shinichi Post author04/08/2014 at 11:01 pm サブプライム再び!相場が進展中、ババ抜きゲームの注意点は? by 石原順 https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/opinion/fx/ishihara/0358.html ____________________________ 日銀の総資産 2014年7月20日現在264兆円 FRBの総資産 2014年7月23日現在4兆4107億ドル NYダウ(日足) 上段:21日ボリンジャーバンド / 下段:ストキャスティクス5.3.3 ____________________________ 現在の異常低金利とカネ余り状況では、大企業は低金利で簡単に社債を発行できる。米国では社債で調達した資金で自社株を買い戻す動きが顕著で、業績そのもののバブル、すなわち、<一株利益のバブル>が起きて米国株高を引き起こしている。 また、金融抑圧政策で国債金利が人為的に低く抑えられているので、運用難のなか、信用リスクを取りに行くジャンク債バブルが発生している。 ** 異常低金利が大きく反転すれば、現在の金融抑圧下の低ボラバブルが崩壊する懸念が出てくる。QEを止める以上、代わりの米国債の買い手を探さないといけないが、米銀が国債PKOの補完装置となるだろうとみられている。 「インフレなどで債務負担を実質的に減らす一方、金利の上昇を直接・間接な方法で抑え込む。そのために国内に国債の引き受け手をつくる」というのが米当局の方針ならば、銀行や年金も自己資本規制・ボルカールール・安定運用の名の下で、国債の引き受け手として組み込まれ、それ以外の収益機会を削られることになるというシナリオだ。 簡単に言うと、「米国の銀行が日本の銀行のようになる」というのがボルカールールの影響だろう。現在の米金利の低下は、当局の指導によって米国機関投資家の買いが続いている結果であるという声が多い。 ** 米国景気が本当に回復しているのなら、利上げの前にFRBのQE資産の縮小が行われて当然である。そんななかで、利上げの議論が行われているのは、本当は滑稽なことなのである。 「長期停滞(Secular Stagnation)とは潜在力を大幅に下回る水準の低成長、生産、雇用と、問題含みの低い実質金利が今後しばらく併存する可能性だ。今世紀に入ってから、米国の国内総生産(GDP)成長率は年平均1.8%を下回っている。目下の米経済は、ほんの数年前の2007年に潜在的な成長軌道とされた水準を約10%、額にして1兆6000億ドル以上も下回る水準で稼働している。しかもこれは、5年以上もマイナスの実質金利が続き、極端な金融緩和政策が行われる中での出来事だ」とローレンス・サマーズが語る<長期停滞>は、イエレンやスタンレー・フィッシャーも十分理解している。 ** 投機筋は利上げ催促相場で債券売り(金利上昇)を仕掛ける可能性がある。だが、今のすべてのバブル相場は異常低金利が支えているので、金利が上がればバブルポジションの巻き戻しが起こる可能性がある。日経ヴェリタスに載っていたが、銀行の別動隊である<シャドーバンキング>のポジションも膨らみすぎだ。 ジャンク債バブル、リートバブル、自動車ローンバブル等、異常低金利が全てのバブルを支えているなか、やはり目を凝らして見ておかなくてはならないのは、米国の金利の動向だろう。 ** 7月29日の日経新聞の1面には『高利回り債投資過熱』―「サブプライム」再び―というタイトルが踊っていた。日経新聞の1面に取り上げられているということは、注意すべきフェーズに入ってきたのかもしれない。 現在の動かない相場で儲けようとすれば、 レバレッジを掛ける 信用リスクを取りに行く のいずれかしかない。 「レバレッジを掛ける」という戦略は、日本でも<日経平均レバレッジETF>の売買が盛んになっているように、投機筋も個人も動かない相場に対して苦慮しているようだ。収益機会が乏しい中、これは当然の動きだろう。 「信用リスクを取りに行く」という動きはややバブル的である。低格付け国債やジャンク債のバブルなど自分には関係ないと言う投資家もいるが、米国のハイイールド債やレバレッジド・ローンは<毎月分配型投信>などを通じて、日本の個人投資家も積極的に買っている。FRBも異例の警告をしているが、ジャンク債バブルやリートバブルの動向には注意が必要だろう。 Reply ↓
shinichi Post author05/08/2014 at 7:48 am (sk) 「当局」が「協調」して「一斉」に「介入」して、それでみんなが良くなるのか悪くなるのか、それともどこかの誰かがババを掴まされるのか。 それぞれの「当局」は、わかってやっているのか、わからないけれど仕方なくやっているのか、それとも他に良い案がうかばないからか。 戦争を起こす以外に解決策がなくなれば、「当局」は平気で戦争を起こすのだろうけれど、このグローバルな環境では戦争すら起こせない。 アメリカにとっても、ヨーロッパにとっても、北朝鮮を理由にして東アジアで事を構えるのが一番の解決策なのだろうが、果たしてうまくいくかどうか。 なんだか変なところに向かっているのではないかという、嫌な感じが抜けない。 Reply ↓
サブプライム再び!相場が進展中、ババ抜きゲームの注意点は?
