3 thoughts on “顕微鏡

  1. shinichi Post author

    顕微鏡の種類や特徴を徹底解説!用途や顕微鏡選びのポイントも紹介

    スリーアールソリューション

    https://3rrr-btob.jp/archives/column/measuring-equipment/20597

    顕微鏡の基礎知識や観察できる大きさについて

    そもそも顕微鏡とは、光または電子の特性を活用して、観察対象を目で見える大きさの像にまで拡大する装置を指します。

    光の特性を使った顕微鏡を光学顕微鏡と呼び、電子の特性を利用した顕微鏡は電子顕微鏡と呼ばれています。

    光学顕微鏡は、1mmから0.2μm(マイクロメートル)まで観察できます。電子顕微鏡は、より小さい対象の0.2nm(ナノメートル)まで観察可能です。

    ※1μm(マイクロメートル)とは、1mmの/1/1000の大きさ。1nm(ナノメートル)は1μmの1/1000の大きさです。

    人間の肉眼では、およそ0.1mmほどの物体しか観察できないと考えられていますが、光学顕微鏡や電子顕微鏡を使えば、それよりも小さい物体を観察できるようになるのです。

    しかし、対象物を正確に観察するためには、観察対象によって適切な顕微鏡を使い分ける必要があります。

    また、顕微鏡の種類や特徴を把握することも必要です。

    光学顕微鏡にはいくつかの種類がありますので、用途と合わせて紹介していきます。

    光の特性を利用した顕微鏡(光学顕微鏡)の種類と用途

    光学顕微鏡とは、可視光線(目に見える光)を利用し、対象物を拡大して観察する顕微鏡です。

    可視光線の波長はおよそ400nmから700nmで、この波長が人の目で捉えられる限界だとされています。

    光学顕微鏡は以下の3種類あり、観察対象によって使い分けます。

    • ・実体顕微鏡
    • ・生物顕微鏡
    • ・金属顕微鏡

    それぞれの用途や特徴を確認しましょう。

    実体顕微鏡

    実体顕微鏡とは、人の肉眼でも確認できる物体を、さらに拡大して観察する際に利用する顕微鏡です。

    接眼レンズと観察対象の間にスペースができるため、サンプルをさまざまな角度から立体的に観察できるという特徴があります。

    例えば、昆虫や鉱物などの立体的なサンプルを、より詳しく観察したい場合は実体顕微鏡がおすすめです。

    ただし、実体顕微鏡は、生物顕微鏡や金属顕微鏡に比べて低倍率の観察しかできません。

    そのため、より観察対象を高倍率で観察したい場合は、生物顕微鏡などの他の顕微鏡と併用する必要があるでしょう。

    実体顕微鏡は、生物顕微鏡のように試料を使わず観察できたり光を透過させたりする必要がありません。準備から観察作業まで手間をかけずに調査できる点は、メリットといえるでしょう。

    生物顕微鏡

    生物顕微鏡は、実体顕微鏡よりも高倍率で観察できる顕微鏡です。

    アメーバなどの微生物や植物・生物の細胞など、人の肉眼では捉えられない対象も詳しく観察できます。

    観察方法は、植物や生物の生体組織の薄片などをプレパラート標本にして、光を透過させて観察する方式を採ります。

    すぐにでも観察できる実体顕微鏡に比べると手間はかかりますが、高倍率で観察できる点は生物顕微鏡の大きなメリットといえるでしょう。

    なお細胞や細菌は、培養溶液に入れた後に、光を透過させて観察します。

    金属顕微鏡

    金属顕微鏡は、光を透過させないサンプルを観察する際に用いる顕微鏡です。

    金属顕微鏡では、対物レンズから光がサンプルに向かって照射されます。そして物体に反射された光を観察します。

    金属顕微鏡の倍率は50倍から500倍。実体顕微鏡よりも高倍率で観察できるため、金属表面の微細な変化観察や半導体検査にまで活用できます。

    そのため、金属や合金などの分析・調査のほか、電子部品の製造といった精密な作業を行う現場に導入されているのです。

    電子の特性を利用した顕微鏡(電子顕微鏡)の種類と用途

    電子顕微鏡は、光(可視光線)ではなく電子の束(電子線)を使って対象の拡大像を得ています。

    先ほどの光学顕微鏡では、光よりも波長の短いものを観察しようとすると、像がぼやけてしまうという欠点がありました。

    その点電子は光よりも波長が短いため、光よりも高倍率の観察が可能になるのです。

    光学顕微鏡が約2,000倍まで拡大できるのに対して、電子顕微鏡は約100万倍まで拡大できるため、分子や原子といった目には見えない物質の観察が可能です。

    電子顕微鏡は、電子線を対象にあてたときに、電子線が透過するのか跳ね返るのかによって「透過型電子顕微鏡」と「走査型電子顕微鏡」に分かれます。

    透過型電子顕微鏡(TEM)

