壊色

仏教の修行僧の衣の色を壊色という
えじきと発音してみると色の感じが伝わってくる
サンスクリット語のカシャーヤという袈裟を意味する言葉のの漢訳で
原色を破壊した色というような意味だという

衣服に対する執着を捨てさせるために
修行僧の衣には
青 黄 赤 白 黒の華美な標準色や
緋 紫 緑 紅 硫黄の鮮やかな中間色は避け
原色を染壊した色が用いられた

だから 壊色は
地域によって異なり
宗派によって異なる
木や樹皮や鉄分を含んだ土などで染めて
色を壊そうとするので
柿渋色だったり木蘭色だったりする

壊色を纏ってみると
落ち着いた気分がやってくる
どの色でもないのだが
どの色にも見える

色を壊すはずが
すべての色を含んでしまった壊色
それは 失敗なのではないか
だって僕は
壊色に執着している

3 thoughts on “壊色

  1. shinichi Post author

    『阿修羅草紙』
    by 武内涼
    (p.28)

    青か灰か、紺か、一つの名を拒む壊色の覆面の下で――若犬丸の唇が、笑んでいる。
    壊色――赤、青、黄、黒、白、これら五正色のどれでもなく、ぼろ布を表現した色である。

    Reply
  2. shinichi Post author

    (sk)

    夜中に起き出して
    スクリーン上に壊色を出そうとしている
    柿渋色はどうか
    木蘭色はどうか
    いや なんか違う

    緑を入れて落ち着いた感じにしたらどうか
    汚い色のほうがいいのか
    汚い色でないほうがいいのか
    色はどんどん透明になって
    しまいには色は消えてしまった

    そうだ
    色も壊れてしまえば
    なんでもなくなる
    なにもなくなる

    Reply

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *