与芝真彰

知識を深めただけでは、死は理解できるものではない。

死もまた別れの延長であり、特別なことではない。そう考えてみると気が楽になる。

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  1. shinichi Post author

    “僧医”が考える「死の恐怖への対処法」  医師で松光寺住職の与芝真彰さん

    定年時代

    http://www.teinenjidai.com/yokohama/h26/04/index.html

     病気で生きるのが苦しい、不安で夜も眠れない、今までの人生は後悔ばかり—。そんな悩みに、医師であり、また安土桃山時代から続く寺の住職でもある与芝真彰さん(70)の答えを集めた本「がんばらない死に方〜病気からくる恐怖を捨て去る“僧医”の言葉〜」(ワニブックス)が出版された。東大医学部卒業というエリートコースを歩いてきた与芝さんだが、30代の時にうつ病で入院した経験がその後の人生を大きく変えたという。「病気の苦しみは人生を豊かにするチャンスかもしれません」と励ましの言葉を述べる。

    エッセー「がんばらない死に方」出版

     東京都港区で安土桃山時代から続く浄土宗松光寺の第二十世として生まれた与芝さん。平日は医師、週末は住職と2足のわらじをはく。職業柄、“死”は常に身近にある。だが、「知識を深めただけでは、死は理解できるものではないんですね」と話す。

     
    「本にも書きましたが、東京大学の宗教学者だった岸本英夫さんでさえ、自身ががんにかかった時に死とはどういうことかという答えが出ず苦しまれた。岸本さんが考えぬいて出された答えは、『死は別れのひとつなのだ』ということ。わたしもそう思います。そしてこの答えは、岸本さんがぎりぎりのところで死と向かい合ってこそ出たのだと思います」と見解を示す。

     生きているかぎり、我々は小さい別れを繰り返している。

     「死もまた別れの延長であり、特別なことではない。そう考えてみると気が楽になるのではないでしょうか」と諭す。

     与芝さんが最近出版した著書「がんばらない死に方〜病気からくる恐怖を捨て去る“僧医”の言葉〜」は、死への恐怖の対処法や、現在、病気に苦しんでいる人、“終活”を意識し始めた人へのメッセージなどで構成されている。ところどころに与芝さんの意外な人生経験エピソードも盛り込まれており、読んでいて肩が凝らない。中でも興味深いのが、与芝さんが30代の時、うつ病にかかったという告白だ。

    30代でうつ病に

     幼いころから東大医学部に入るべく猛勉強を重ねてきた与芝さんは見事合格するが、医局に入局後、自殺未遂を図り入院したことがあった。

     「医局は人間関係が密接でなおかつ競争社会だから、学力はあっても人間関係をうまくやっていく知恵がないとはじき出されちゃう。いかに自分が東大を出ただけのからっぽな人間かを自覚しました」と当時を笑い飛ばす。けれどもそういった人生の危機を経験して、「物の見方が広くなった」と言う。

     病気の苦しみは人生を豊かにするチャンスにもなる。病いを克服した与芝さんは仕事に復帰し、その後は研究に打ち込んだ。専門は劇症肝炎の治療。神奈川県の肝臓患者会では、定期的に講演活動を行った。2004年には横浜市青葉区の昭和大学藤が丘病院長に就任。また、B型肝炎訴訟の裁判では肝臓医として原告側の証人として出廷し、06年の逆転勝訴に大いに貢献した。「弱者のために働きたい」という強い思いは、与芝さんが30代で経験したうつ病が大きく関与しているのだろう。

     蓮の花は汚い泥の中であればあるほど、美しい花を咲かせる。

     「死ぬということからは誰も逃れることができないですから。私の本が今苦しみを抱えている方のお役にたてば幸いです」

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