「心とは何か」という疑問は,哲学が永らく相手にしてきた問題であり,認知科学がモデル理解という方法論を確立したからといって,そうした問題ににわかに決着がつく見通しが立ったわけではない。問題点を整理する有力な観点が提供されたのであり,むしろ問題の根深さはより顕わになったとも言えよう。
認知科学とその発展をもたらした諸科学は,哲学との接点を歴史上いくつももってきた。それらには,助け合う関係もあれば反目し合う関係もあるが,終始刺激的なものであった。その刺激の度合いは最高潮に達しながら21世紀にもち込まれようとしている。
認知科学
–心の哲学へ至る潮流–
by 石川幹人
http://www.lib.meiji.ac.jp/about/publication/toshonofu/ishikawaH02.pdf