消えない記憶

改札を出て 階段を上がる
交差点を渡り まっすぐ進む
カフェの角を 道なりに曲がる
信号を渡り 公園に入る
池に沿って歩き 石の階段を上がる
広場を横切って 図書館の前をすぎる
テニスコートの脇を通って 家の前の道に出る
ドアを開けて なかに入る
それだけの思い出が 景色とともに甦る
この記憶は なんなのだろう

街を歩いた記憶は
他のどんな記憶より鮮明に甦る
街は変わり続けているから
記憶のなかの街は もうどこにもない
それなのに 記憶のなかの街は
いつまでも変わらず 記憶のなかにある
記憶のなかの街が 色褪せることはない
僕がいなくなる時 記憶のなかの街は消える
他のたくさんの記憶と一緒に消える
でも 僕のなかの君だけは消えない
きっと消えない

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