by 石原順
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/opinion/fx/ishihara/0358.html
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日銀の総資産 2014年7月20日現在264兆円
FRBの総資産 2014年7月23日現在4兆4107億ドル
NYダウ(日足) 上段:21日ボリンジャーバンド / 下段:ストキャスティクス5.3.3
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現在の異常低金利とカネ余り状況では、大企業は低金利で簡単に社債を発行できる。米国では社債で調達した資金で自社株を買い戻す動きが顕著で、業績そのもののバブル、すなわち、<一株利益のバブル>が起きて米国株高を引き起こしている。
また、金融抑圧政策で国債金利が人為的に低く抑えられているので、運用難のなか、信用リスクを取りに行くジャンク債バブルが発生している。
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異常低金利が大きく反転すれば、現在の金融抑圧下の低ボラバブルが崩壊する懸念が出てくる。QEを止める以上、代わりの米国債の買い手を探さないといけないが、米銀が国債PKOの補完装置となるだろうとみられている。
「インフレなどで債務負担を実質的に減らす一方、金利の上昇を直接・間接な方法で抑え込む。そのために国内に国債の引き受け手をつくる」というのが米当局の方針ならば、銀行や年金も自己資本規制・ボルカールール・安定運用の名の下で、国債の引き受け手として組み込まれ、それ以外の収益機会を削られることになるというシナリオだ。
簡単に言うと、「米国の銀行が日本の銀行のようになる」というのがボルカールールの影響だろう。現在の米金利の低下は、当局の指導によって米国機関投資家の買いが続いている結果であるという声が多い。
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米国景気が本当に回復しているのなら、利上げの前にFRBのQE資産の縮小が行われて当然である。そんななかで、利上げの議論が行われているのは、本当は滑稽なことなのである。
「長期停滞(Secular Stagnation)とは潜在力を大幅に下回る水準の低成長、生産、雇用と、問題含みの低い実質金利が今後しばらく併存する可能性だ。今世紀に入ってから、米国の国内総生産(GDP)成長率は年平均1.8%を下回っている。目下の米経済は、ほんの数年前の2007年に潜在的な成長軌道とされた水準を約10%、額にして1兆6000億ドル以上も下回る水準で稼働している。しかもこれは、5年以上もマイナスの実質金利が続き、極端な金融緩和政策が行われる中での出来事だ」とローレンス・サマーズが語る<長期停滞>は、イエレンやスタンレー・フィッシャーも十分理解している。
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投機筋は利上げ催促相場で債券売り(金利上昇)を仕掛ける可能性がある。だが、今のすべてのバブル相場は異常低金利が支えているので、金利が上がればバブルポジションの巻き戻しが起こる可能性がある。日経ヴェリタスに載っていたが、銀行の別動隊である<シャドーバンキング>のポジションも膨らみすぎだ。
ジャンク債バブル、リートバブル、自動車ローンバブル等、異常低金利が全てのバブルを支えているなか、やはり目を凝らして見ておかなくてはならないのは、米国の金利の動向だろう。
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7月29日の日経新聞の1面には『高利回り債投資過熱』―「サブプライム」再び―というタイトルが踊っていた。日経新聞の1面に取り上げられているということは、注意すべきフェーズに入ってきたのかもしれない。
現在の動かない相場で儲けようとすれば、
レバレッジを掛ける
信用リスクを取りに行く
のいずれかしかない。
「レバレッジを掛ける」という戦略は、日本でも<日経平均レバレッジETF>の売買が盛んになっているように、投機筋も個人も動かない相場に対して苦慮しているようだ。収益機会が乏しい中、これは当然の動きだろう。
「信用リスクを取りに行く」という動きはややバブル的である。低格付け国債やジャンク債のバブルなど自分には関係ないと言う投資家もいるが、米国のハイイールド債やレバレッジド・ローンは<毎月分配型投信>などを通じて、日本の個人投資家も積極的に買っている。FRBも異例の警告をしているが、ジャンク債バブルやリートバブルの動向には注意が必要だろう。
(sk)
「当局」が「協調」して「一斉」に「介入」して、それでみんなが良くなるのか悪くなるのか、それともどこかの誰かがババを掴まされるのか。
それぞれの「当局」は、わかってやっているのか、わからないけれど仕方なくやっているのか、それとも他に良い案がうかばないからか。
戦争を起こす以外に解決策がなくなれば、「当局」は平気で戦争を起こすのだろうけれど、このグローバルな環境では戦争すら起こせない。
アメリカにとっても、ヨーロッパにとっても、北朝鮮を理由にして東アジアで事を構えるのが一番の解決策なのだろうが、果たしてうまくいくかどうか。
なんだか変なところに向かっているのではないかという、嫌な感じが抜けない。