見えない社会

周りにはビルが立ち並ぶ
新しいビルもあれば 古いビルもある
目に入ってくるビルをぜんぶ作るには 何千億円のカネが要る
つまり この社会にはそれだけのカネがあるということだ
いったい どこの誰がそんなカネを持っているのだろう
大手不動産会社の売り上げは何兆円にもなり
毎年のように開発が行われているけれど
何兆円を出すのは会社や官庁ばかりで
お金持ちの顔はちっとも見えてこない
長者番付には金額とともに知った名前が載り
私たちはそれで納得させられているけれど
私たちが知らない金持ちが たくさんいることに
私たちは うすうす感づいている

ありとあらゆるところから広告や宣伝が垂れ流しにされ
広告や宣伝なしには電車に乗ったり街を歩いたりできない
インターネット上には広告や宣伝ばかりが駆け回り
メールを開ければ広告や宣伝が大事なメールの邪魔をする
広告や宣伝に何兆円ものカネが費やされていて
それぞれにモノを売りたい人がカネを出すている
そういうことは知っているけれど
私たちの目には見えてこない人たちが
情報を好き勝手に操っていることに
私たちは うすうす感づいている

テレビには政治家が映り 官僚の書いた作文を朗読する
作文はどれもすばらしく
実際には環境に悪いのに 良くするといってみたり
実際には経済は悪いのに 良くなっているといってみたり
実も 誠意も 悲しいほど ない
私たちは官僚が ただの公務員なのを知っている
政治家に 力がないことも知っている
官僚や政治家の裏に 力のある人たちがいて
その人たちが社会を操っていることに
私たちは うすうす感づいている

そんなのはぜんぶ妄想だ
私たちには見えてこない人たちなんて どこにもいない
社会は そうやって動いている
仕組みをひとつひとつ検証して行けば それはぜんぶわかってくる
そう言われても 僕は感じる
息苦しさに満ちた目に見えない社会があることを
その社会が 目に見えない人たちに操られているのを

正しい答えや よい答えが決められている社会では
社会の意向に沿う答えだけが正解で
考えた結果 出た答えは
どんなにいい答えでも この社会では間違っている

自分のことを社会に委ねたくない
そう思って僕は深呼吸をする
見えない社会が 出て行けという
僕は ああ 出て行くよという
あばよ

そんなわけで 僕は考える自由のある場所に行く

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