紫式部

菊の色
菊の露 わかゆばかりに 袖ふれて
花のあるじに 千世はゆづらむ
紫式部

1 thought on “紫式部

  1. shinichi Post author

    (sk)

    紫式部日記に、

    九日、菊の綿を、兵部のおもとの持て来て、「これ、殿のうへの、とりわきて。いとよう老ごひ捨てたまへとのたまはせつる」とあれば、

    菊の露わかゆばかりに袖ふれて
    花のあるじに千代はゆづらむ

    とて、かへしたてまつらむとするほどに、「あなたに帰りわたらせたまひぬ」とあれば、ようなさにとどめつ。

    とある。

    旧暦の九月九日は、新暦では9月下旬から11月上旬ごろに当たるので、今よりはやや寒い感じだと思ったらいい。そんな時、日ごろから道長と紫式部の関係をこころよく思っていなかった道長の妻が、「あなたもだいぶ年なのだから、よくよく着せ綿を使って老いをしっかり拭き取りなさいよ」というメッセージつきの菊の着せ綿を送ってきたのに対し、紫式部は、

    私はあなたと違って若いので、菊の着せ綿なんて必要ありません。菊の着せ綿が必要なあなたに、お返しします。

    という歌を付けて菊の着せ綿を返そうとした。でも北の方はもう部屋に帰ったというので、そのままにしてしまったというのだ。

    女の争いはすごいというのが大方の見方だが、権力のまわりで起こる争いは、男女の別なく、いやらしく、すさまじい。

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