    透過型電子顕微鏡とは、物体を通り抜けた電子を使ってサンプルを観察する顕微鏡です。

    電子をサンプルにあてると、サンプルの構造や成分によって、透過した後の電子が変化します。

    観察対象を透過した電子を、専用の蛍光版にあててサンプルを観測するのが透過型電子顕微鏡です。

    サンプルを光る蛍光版にあてて透かして観察するため、観察対象を切片にする必要があります。その分観察対象の内部を確認できるため、微細な観察ができるというメリットがあります。

    走査型電子顕微鏡(SEM)

    走査型電子顕微鏡とは、サンプルの表面に電子を照射して跳ね返ってきた電子を検出する電子顕微鏡です。

    先ほどの透過型と異なり、電子がサンプルを透過しないため、サンプルの内部は確認できません。しかし、表面の微細な凹までを確認できるのが特徴です。

    例えば、走査型電子顕微鏡を使って細菌を観察した場合、細菌の形や大きさを立体的に確認できます。

    形で見分ける顕微鏡の種類

    顕微鏡は形によっても種類が異なります。

    • ・正立型顕微鏡
    • ・倒立型顕微鏡

    それぞれみていきましょう。

    正立型顕微鏡

    正立型顕微鏡とは、観察対象を上から観察するタイプの顕微鏡です。拡大像を得るために必要なレンズ(接眼レンズ、結像レンズ、対物レンズ)が、観察対象を載せるステージよりも上部に設置されています。

