坂口賀朗

はじめに)主権国家が依然として国際社会における主要な主体である 。。。 一方、グローバル化や技術革新の進展が人、物、資本、情報等の国境を越えた移動を容易にし、国際社会における非国家主体の影響力の相対的拡大をもたらし、その負の側面として非国家主体によるテロや犯罪が国家の安全保障を脅かす状況が拡大しつつある 。。。
安全保障上の課題の多様化の結果、国家の対応能力の限界が露呈している 。。。 国際テロや組織犯罪、核関連物資や麻薬の密売、感染症や家畜伝染病、地球環境の悪化などの非伝統的な新たな脅威が深刻化しつつあり、一国家の枠組みでは対処しきれない事態が生起している 。。。
おわりに)主権国家をめぐる状況の変化は、主権国家から成る現在の国際秩序を根本的に変える要因とはなり得ないだろう。 。。。 EUのような地域統合の試みも共通の政策を追求すればするほどメンバー国間の能力の違いが浮き彫りになり、一部にはEU離れの傾向を生むなど問題に直面している。やはり統合が進んでも主権国家の枠組みは維持されるように思われる。
他方、主権国家に対する非国家主体の挑戦は、現実に対応しなければならない安全保障課題を増加させる。 。。。 テロなどの新たな非伝統的な課題にも対応することが各国の軍事組織に求められることになる。 。。。 どの国も財政上の制約という問題を抱えながらこれら広範な課題に対処しなければならない 。。。 何よりも主権国家どうしは互いに脅威にならないような方策を模索することが求められるのである。

2 thoughts on “坂口賀朗

  1. shinichi Post author

    (sk)

    防衛省 防衛研究所 (National Institute for Defense Studies (NIDS), Ministry of Defense) のサイトに載っていた、政策研究部長 坂口賀朗のブリーフィング・メモ(防衛研究所ニュース 2014年1月号)なのだが、21世紀の情報戦争の時代に19世紀の国家主義を持ち出すのだから不思議だ。

    こういう考えを持った人たちが防衛省の中枢を占め、そして政府の中枢を占めているのだから、日本が情報戦争に大きく遅れをとるのは仕方がない。

    防衛費を今の3倍程度にし、増えた分をすべて情報戦争に使うくらいの覚悟がなければ、国は存続しない。ある日突然日本中のコンピュータ・システムが破壊されたらとか、日本のすべての銀行の履歴が消えたりとかというようなリスクがあることを認め、それに対処するのが21世紀の防衛の基本ではないのだろうか。

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