想像の欠如

人は捕食者だという
動物や魚を過剰に殺し
自然のバランスを乱しているのだという
でも
僕は牛を殺したことがない
豚を殺したこともない
鶏を殺したことすらない
それなのに
僕は ステーキを食べ
生姜焼きを食べ
唐揚げを食べて来た

人は長いあいだ
狩猟や採集で生きて来た
でも
僕は狩猟も採集も したことがない
狩猟のための道具を作ったこともないし
採集のために山に分け入ったこともない
それなのに
僕は 魚や貝を食べ
木の実やイモを食べ
キノコを食べて来た

人が農耕を始めて
もうずいぶんの時間が経つ
でも
僕は田畑を耕したことがない
種を蒔いたことも苗を植えたこともない
それなのに
僕は ごはんを食べ
パンを食べ
野菜を食べて来た

僕は食べるだけ
動物がどう殺されるのかを考えることもなく
食べものがどうやって目の前に並ぶのかを想像することもなく
おいしいと言って 腹を満たす
感謝もせずに 食べる

僕に足りないのは
想像すること
いや
それだけではない
感謝することも足りてはいない

なんの努力もなく
動物と対峙することもなく
天候の変化に一喜一憂することなく
何も感じることなく
食べものを口に運ぶ

僕は何もわかっていない

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