市川裕康

今日ご紹介するのは、誰もがキュレーター、そしてオンライン・マガジンの編集者になることを可能にする、というキャッチフレーズで(2011年に)一般公開された新しいキュレーション・サービス、「Scoop.it」(スクープイット)です。
このサービスの特徴は、自分が興味・情熱を持っているトピックやキーワードを選び、無料で登録をしておくだけで、自動的に関連する良質なコンテンツがシステム内で検索され、その中で好きなものだけを選ぶことを可能にしている点です。さらに、コメントを添えて投稿し、その投稿を独自のオンライン・マガジンのように出版することが出来る点です。
ツイッターやFacebookのように他の様々なフロー情報のひとつとして共有し、すぐに埋没させてしまうのではなく、利用者が選び抜いたトピックに関し、一覧性のあるビジュアルな画面にストック情報としてまとめられる点が斬新です。
「Scoop.it」がユニークと思える点は、情報収集と共有を一つのプラットフォームの中で容易に実現できること、そして、自分が興味や情熱を持っているトピックについての目利きとして意味付けをすることを奨励している点です。
コンテンツにコンテキストを与え、そこに意味付けを与える作業は、今まで一部の出版・編集に従事する人が経験に基づいて行われて来たプロフェッショナルなスキルで、このスキルが誰にでも簡単に得られるようになるとは思いません。
ただ、今日、世の中の事象が今までの常識を覆すようなスピードで進化をし、多様な分野に国境すら越えて広がっていった際、個人があるトピックに対して抱く「興味」「情熱」、そこから生まれる知識、知見、その世界観は、その分野に限って言えば、プロ編集者顔負けのレベルに達することもあり得るのではないかと思います。
とはいえ、Scoop.itのユーザーは定期的にオリジナルのブログを書くレベルまでコミットすることを志向せず、Twitterとブログの間にある「手軽さ」を好むユーザーがターゲットのようです。コンテンツを創造しなくとも、特化したトピックに対する「情報収集力」と「目利き力」でどこまでの「メディア」が今後つくられていくことになるのか、注目してみたいと思います。

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