富増章成

語れば語るほど、本当に言いたいことから遠ざかっていくことがある。行列ができるラーメン屋の味を盛りだくさんに語るよりは、実際に食べてもらった方がいい。味のすべてをもらさず言葉に翻訳するのは不可能である。
かたや、食べてもらったその人も、ラーメンの感動を言語化することはできない。自分もできない他人にもできない。結局、ラーメンの前に二人で見つめ合うしかないのである。しょせん言葉はことばなのだろうか。
だが、こうも考えらよう。とにかく語る。語り尽くせるだけ徹底して語る。すると、あたかもエアロビクスで脂肪が燃焼するように、シェイプアップされ残されたものが輝き出す。語ることによって語れない領域をよりリアルに感じることができるようになるのだ。
その語れない部分については当然、証明することもできなければ人に伝えることもできない。法則化して客観視することもできない。でも、それは確実に「ある」のだ(ほっぺをつねってみて。それのこと)。

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