佐伯啓思

  • 民主主義にはふたつの考え方があります。ひとつは議会制や政党政治そして官僚制などと調和しつつ政治をすすめるという間接的で抑制的な民主政治です。そしてもうひとつは、国民の意思をできるだけストレートに政治に反映させるという直接民主主義です。前者は、後者のあまりの過激さを避けるために、民主政治のなかにできるだけ民主的でない要素を持ち込んで「民意」の直接的な反映を抑制しているわけです。
  • さらに少し不穏当なことをいえば、そもそも多数決が正しいという確かな根拠はどこにもありません。
  • 分布でいえば国民の8割がまともで2割がヘンなのに、政治家は2割がまともで8割がヘンというわけではありません。もしも政治家の8割がヘンだとするなら、おおよそ国民も8割がヘンだとみておかねばなりません。
  • 「人の権利」ばかりに関心を向け、「人の格」にあまりに鈍感になったのではないでしょうか。「人権」栄えて「人格」滅ぶではどうしようもないではありませんか。
  • 東京裁判において、日本の行動が戦争放棄という国際法に違反したというのなら、どうしてそもそもその東京裁判が国際法違反の疑い濃厚である点を問題にしないのでしょうか。
  • 経済も人間がやることです。人間を動かすものは精神の働きです。それが空っぽになってゆけば、政治の力も文化の力も衰退します。政治も文化も三流で経済だけが世界に冠たる一流などということはありえません。

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