遺伝的多様性

私たち人間の社会性を例に考えてみましょう。全く同じ遺伝子で、同じ見た目・同じ性格・同じ能力…と全く同じ人々からなる集団は、どのように生活するでしょうか? 多様な個性の人々からなる集団に比べて、何か問題が起きても解決の選択肢が少なくなるでしょう。手に入れたい物が同じ故に争いも起こりやすいかもしれません。しかし実際の私たちの社会は、活動的な人・控えめな人・好奇心が強い人・保守的な人…など、さまざまな個性の人から成り立っています。このおかげで、私たちは多様な考え方から意見を出し合うことができ、それぞれの短所・長所を補いあうこともできます。つまり、遺伝子多様性は生き物のあらゆる可能性を広げ、同時にリスク対策を厚くしているのです。
遺伝的多様性は、より良い遺伝子を子孫に残すために、さまざまな個性の異性の中からパートナーを選んだり、トラブルに遭遇してもそれぞれの個体が多様な反応で対処したりすることにより、一様に死に絶えてしまうリスクを低減しています。また、遺伝的多様性は生き物の進化やその多様性を支えるものでもあります。たくさんの個性の中から、より環境に適した個体が生き残り、子孫を残すことが繰り返されることによって、その特徴が固定化され新たな種を生み出すなど、種多様性の豊かさにも深く関係しています。
遺伝的多様性が豊かな個体群の中では、その生き物の中でもよりその環境に適合した個体が子孫を残しやすくなります。より豊かなパートナーの選択肢の中から子孫を残すことができ、結果としてその環境で淘汰されるリスクを個体群全体として低減することができます。つまり遺伝的多様性は、その環境に生息する生き物の種全体としての適応力とも直結します。遺伝的多様性が豊かでたくさんの個性の異なる同種が存在すれば、環境の変化や突発的なトラブルが起こっても、それに適応できる個性を持った個体が生き残り絶滅から免れる確率を上げることができるのです。

One thought on “遺伝的多様性

  1. shinichi Post author

    遺伝的多様性とは?メリットと失われると困る理由、身近な事例を解説

    by 松本淳和

    https://spaceshipearth.jp/genetic-diversity/

    生物多様性とは

    生物多様性とは、その場所において生命の循環が継続していくために、生き物の種類、種類の中でも遺伝子の違い、さらには森・湿原・海などの環境が多様に存在し、互いに影響し合って成される個性のつながりです。

    生物多様性は
     ・生態系の多様性
     ・種の多様性
     ・遺伝的多様性
    で構成されています。

    生態系の多様性とは

    生き物と自然環境がお互いに影響しあいながら作る仕組み。エコシステム。生態系の多様性とは陸域・水域に始まり森・川・里山・湿地・海などが多様に生態系レベルでもつながり合い影響し合うこと。

    種の多様性とは

    同じ地域・場所などに生息する生物の中にさまざまな生物種が共存していること。

    遺伝的多様性とは

    遺伝的多様性(遺伝子の多様性)とは、同じ種でも形・色・模様・性格・生態などに多様な個性(個体差)があることからもわかるように、遺伝子に違いがあることです。人間をはじめ、ほとんどの生き物が同じ種の中でも遺伝的多様性から、さまざまな個性をもって生まれます。

    遺伝的多様性は
     ・遺伝子型の多様性(固体の遺伝子構成の多様性)
     ・遺伝子プールの多様性(個体群※の遺伝子構成の多様性)
    を合わせたものです。

    遺伝子型の多様性とは

    生物の遺伝子を構成する分子構造。

    遺伝子プールの多様性とは

    互いに繁殖可能な固体で構成された集団が持つ遺伝子の総体。個体群の選び方によって、さまざまな遺伝子プールを考えることができる。人の場合例えば、ヒト全体・日本人・特定の都道府県の人など。

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