エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)

第1次、第2次世界大戦は何年も続いた戦争でした。なぜかというと、それが相手が死ぬまで続けるという戦争だったからです。つまりそれぞれが完全勝利を目指す戦争でした。
交渉を実現するために最初にすべき努力というのは、敵国が怪物であるというような表象をやめることです。
西洋人はロシア人を怪物だと言い、ロシア側も同じように西洋人をそう言いますが、それをやめるというのが最初にすべき努力であり、それは精神的、道徳的、また倫理的な努力なのです。
日本の読者の皆さんによく理解してほしいのは、ポーランドやリトアニア、ベラルーシ、ウクライナなどこの辺りの地域は、世界大戦中に最もひどい出来事が起きた地域です。
Bloodlands(流血地帯)と米国人が呼んだ場所です。ソ連軍とドイツ軍が衝突したり、ユダヤ人たちが多く虐殺されたりしたのもこの地域でした。
この地域は18世紀からそうなのです。ですから、この地域圏というのはとてもリスクが高く、非常に危ないことが多く起きる地域です。
なので、日本はここに入り込んできてはいけないと私は思うわけです。
なぜ、日本が血なまぐさいこのような地域に関わらないといけないのでしょうか。ぜひここからは遠のいてほしいと思います。

1 thought on “エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)

  1. shinichi Post author

    ゼレンスキー大統領は総動員令に署名し、出国を希望する男性2万5000名分の署名に対し反対しました。
    民主主義選挙とは、国民を盾に戦わせ、政権や政治家(国民の僕)が勝利して喝采を浴びる為、また自分達が安全地帯にいられ生き残る為にあるのでしょうか?

    ゼレンスキーは野党を禁止し、一党独裁。

     ****

    エマニュエル・トッド氏「日本はウクライナ戦争から抜け出せ」

    by 大西孝弘

    https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00122/052700132/

    ― トッドさんはロシアのウクライナ侵攻により、「第3次世界大戦が始まった」と指摘しました。その世界規模の戦いを終わらせるために、どのような方策があると考えていますか。

    エマニュエル・トッド氏(以下、トッド氏):第1次、第2次世界大戦は何年も続いた戦争でした。なぜかというと、それが相手が死ぬまで続けるという戦争だったからです。つまりそれぞれが完全勝利を目指す戦争でした。

     第1次世界大戦では最終的にドイツ帝国が崩壊し、第2次世界大戦ではドイツが完全に敗北しましたし、日本も核爆弾によって破壊されてしまいました。そして今では米国の保護国のような状態になっており、今の地政学的な状況は2つの世界大戦と関係しています。

     ですから、第3次世界大戦から抜け出す、あるいはそれを拒否するというのは、まず精神的な意味で誰にとっても完全勝利はないと理解することから始めないといけないと思っています。軍事的な対立でも完全な勝利はなく、交渉しなければいけない。第1次、第2次のような勝利というのはあり得ないということを理解することが始まりになります。

     交渉を実現するために最初にすべき努力というのは、敵国が怪物であるというような表象をやめることです。西洋人はロシア人を怪物だと言い、ロシア側も同じように西洋人をそう言いますが、それをやめるというのが最初にすべき努力であり、それは精神的、道徳的、また倫理的な努力なのです。

     そして、この最初の努力がなされたら、今度は敵であるロシアというのをまた人間的な観点から見直し、ロシア側も西洋人を人間としてもう一度見る。そうすると交渉が始まるわけです。具体的なことをそこで話すべきです。ただし、ロシアがこの戦争で苦戦しているため、一度獲得した領土から二度と出ていかないだろうという問題があります。

    世界の不安定性はロシアではなく米国に起因している

     ウクライナ人にとって、とてもひどい戦争であることは間違いありません。しかしロシア側も犠牲者が出ているため、ロシアは獲得した領土から二度と出ていかないでしょう。それがよいと言っているわけではありません。しかし西洋人は、「ロシアは奪った領土からは二度と出ていかないだろう」という現実を受け入れることから始めなければならないと思います。

     ですので、交渉の場ではロシアが出ていかない代償として何を出せるかが焦点になります。例えば残ったウクライナの領土の独立性を認める必要があると思います。これも非常に難しいのですが、ウクライナの主権を認め、キーウ(キエフ)はウクライナの独立した首都であり、ロシアとは関係がないことを認めるべきでしょう。しかし同時に西洋人とウクライナ人は、今の黒海沿岸地域やウクライナ東部地域の一部がロシアの領土であることを認める必要があります。

     そうすると、もしかすると交渉が成立するかもしれませんが、私はこれに関しても全く楽観的ではありません。非常に悲観的になっている理由はいろいろあります。ウクライナでは中級階層の人口が国外に流出を続けています。ウクライナは国家であることは間違いないですが、健全な国家ではないのです。

