高野陽太郎

外部の脅威に直面したとき、内部の結束を固めることによってそれに対抗しようとする動きがでてくることは、どの人間集団にもみられる普遍的な反応であって、日本人に特有のものではない。「世界でもっとも個人主義的」といわれてきたアメリカ人も、外部の脅威に直面したとき、おなじように内部の結束を固めようとしてきたことは、史実が証明している。
軍国主義時代の日本人の集団主義的な行動は、誇張されたかたちで伝えられており、実態は、戦時下で欧米諸国の民衆がとった行動とかけ離れた異質のものではない。かりに集団主義の色彩がより強かったとしても、それは、日本が自国よりはるかに強大な国々からの脅威に長期間さらされつづけたという歴史的な状況から説明することができる。
軍国主義時代の日本人の行動は、「日本人=集団主義」説の信憑性を高めはしたが、じっさいにそれを証明しているわけではないのである。

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1 Response to 高野陽太郎

  1. shinichi says:

    集団主義という錯覚「集団主義」という錯覚―日本人論の思い違いとその由来

    by 高野陽太郎


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