山蔭基央

現代人は「七生報国」という言葉は使わない。
しかし、昭和二十年以前の青年は「七生報国」は日常の心得であり信念であった。だから米軍艦に特攻攻撃が出来たのである。
その「七生」とは、「七度人間に生まれても敵を滅ぼす」という信念の「七生」である。しかし、これは仏教の六道輪廻の思想からきたもので、それを逆手にとっての祈りが込められている。
「人間は宿業の故に輪廻する六道」とは、「天人・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄」の六道であり、その中での人間に七度生まれ変わっても敵を亡ぼすとの誓いが「七生報国」の祈りである。
まったくこれは仏教の倫理観すら無視した願望である。そうした戦士は修羅の世界に落ちるはずなのだが、不思議な感覚である。
仏教では、こうした祈りを “悪趣の業念” といい、そうした祈りで死んだ者たちは、志と違って修羅の邪界に墜落するという。
もしそうであるならば、今次大戦の戦死者たちの霊は、日米両軍激闘の想念をいまに持ち続け、「七生報国」の祈りのもと、いまだに米軍と戦っていることになる。

2 thoughts on “山蔭基央

  1. shinichi Post author

    第1章 日本人の神道観
        土を離れ天を仰ぐようになった日本人
        金ピカ仏にだまされた古代の権力者
        策略なき素直さを失った日本人
        ほか

    第2章 巷の神道を探る
        神道にかかわる塩の話
        神道にかかわる水の話
        知っておきたい寺と神社の違い

    付録 神道祭事の手びき
        神社参拝の手びき
        地鎮祭(起工式)の手びき
        神葬祭の手びき
        ほか

    私たちの暮らしの中には、神道に由来するものがたくさんある。神道は古来、私たちの生活と人生を支えてきた「超宗教」といえる。
      祝儀でなぜ水引を使うのか
      相撲でなぜ力士が塩をまくのか
      「水に流す」とは何を流すのか
      お神輿を褌一丁でかつぐわけ
      伊勢の神宮はなぜ白づくめなのか
      柏手はいくつ打つのが正しいのか
    など多くの人が日本の神道、神社について抱く素朴な疑問に対して、ずばり解説した、神道がすぐに理解できる本。

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