古神道

僕は古神道を知らない
 いや 誰も 古神道を知らない

常世といい 現世という
 常世は理想郷で
  現世は理想からほど遠い
 常世は永遠に変わらず
  現世に永遠はない
 常世はなにもかもが完成されていて
  現世ではなにも完成されることがない
 常世はすべてが完璧で
  現世に完璧はない

神がいるという
 尊という神がいる
  人と同じ姿形をしていて 人と同じ心を持つという
 御魂という神もいる
  人の命や人の心のありさま つまり神の心のありさまだという
 御霊という神もいる
  御魂が寄り集まったものとしての神霊のかたちだという

神体があるという
 磐座は神がいる岩や山で
 神籬は神が隠れ住む森や木々で
 巫は神が憑依した人だという

古神道を知ろうとしても 知ることはできない
古神道をわかろうとしても わかることはない
でも と僕が言う
古神道を信じることはできるに違いない

古神道は宗教ではないかもしれない
だって
宗教がこれほどすがすがしいわけがないから
宗教がこんなに優しいわけはないから

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