サッカーの微妙な判定に使われるビデオは
ビデオ・アシスタント・レフェリーが見る前に
AIによって瞬時に編集され
手に触れなかったボールが
なぜか手に触れたことになる
犯罪場所周辺にある防犯カメラの映像は
捜査関係者が見る前に
どれも 注意深く編集され
現場近くを通ったはずの車や人が
なぜか通らなかったことになる
政治家が映った映像はもちろんのこと
軍事演習の映像も 戦争の映像も
そのほとんどが編集され
まるで文字の編集のように
編集しないのが悪いことになる
文字を編集するのがいいことで
それが仕事になっていて
画像の編集もいいことで
それが職種になり
映像の編集が悪いことでなくなり
それが高収入につながり
技術は とめどなく進歩して
編集したかどうかは もう誰にもわからない
事実はどこにもなく
編集された映像が真実として流される
それは事実ではないと言ったらば
でもそれは真実だという答えが返ってくる
宗教とか科学とかといった
真実という名のまやかしに
慣らされてきた私たちを
待っているのは
事実とは遠い真実が横行する社会
真実にノーと言える人がひとりもいない社会
事実が見えない社会
人も情報も信じることができない社会
そんな社会でも
映像は信じられなくても
情報は信じられなくても
君だけは信じる
君を信じる
(sk)
第151作
Video Editing
Nisha Mody
https://kushima38.kagoyacloud.com/?p=58347
と
Yuval Noah Harari
https://kushima38.kagoyacloud.com/?p=55866
と
David Z. Hambrick, Madeline Marquardt
https://kushima38.kagoyacloud.com/?p=54228
から何らかの刺激を受けて