    小学校の理科の授業でも取り扱うため、誰もが知っているポピュラーな形かもしれません。

    正立型顕微鏡は、コンパクトサイズが多く、使用や保管にスペースを必要としないメリットがあります。

    一方、観察対象を載せるステージにサンプルが乗らないケースがある点はデメリットといえるでしょう。

    倒立型顕微鏡

    倒立型顕微鏡とは、観察対象を下から観察する顕微鏡です。先ほどの正立型顕微鏡とは、反対の方向からサンプルを観察します。

    観察者が上からレンズを覗き込む点は一緒ですが、観察対象を載せるステージよりも下にレンズが収納されている点が異なります。

    正立型顕微鏡よりも大きいサンプルをステージ上に設置できる点がメリットです。

    しかし、顕微鏡の本体サイズが大きいため、作業場所や保管場所に一定のスペースを確保する必要があります。

    顕微鏡の種類を選ぶ際のポイント

    顕微鏡選びを失敗させないために、以下の3つのポイントを押さえましょう。

    • ・観察対象に適切な倍率を選ぶ
    • ・接眼レンズの種類に注意する
    • ・照明の有無に気をつける

    それぞれ解説します。

    観察対象に適切な倍率を選ぶ

    顕微鏡を選ぶ際は、観察対象に適切な倍率の顕微鏡を選んでください。

    例えば、金属の断面や生物体の生体組織といった微細な対象を観察したい場合は、高倍率の顕微鏡が必要です。

    反対に、昆虫や鉱物といった目に見える対象を観察したい場合、倍率よりも観察対象を設置するスペースが重要になるでしょう。

    前者であれば生物顕微鏡や金属顕微鏡。後者であれば生体顕微鏡が適切な顕微鏡といえます。

    観察対象と観察内容にあわせて、適切な顕微鏡を選びましょう。

    接眼レンズの種類に注意する

    接眼レンズには、片目で見る「単眼レンズ」と両目で見る「複眼レンズ」の2種類があります。

    単眼レンズでは、常に片目で観察することになるため「目が疲れやすい」「両目が使えないため、立体的に物体を捉えにくい場合がある」といった欠点があります。

    また、観察が長時間に及ぶ場合、首や肩にも一定の負担がかかってしまうかもしれません。

    しかし、複眼レンズに比べて単眼レンズはレンズの枚数が少ないため、コスト削減につながるというメリットもあります。

    一方の複眼レンズは、両目で観察するタイプです。疲労が溜まりにくく、観察対象を立体的に捉えやすいといった点がメリットでしょう。

    そのため、長時間作業を行う現場に顕微鏡を導入する場合、複眼レンズの顕微鏡がおすすめです。

    照明の有無や照度に気をつける

    「照明がない」または「照明が暗い」顕微鏡を選ぶと、正確に観察できない可能性があります。

    光の透過によって拡大像を得る顕微鏡の場合、照明が暗いと対象の凹凸が見づらくなったり周囲との違いがわかりにくくなったりと、正確な観察がむずかしくなるのです。

    特に中古品の顕微鏡の導入を考えている方は、照明に欠陥はないかはもちろん、照明の照度にも気をつけてください。

    近年はLED電球を搭載した顕微鏡が流通しているため、LED電球を使った顕微鏡を中心に探すことをおすすめします。

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  2. shinichi Post author

    電子顕微鏡の原理

    by 内田稔

    https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/em/principle/

    概要

     電子顕微鏡は電子線を用いて測定対象物の拡大像を得ることができます。電子線は電磁波として見た場合、非常に波長の短い波ですので、光学顕微鏡などよりはるかに高い倍率での形態観察が可能となります。また、走査電子顕微鏡(SEM)においては、電子線を用いるため、焦点深度が非常に深い立体的な形態観察が可能なこと、数十倍~数万倍以上の広い倍率で観察可能なことが、多くの分野で有益な機能として用いられております。
    本編では、電子顕微鏡の位置付け、原理・特徴を透過電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)の二種類の電子顕微鏡を取り上げて解説致します。

    1. 電子顕微鏡とは

     観察手段には「肉眼」「光学顕微鏡」「電子顕微鏡」があります。分解能とは物と物を分離して観察できる最短の距離の事です。ヒトの目の分解能はおおよそ0.1 mmです。それ以上小さい物の観察には、「光学顕微鏡」や「電子顕微鏡」が使用されます。光学顕微鏡では、観察したい試料に光を当てて、像を拡大して観察するのに対して、電子顕微鏡では光の代りに電子線を試料に当てて、像を拡大して観察します。電子顕微鏡は物理や化学、生物から医学部門と大変幅広い分野に利用されています。
    電子顕微鏡の歴史は20 世紀初頭にまで遡ります。最初の電子顕微鏡は1932 年にドイツで開発されました。開発者はこの功績で後年「ノーベル物理学賞」を受賞しています。一方、日本では現在の大阪大学にて1940 年国産第一号の電子顕微鏡を完成させています。

    2.電子顕微鏡の特徴

     電子顕微鏡の光学顕微鏡に対するメリットは、倍率では無く分解能になります。光学顕微鏡でも写真の拡大や、高倍率の投影レンズを使用したりすれば、高倍率の画像が得られます。電子顕微鏡では光学顕微鏡の光(可視光線)の代りとして、電子線を用います。光学顕微鏡では、光(可視光線)の波長以下の対象物は見る事が出来ませんが、電子顕微鏡に用いる電子線の波長は光より遥かに「短い」ので、より小さな対象物を分離して見る事が出来ます。従って、電子顕微鏡は光学顕微鏡と比較して、遥かに高い分解能が得られます。

     また、電子顕微鏡では安定した電子線を作るために高性能な電源や、顕微鏡内を真空に保つ機構が必要で、光学顕微鏡と比較し大掛かりな構造となります。

    3.電子顕微鏡の原理

     現在の電子顕微鏡は、その用途や目的によって多種類に分類されますが、大きく「透過電子顕微鏡」と「走査電子顕微鏡」の2 種類に分けられます。

    (1) 透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy:TEM)

     透過電子顕微鏡は試料に電子線をあてて、それを透過してきた電子を拡大して観察する電子顕微鏡です。試料の構造や構成成分の違いにより、透過する電子の密度が変わります。これが顕微鏡像となります。試料を透過してきた電子線を中間レンズ等で拡大し、電子線によって光る蛍光板にあてて試料を観測します。試料を透かして観察するため、「透過電子顕微鏡」と呼ばれており、対象物を出来るだけ薄く切ったり、電子を透過する薄膜に対象物を塗ったりして観測します。透過電子顕微鏡の電子線を加速させる電圧を「加速電圧」と言いますが、加速電圧が300kV の時の電子線の波長は0.00197nm となります。光学顕微鏡で使用される可視光線の波長は400~800nm となり、電子線の波長がいかに短いか理解できます。透過電子顕微鏡の分解能は、この波長が短い(加速電圧が高い)ほど、高くなります。

    (2)走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy:SEM)

     走査電子顕微鏡は、真空中で細く絞った電子線で試料表面を走査し、その時試料から出てくる情報(信号)を検出してモニタ-上に試料表面の拡大像を表示する電子顕微鏡です。真空中で電子線を試料に照射すると、図5のように二次電子等が試料から放出されます。その他に試料からは反射電子や特性X線等も放出されます。走査電子顕微鏡では、主に二次電子または反射電子の信号を用いて像を表示します。二次電子は試料の表面近くから発生する電子で、それを検出して得られた像(二次電子像と言います)は試料の微細な凹凸を反映しています。一方、反射電子は試料を構成している原子に当たって跳ね返された電子で、反射電子の数は試料の組成(平均原子番号、結晶方位など)に依存します。従って、反射電子像は、試料の組成分布を反映した像となります。また、走査電子顕微鏡にX線検出器を装着して元素分析を行う事も可能です。走査電子顕微鏡は試料形状の観察だけでなく、その試料にどんな元素がどの程度含まれているかを調べるX線分析装置としても活用出来ます。

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