(混んでいる電車のなかで)おじいさんがガラケーを熱心に操作していた。
その画面には、熟女というか何というか、女性の陰部をさらしにさらした、かなりハードなページが開かれており、ものすごい指さばきでそのひとつひとつの写真を検分し、出会い系とかなのかな、もれまたものすごい速さでコメントみたいなものをわあっと書き込んでいるのが見えたのである。
あーいやだいやだわ。
考えてみれば、中吊り、広告、コンビニの雑誌コーナー ・・・ 普通に生活していれば自然と目に入る場所に、当然のように半裸の写真が溢れてる。 。。。 世界的にも珍しいこのゆるさというかこの感じ ・・・ 改めて、けっこう凄いことですよね。そう、携帯電話に限らず、日本はそういう国なのだった。忘れてたよ。
オモロマンティック・ ボム!
連載210 携帯電話は個室なのね
by 川上未映子
週刊新潮 2013年11月28日霜降月増大号
(家人の言葉)
「その人たちにとっては携帯電話って、たぶんそのまま個室なんだよ。初めて出会った、持ち運べる個室なんだよ、きっと。そりゃ夢中にもなるでしょ」
(sk)
いろいろな人がいろいろなことを言うが、川上未映子の文章は悪くない。