大塚隆一

中国の情報発信力が一段と高まっている。
。。。日本に駐在していた外国メディアは次々と拠点を中国に移しつつある。この結果、中国寄りの報道が増えていく恐れがある。政府は米紙ロサンゼルス・タイムスの尖閣報道が「中国側の主張に偏っている」と抗議したが、この記事も北京発だった。
一方で中国の国営メディアの海外進出は加速。中国語普及を図る国策機関「孔子学院」も急増している。
長期的に注視すべきなのは海外留学、特に米国留学の増加だろう。彼らが米国で築く人脈は日中の情報戦でボディーブローのように効いてくるかもしれない。
日本は南京虐殺といわゆる従軍看護婦をめぐる論争で苦い経験がある。
多くの欧米メディアは、南京の犠牲者は「30万人」、慰安婦は「性の奴隷」などとする中韓側の一方的な主張を歴史的事実と誤解して伝えるようになった。
国力が一段と増した中国との情報戦はさらに険しいものになっていくだろう。
。。。日本が国際法の尊重を訴え続けていくのはもちろん重要だが、中国のような大国を相手にした場合の限界は忘れない方がいい。
そして、鍵を握る情報発信では、あらゆる手立てを駆使し、国を挙げて取り組むことが必要になる。
この記事への意見

2 thoughts on “大塚隆一

  1. shinichi Post author

    尖閣問題と国際世論

    中国 宣伝力では日本圧倒

    大塚隆一

    讀賣新聞2012年10月3日

    野田首相は国連総会で初めて尖閣問題に触れ、日本の立場を訴えた。「言うべきことは言う」姿勢は国際世論を味方に付けるには不可欠だ。ただ、宣伝や情報発信では中国が日本を圧倒しつつある。正論や事実が通ると限らない国際政治の現実を忘れてはならない。

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  2. shinichi Post author

    原爆投下の正当性、米核不拡散担当特使が強調
    2007年7月4日
    読売新聞

    【ワシントン=大塚隆一】米国のロバート・ジョゼフ核不拡散担当特使(前国務次官)は3日、国務省で行った記者会見で、広島、長崎への原爆投下について、「さらに何百万人もの日本人が命を落としたであろう戦争を終わらせたという点に大半の歴史家は同意すると思う」と述べ、改めて正当性を強調した。

     原子力平和利用分野における米露協力に関する記者会見で、「原爆投下は技術の非常に無責任な利用だったと思う」と指摘されたのに反論した。

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