵を進めた。これ以降、アメリカがカリブ海及びパナマ海峡に至るまでの海域に対する制海権を維持することが可能となった。
グアンタナモ
アメリカ・キューバ関係にささった棘
by 渡邉優
「あなたはグアンタナモを知ってますか?」
その昔、カラオケで唱われていたキューバの歌
「グアンタナメラ」(「グアンタナモの娘」)。
それとも、
アメリカ同時多発テロの容疑者が収容されている
監獄のグアンタナモ。
1992年の映画『ア・フュー・グッドメン』(トム・クルーズ主演)で
キューバと対峙するグアンタナモ米軍基地が題材になっていたなと
思い出す人は日本ではたぶん少数派だろう。
本書は、その少数派に属する元キューバ日本大使であった著者が、
グアンタナモ海軍基地をめぐるアメリカ合衆国とキューバ共和国の
関係について、3年余にわたる現地勤務の間に調査した結果を
まとめたもの、情報的にはかなり高濃度な内容である。