プリズム

ひとりひとりがプリズムを持っている
だから 人の数だけ プリズムがある
人は自分のプリズムを通して現実を見る
プリズムはどれも違う

事実と呼ばれるひとつしかない現実は
プリズムによって違って見えるから
人の数だけある違った事実が
それぞれの目に映っている

違った事実を前にして
ひとつの現実を求める人たちが
抽象的な言葉で真実という幻想を作りあげ
その幻想を共に信じる

抽象的な言葉は 現実とは程遠く
プリズムを曇らせてしまうから
真実という幻想がプリズムを突き抜けて
人の心の中に忍び込んでくる

神という真実は 時に絶対的で
愛という真実は じつに頼りなく
科学という真実は 否定しづらく
イズムという真実は 人を対立させる

真実を求めたり信じたりしなければ
プリズムが曇ることはない
事実が違うことを怖れなければ
プリズムは柔らかくなる

人の事実を受け容れて
どんな真実も信じない
君を受け容れて
君を信じる

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