山岡俊介

森裕子参議院議員(民主党)が予算委員会で質問に立ち、検察審査会の検察審査員はわが国有権者のなかから無作為に選ばれることになっているのに、その選定をするためのソフトに裏手順のような操作方法が何通りか存在しており、恣意的に特定の者を選ぶことができることが実証されたという“爆弾発言”をした。だが、これを報じた大手マスコミはない。
そのソフト開発を最高裁判所の発注を受けて行ったのは、富士ソフト。その華麗なる天下り人脈を見れば、なぜマスコミが報じないか納得できる。
Yachi特別顧問の地位にある谷内正太郎は元外務省事務次官で現在も外務省顧問。その谷内を後継に指名した前の事務次官だった竹内行夫は現在、最高裁の裁判官。元大蔵省理財局国有財産監査官室長の飛谷安宣は富士ソフトの現監査役。堺屋太一も社外取締役だった。富士ソフトの野澤会長が立ち上げた日本インターネット新聞の顧問には、元東京地検検事、最高検検事、法務大臣官房長まで務めた堀田力がいる。
こうした元官僚に加え、富士ソフト本体の常勤監査役に元NHK報道局長の石村英二郎。そして日本インターネット新聞の代表は元朝日新聞政治部記者の竹内謙。取締役には、毎日新聞OBの岩見隆夫。ちなみに、監査役には富士ソフト本体の特別顧問でもある谷内元外務省事務次官が就いている。
東証コンピュータシステム(TCS)は富士ソフトの子会社。富士ソフトはわが国経済界のある意味、首根っこを押さえていると言えなくもない。
こうした人脈からすれば、富士ソフトが検察審査員候補の選定ソフト関連の仕事を最高裁から受注、また、それに関して重大疑惑が持ち上がっても大手マスコミが報じないのも頷ける。

One thought on “山岡俊介

  1. shinichi Post author

    参議院予算委員会で名指しされた「富士ソフト」の華麗なる官界・マスコミ人脈

    山岡俊介

    Access-Journal

    http://www.accessjournal.jp/

    森裕子参議院議員(民主党)といえば、本紙既報のように、この間、検察審査会の闇 について追及している方。

    なかでも、いまもっとも注目されているのは、検察審査会の検察審査員は、わが国有権者のなかから無作為に選ばれていると思っていたら、その選定をするためのソフトに疑惑が持ち上がり、現在、森議員の調査チームは、選定の責任者である最高裁との間で丁々発止やりながら資料提供をさせ、その分析を進めているのは本紙読者ならおわかりの通り。

    その森議員が本日の予算委員会で質問に立ち、その件に触れたのだが、何とまだ調査途中ながら、無作為に選んでいるはずのソフトなのに、裏手順のような操作方法が何通りか存在しており、恣意的に特定の者を選ぶ(例えば、結果的に検察の意に沿って強制起訴に持ち込める賛成票を投じてくれる人を選任することが技術的には可能であるなど)ことができることが、実際にそのソフトを使った実験の結果、実証されたと、いってみれば“爆弾発言”をしたのだ。

    そして、これが事実なら、とんでもない話だが、そのソフト開発を最高裁判所の発注を受けて行ったのは、東証1部のソフト開発会社「富士ソフト」(神奈川県横浜市。本社ビル=下写真。野澤宏会長=横写真)であり、ひじょうに高額で落札され、しかも一部に随意契約を含んでいる。保守管理なども含めこの間、我々の税金から約6000万円(富士ソフト分は内約5300万円)支払われていることを明らかにしたのだった。

    これを素直に受け取れば、大いに問題あると思われるから、新聞なら本日夕刊、テレビも夕方のニュースで取り上げてしかるべきことだろう。

    「それが事実なら、検察側にとって気に食わない政治家がいれば、例え通常の手続きでは起訴に持ち込めなくても、検察審査会を使って強制起訴に持ち込み、『起訴された者が政治家をやっていていいのか』と、世論誘導ができてしまう。小沢一郎は大物だから未だその職に踏み止まっているが、社会的に抹殺することも可能ですからね」(永田町関係者)

