慎泰俊

現代社会において、インターネットを日々使っている私たちの脳は確実に変化している。
まず、情報を探す能力や、膨大な量の情報を要約する能力は高くなった。Google検索を駆使して情報を探し出し、それをまとめて、多くの人が「ちょっと賢そうなこと」を言えるようになった。
また、マルチタスキングも得意になった。これは、「最新脳科学で読み解く脳のしくみ」という本で、サンドラ・アーモットとサム・ワンが述べているところでもある。私たちは、フェイスブックでチャットをし、Gmailでメールのやりとりをし、ツイッターで流れる情報を見ながら、資料を作るといったことが簡単にできるようになった。
しかし一部の能力は退化してきている。一言でいうと、深く集中して何かを考える能力が落ちているのだ。
会議中には自分の携帯のチェックをついついしてしまったり、仕事しながらメールやSNSでのコメントをチェックしてしまったりと、私たちの多くは注意散漫になり、落ち着いて1つのことをじっくりと考えることができなくなっている。分かりやすいまとめサイトのため、文脈のある長い文章を読み込む力も落ちている。情報が検索すればすぐ手に入る環境の中では、何かを記憶し続ける能力も低下している。

One thought on “慎泰俊

  1. shinichi Post author

    スマホを使いすぎて、バカになっていませんか?

    一週間のうち10%は、ネットも本も使わず、自分で考えてみよう

    慎 泰俊

    http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130726/251577/

     テクノロジーによって変化するメディアのあり方は、私たちの情報取得のありかただけでなく、私たちの思考プロセスにも影響を与える。例えば、タイプライターが発明されたあと、それを使いはじめたニーチェの文体は変化していったという。なぜそのようになるかというと、脳には可塑性というものがあり、状況に合わせてその機能を変化させていくことができるからだ。技術は私たちの認識のあり方を少しずつ確実に変化させると説いた、メディア論の泰斗、マーシャル・マクルーハンの慧眼には敬服せずにはいられない。

     現代のテクノロジー、特にインターネットが人間の脳にどのような影響を与えるのかについては、多くの研究がされている。いくつかの本のなかで、特にこのテーマに正面から挑んでいる本は、ニコラス・カーの「ネット・バカ」(原題は”The Shallows”)だろう。この本では、インターネットが私たちの脳にどのような影響を及ぼしているのかが述べられている。

     こういった人間の脳の変化に伴う思考力の低下は、かなり深刻な問題として議論されている。

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