     まず私の見方が、西洋側のメインストリーム(主流)と全く違うということはよく理解しています。私はロシア問題というのは存在しないと考えています。侵攻前のロシア社会は安定を見いだしていました。領土は人口に対して大き過ぎ、その中で北大西洋条約機構(NATO)の拡大に脅威を感じており、これを阻止するべく予防のための戦争に乗り出したという意味では、ロシアの指導者層は合理的な態度を見せていたのです。

     真の問題、世界の不安定性はロシアではなく米国に起因しているのです。米国は世界的な軍事大国で、中東などで戦争や紛争をする、あるいは維持し続けている存在なのです。ウクライナ軍も再組織化しました。そしておそらく同じようなことをアジアでも引き起こそうとすると私は見ています。台湾に対してウクライナのように振る舞うべきだと言い始めています。

     米国は不平等が進み、(人口の一部では)死亡率も高まっているような、健全ではない国家になってしまっています。ウクライナ戦争が終わっても米国が欧州や日本、韓国をコントロールし続けている限り、世界は安定化には向かわないでしょう。

     これは非常に私にとってもひどい状況で、何度も言ってきましたが、私はいわゆる反米主義ではありません。私の家族は戦争中に米国に避難した歴史があります。何か欧州に脅威が訪れたら米国に逃げようという考え方がそもそもの根本にありますが、今の状況を見ると米国は世界が不安定になっているそもそもの原因だということが明らかです。そういう意味では、個人的にもひどい状況です。

     私は『帝国以後』(2002年)を書きましたが、これはイラク戦争の時期に重なります。しかし実はその後、一時は米国も再び合理的になってきたと感じた時期もあったのです。その頃の私は文化的には親米に近い立場ですらありました。しかしウクライナ戦争を経て、世界をひどく不安定にしていることが明らかになってしまいました。世界の問題は米国なのです。

     これは私がちょっと感情的になっている部分なのですが、米国の政治は今、欧州大陸を壊そうとしています。フランスの人々がこれからどんどん貧しくなってしまうのも米国の行動に起因しています。そういう意味で私は非常に怒りを感じていて、これは歴史家としてではなくフランス人としての個人的な発言です。

    これだけのウクライナ人が亡くなる必要はなかった

    ― トッドさんはウクライナ戦争の打開策として、フランスやドイツが「戦争から抜ける」ことを挙げていました。これは具体的にどのような意味なのでしょうか。

    トッド氏:フランスもドイツも大した武器は持ってないので、その提供をやめることは大きな観点になりません。私は基本的にドイツが最終的に決めることになるはずだと思っています。例えば米国のイラクへの侵攻のときに、ドイツとフランスは侵攻に反対しました。それもドイツが決めフランスが付いていくという流れでした。

     今のドイツは非常に迷っていて、間違えた道を歩み始めているようにも見受けられます。ただしドイツがいったん合理的な、現実的な観点に戻ってくれば、どうやって抜け出すか、その手段も見いだすだろうと思います。ドイツが決めたら、最終的には今、感情に突き動かされている欧州諸国もドイツに付いていくのではないかと。そこでドイツの首相が特に大きな政策を打ち出す必要もないと思います。ただ単に、「もうやめよう」とさえ言えば、米国中心のこの戦争のメカニズムが崩壊し、そこからは良い判断が次々となされるでしょう。ドイツは気がつくだけでいいのです。

     この戦争の真に悲劇的な側面というのは、それが不条理なもの、非常にばかげたものだという点です。そして、この戦争は簡単に避けることができたのです。ロシアはウクライナのNATO加盟を許容できないと言い続けてきました。そしてドンバス地方の自立やロシア語話者の権利などを要求していました。ウクライナ人たちがそれを認めていればこのような戦争は起きなかったはずです。

     この戦争の理由は非常に不条理ですが、同時にいったん始まると抜け出すのが非常に難しくなっています。ウクライナも米国政府もニヒリストになっていて、ポーランドもそうですし、バルト3国や英国もおそらくそうなっているからです。

     ただ、欧州連合(EU)の国々がある日突然、目を覚ますこともあると私は思っています。今の戦争は非常に現実的で、実際に建物が崩壊され人が死んでいますが、始まった理由が非常に不合理です。悪夢という状態なので、誰かが目を覚まさなければいけないと私は思うんです。とんでもなくばかげた話だと人々は気付くべきだと思います。

     ロシアの人口を見れば欧州を攻撃しようだなんて、そんな計画をロシアが描いていたはずがありません。だからこれだけのウクライナ人が亡くなる必要はなかったのです。そして欧州全体がロシアへの経済制裁のせいで貧困化していくというような事態は避けられるはずだったのです。だからこの状態は本当にひどいことだと思うのです。

    ロシアは米国の生徒だ

    ― 日本ではロシアのウクライナ侵攻に対して大きな懸念があります。ロシアの勝利を認めてしまうと、力によって領土を拡大することが世界的に認められかねません。そうすると例えば中国が力によって領土を拡大する恐れがあります。こうした考え方をどのように受け止めていますか。

    ・・・

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