藤沢数希

グローバリゼーションによって、先進国の単純労働者の賃金が急速に低下していくのです。
しかし、このことは悪いことではありません。
もともと何の努力もせずにただ先進国に生まれたと言うだけの人間に贅沢をさせ、たまたま途上国に生まれてチャンスのない人間に貧しい暮らしを強いる方がよっぽどおかしな話なのです。
グローバリゼーションは既得権益を破壊する力を内包しているのです。
このグローバリゼーションは絶対に止まりません。
なぜなら、グローバリゼーションは政治思想でも経済政策でもなく、自然現象だからです。
そして、グローバル資本主義は既得権益を打破し、国籍や肌の色や宗教に関係なく、世界中の努力を怠らない個人に光を照らし続けるのです。

2 thoughts on “藤沢数希

  1. shinichi Post author

    最近のマスコミや政治家を見ていると、何かと情緒に訴える非論理的な発言が目立ちます。
    「日本的経営の復活」とか「終身雇用」とかの回顧主義が蔓延しています。
    そして、これ見よがしにアメリカの金融産業や市場原理主義(←何を指しているのかよく分からないが)が批判の矢面に立たされています。
    小泉元首相や竹中元経済大臣も格差社会を作り出した元凶として、非難されています。
    結局のところ、世界中をヒト、モノ、カネ、そして情報が瞬時に駆け回るこのグローバルに展開される資本主義経済について行けない人々の鬱憤が爆発しているのでしょう。
    言うまでもなく、世界はこの数十年の間に急速なグローバリゼーションを経験し、今もグローバリゼーションが加速しています。
    そして、グローバリゼーションには光もあれば影もあります。
    日本を含む先進国の単純労働者の賃金低下や失業、そして、それによる格差の拡大が影の部分なら、多国籍企業の工場が建設され職がもたらされ生活水準が上昇している途上国に光の部分があるのです。

    このようにグローバリゼーションは様々な社会の変化を引き起こし、その是非が盛んに議論されています。
    しかし、ここではっきり言っておきたいことは、いくらグローバリゼーションの影の部分を強調したり、いくら規制を強化ようとしたところで、このグローバリゼーションの流れは絶対に止められないということです。
    なぜなら、これは熱力学の第2法則を破れと言っているに等しいからです。

    熱力学の第2法則は誰もが知っている物理現象です。
    水槽をふたつくっつけて片方には90度の熱湯を入れて、片方には10度の冷水をいれてほかっておけば、熱が温度の高い方から低い方に移動して、両方の水槽の温度が同じになります。
    しかし、この逆は絶対に起こらないと言うのが熱力学の第2法則です。
    つまり、温度が50度のお湯をふたつの水槽に入れておいても、時間がたつと片方が90度になって、もう片方が10度になっていると言うことは絶対に起こらないのです。

    別の例では、コーヒーにミルクを入れてかき混ぜるところを思い出してください。
    黒と白はやがて混じりあい、やがて茶色になります。
    しかし、茶色のカフェラテが時間がたつと、黒のコーヒーと白のミルクに分離していると言うことは有り得ないのです。
    死んだ人が生き返らないのも熱力学の第2法則です。
    時間の矢はひとつの方向にしか進んでいきません。

    現在、世界の国々の経済は急速にグローバル化しているわけですが、これは世界のヒト、モノ、カネがカップの中のコーヒーとミルクのように交じり合っているだけのことなのです。

    そして、この経済現象を支配しているのが、一物一価の法則です。
    人々の賃金に関して言えば、同一労働同一賃金の原則が全世界的に広がっているのです。

    物理学では熱は高いところから低いところに流れ、やがて全ての温度が一定になります。
    経済学では同じモノが違う場所で違う値段で売られていたら、安いところで買って高いところで売ると言う単純な経済活動によってやがてひとつの値段に収斂していくのです。
    現在のように交通機関が発達し、インターネットで瞬時に情報が地球の裏まで行くような時代では、この収斂のスピードが一段と速まっているのです。

    日本で労働者に月30万円の給料を払って洋服を作っていた会社が日本の工場を閉鎖して、中国で月1万円の給料で洋服を作ってそれを日本に輸入して売るわけです。
    だから、日本で高い給料を貰っていた人は失業して、逆に中国で仕事がなかった人に職がもたらされるのです。
    しかし、中国の労働者がどんどん豊かになっていき月1万円では働いてくれなくなって、逆に日本の失業者が例えば月10万円でも働きたいと思いはじめます。
    そして洋服を作る人の給料が中国でも日本でも月5万円ぐらいに落ち着くのです。
    このように同一労働同一賃金の圧力が世界中のあらゆる労働者にかかっているのです。

    端的に言ってグローバリゼーションによって、先進国の単純労働者の賃金が急速に低下していくのです。
    しかし、このことは悪いことではありません。
    もともと何の努力もせずにただ先進国に生まれたと言うだけの人間に贅沢をさせ、たまたま途上国に生まれてチャンスのない人間に貧しい暮らしを強いる方がよっぽどおかしな話なのです。
    グローバリゼーションは既得権益を破壊する力を内包しているのです。

    さあ、グローバル資本主義というパンドラの箱は完全に開いてしまいました。
    資本や人材が世界中を飛び交っているのです。
    何度も言いますが、このグローバリゼーションは絶対に止まりません。
    なぜなら、グローバリゼーションは政治思想でも経済政策でもなく、自然現象だからです。
    そして、グローバル資本主義は既得権益を打破し、国籍や肌の色や宗教に関係なく、世界中の努力を怠らない個人に光を照らし続けるのです。
    さあ、みなさんもグローバリゼーションの更なる進展を祝福し、未だかつて世界が経験したこともない民主主義社会に生きていること感謝しようではありませんか。

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