東京新聞

最大で高さ十五キロ。それほど巨大な入道雲が続々と生まれ、一列に行進しながら、ひとところを襲い続ける。あまりに多くの犠牲者を出した広島の豪雨・土砂災害は、そんな積乱雲の波状攻撃でもたらされたという▼一つの積乱雲の後方(バック)に積乱雲が次々形づくられるので、「バックビルディング現象」と呼ぶ。三年前の新潟・福島豪雨やおととしの九州北部豪雨など、この現象は大災害をもたらしてきた▼それほど危険な「怪物」であれば、その名を覚えておいた方がよさそうだが、長たらしい英語を聞いてどれほどの人が漠然とでも理解し、覚えられるか。何か適切な訳語はないのかと思う▼この言葉に限らず、理解を拒むようなカタカナ語が公文書や報道で使われすぎる。このままでは大切な情報を受け取っても理解できない人を増やしかねない。そういう危機感から数年前に国立国語研究所が外来語の言い換えを提案していた▼イノベーションに応じ、ハザードマップのアクセシビリティーを高めていかないと、デジタルディバイドが拡大しかねない…ではちんぷんかんぷんだ。「技術革新」に応じ、「災害予測地図・防災地図」の「利用しやすさ」も高めないと、「情報格差」が拡大しかねない…でいいではないかという提言だった▼行政や報道の現場などであらためて考えたい、カタカナ語の氾濫対策である。

One thought on “東京新聞

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *