厚生労働省

医療等に関する情報に関する情報漏えい

  • 情報漏えいに関しては、明らかな故意によるものというより、外部持ち出し、誤操作など不注意による過失によるものが多いと考えられる。
  • さらに情報システム・ネットワーク上の情報漏えいについては、その事態に気づきにくいこと、大量に流失すること、情報が流出すれば回収がほとんど不可能であること、等の特徴があり、そのような情報漏えいによりもたらされる個人のプライバシー侵害から保護を図ることの重要性は増している。
  • 医療等に関する情報の機微性を踏まえれば、過失による漏えいであったとしても、その漏えいは故意に漏らした場合と異なるところはないと考えられるのではないか。
  • 一方で、過失による漏えいすべてについて罰則を設けることになれば、医療等の情報の利活用に対する萎縮につながる可能性があると考えられるのではないか。

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  1. shinichi Post author

    情報漏えいに対する罰則について

    厚生労働省

    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ec55-att/2r9852000002ecbg.pdf

    検討事項

    ○ 医療等に関する情報は一般に機微性の高い情報を含むものであり、その漏示は個人にとって著しい影響を及ぼすことが考えられる。

    ○ 医療等情報個別法においては、情報の保全管理を徹底し、国民の信頼を高めるためにも、量刑の引き上げとともに、故意・過失の取扱いについても検討してはどうか。


    (1)刑法上の故意・過失の取扱い

    ・ 刑法第 38 条第1項では、故意が無い行為は罰しないと規定されており、過失犯は特別の定めのある場合に例外として処罰されることとなっている。

    ・ 刑法上、過失犯を処罰する規定としては、失火など国民多数に影響を与える公共の利益に関する罪(116 条、117 条第 2 項、117 条の 2、122 条、129 条)や、重大な個人法益(生命・身体)に関する罪(210、211 条)がある。

    ・ 判例・通説的な立場として一般に、故意とは犯罪事実を認識・許容することを内容とする。また、過失とは、不注意により、犯罪事実の認識又は許容を欠いて一定の作為又は不作為をすることとされる。

    ・ 故意と過失の境界として、犯罪事実の実現は不確実であるが、それが実現されるかもしれないことを表象し、かつ、実現されることを許容する「未必の故意」と、犯罪事実の表象は持ったが、実現を許容しない「認識ある過失」がある。

    ・ 過失については、その不注意の程度によって重過失と軽過失に分かれる。

    ・ なお、行政刑罰については、明文の規定がなくとも過失による刑罰を認めた裁判例がある。

    (2)情報漏えいに関する過失に罰則を設けている例

    ・ 現行法令において、情報漏えいに関して過失による罰則を設けている例は少ないが、「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法」における防衛秘密の漏えいや「医師法」などの医療関係の資格法における試験問題の漏えい等に見られる。

    ・ 日米秘密保護法では、防衛秘密が漏れる損害からすれば、過失による漏えいであっても故意に漏らした場合と異なることがない観点から過失犯も処罰の対象とされている。

    ・ 医師法等については、国家試験制度全体の社会的信用を害する行為であるとの観点から重過失犯の処罰規定がおかれている。

    (3)医療等に関する情報に関する情報漏えい

    ・ 情報漏えいに関しては、明らかな故意によるものというより、外部持ち出し、誤操作など不注意による過失によるものが多いと考えられる。

    ・ さらに情報システム・ネットワーク上の情報漏えいについては、その事態に気づきにくいこと、大量に流失すること、情報が流出すれば回収がほとんど不可能であること、等の特徴があり、そのような情報漏えいによりもたらされる個人のプライバシー侵害から保護を図ることの重要性は増している。

    ・ 医療等に関する情報の機微性を踏まえれば、過失による漏えいであったとしても、その漏えいは故意に漏らした場合と異なるところはないと考えられるのではないか。

    ・ 一方で、過失による漏えいすべてについて罰則を設けることになれば、医療等の情報の利活用に対する萎縮につながる可能性があると考えられるのではないか。

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