    だが、それほどの大問題にも拘らず、報じた大手マスコミはない。 しかし、富士ソフトの華麗なる(天下り)人脈を見ると納得できるというものだ。

    その人脈を見る前に、富士ソフトそのものに関して少し説明しておこう。

    東証1部に上場しているとはいえ、決して知名度は高くないからだ。 設立は1970年。東証1部に上場したのは98年のこと。いまも約1400億円(10年3月期)の年間売上高の約半分は日本IBMやNECなど大手メーカーの下請けとあっては無理もない。東京電気大卒の野澤会長が一代で築いた会社だ(社長の白石晴久氏は元みずほ銀行元常務)。 同社と、今回のソフト開発を発注した最高裁との縁はある。

    現在も特別顧問の地位にある谷内正太郎氏は事務官トップの元外務省事務次官(現在も外務省顧問)だが、その谷内氏を後継に指名した前の事務次官だった竹内行夫氏は現在、最高裁の裁判官。最高裁裁判官の一人は、そもそも外務省トップの天下り先指定席なのだ。

    その他、元官僚では、元大蔵省理財局国有財産監査官室長の飛谷安宣氏は富士ソフトの現監査役。

    また、作家としても有名な堺屋太一(=横写真・本名・池口小太郎。元経済企画庁長官。元情報通信技術担当大臣。元総合交通対策担当大臣)氏は昨年6月から今年9月まで社外取締役だったのだが、こんな興味深い情報もある。

    「実は堺屋の任期は当初、2年だった。だから、予定通りならまだ現役のはず。ところが、今回の疑惑で富士ソフトが槍玉に挙がる事を堺屋はどこからか聞きつけ、自ら辞任したということだ」(事情通)

    さすが堺屋氏。“油断”していないようである。

    一方、富士ソフトというより、創業者オーナーである野澤会長は2003年、わが国初のインターネット新聞「JANJAN」を創刊している。運営は「日本インターネット新聞」(東京都千代田区)。これに広告料名目で富士ソフトが年間約3億円を出していたが、今年3月に一度休刊(ただし、運営方式を変えて再開している)。

    その日本インターネット新聞の顧問には、最高裁判所や検察審査会とも深い関係のある検察庁のキャリアで、元東京地検検事、最高検検事、法務大臣官房長まで務めた堀田力弁護士(横写真)がいる。

    こうした元官僚に加え、マスコミ陣としては、まず富士ソフト本体の常勤監査役に元NHK報道局長の石村英二郎氏。 そして日本インターネット新聞の方だが、代表は元朝日新聞政治部記者、『朝日ジャーナル』副編集長を経て退社、鎌倉市長を2期務めた竹内謙氏。

    取締役には、毎日新聞OBで政治評論家、毎日新聞客員編集委員の岩見隆夫氏(横写真)。 ちなみに、監査役には富士ソフト本体の特別顧問でもある谷内元外務省事務次官が就いている。 この他、本紙では裏取出来ていないが、野澤会長は読売新聞グループ(日テレも含む)のドン・渡辺恒雄氏(下写真)と懇意との情報もある。 野澤会長は神奈川県の平塚江南高校出身だが、日テレ前社長の久保伸太郎相談役も2歳違いで同校卒。これは単なる偶然か。 最後に、富士ソフトは極めて重要な子会社を持っている事実を述べておきたい。

    それは「東証コンピュータシステム(TCS)」。

    そう、わが国経済に大きな影響力を持つ東京証券取引所の元100%子会社で、東証のコンピュータシステム開発・管理を一手に握っていた。

    ところが、コスト削減を目指した東証はそのTCSの株約65%を、2002年2月、当時、へラクレスに上場していた「プライムシステム」(現サンライズ・テクノロジー)に約32億円で売却。そのプライムシステムはほどなく経営難に陥り、上場廃止になるが、そのゴタゴタの過程で闇人脈の関わりが指摘され、東証が闇社会に乗っ取られるとの噂も出たのでご記憶の読者もいるのではないか。(下写真=『日経コンピュータ』07年1月8日号記事より) そのTCSのプライム持分はすべて04年9月、約23億円で富士ソフトに売却され、今日に至っている。 そうした事実からすれば、オーバーにいえば、富士ソフトはわが国経済界のある意味、首根っこを押さえていると言えなくもない。(富士ソフトの子会社には他にも、勧角証券・現みずほインベスターズ証券のシステム子会社が前身の富士ソフトKCS、エース証券も)。 いずれにしろ、こうした人脈からすれば、富士ソフトが検察審査員候補の選定ソフト関連の仕事を最高裁から受注、また、それに関して重大疑惑が持ち上がっても大手マスコミが報じないのも頷けるのではないだろうか。

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