山口源治郎

まず指摘されなければならないのは、資料費の大幅削減、年間受入冊数の減少により、蔵書の量と質の低下が起こっていることである。たとえば東京都立図書館の場合、1990年には4億780万円であった資料費が、2005年には1億8,503万円と約55%も削減された。その結果、収集資料点数が大きく減少し、収集率の低下や、収集資料の多様性の低下が危慎されている。こうした資料費が半減するといった事例は東京都立図書館に限らず今や一般的な現象となっている。そして蔵書の量と質の低下は、急増する成人利用者の資料情報要求との矛盾を急速に深めている。

One thought on “山口源治郎

  1. shinichi Post author

    日本における公立図書館の現状と問題点

    – 専門性と公共性の劣化に焦点を当てて-

    山口源治郎

    TheCurrentStatusandProblemsofPublicLibrariesinJapan

    by GenjlrOYAMAGUCHI

    http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/44034/1/edsy0609.pdf

    日本の公立図書館は、1990年代以降、激しい変化と矛盾の中にある。図書館サービスのアウトソーシング、職員の非正規化など新自由主義的改革手法の図書館経営への導入が推進されており、公立図書館の公共性と専門性の劣化が急速に進行している。他方、人々の図書館への要求は質と量の両面において高まっており、新自由主義的改革との矛盾を激化させている。

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