shinichi Post author10/12/2019 at 6:32 pm 川マス by 緒方昇 夜のしらしら明けに 取水堰の落ち口の深みで 大型の川マスを一匹かけ つづいてヤマメを二匹釣ったので さらに上流へと場所を変えた 老人向きのやさしい渓流釣りを と 釣友の新設に誘われて私は来たのだ 車で送りつけ そのまま友は帰った なるほど街道沿いの流れはゆるく 足をとられる心配はない 陽はのぼり 魚信が遠のくと しきりに白泡の中の朝の魚影が思われる 〈このめえの日曜日に ここのところで孫息子が でっけえ川マスを三匹釣って いかくよろこんで工場さ帰ったけに まだまだいるずらよ 辛抱さっせえ〉 八十あまりの老媼が小声で寄ってきた しばらく傍にいたっけが つり人の私に遠慮して 洗いものを抱えて去る後ろ姿に 山林の気はたしかに存していた Reply ↓
shinichi Post author10/12/2019 at 6:45 pm (sk) 命の別名 by 中島みゆき https://kushima38.kagoyacloud.com/?p=49694 にどこか似ている。 Reply ↓
つりの道
釣魚名著シリーズ
by 緒方 昇
(1976)
川マス
by 緒方昇
夜のしらしら明けに
取水堰の落ち口の深みで
大型の川マスを一匹かけ
つづいてヤマメを二匹釣ったので
さらに上流へと場所を変えた
老人向きのやさしい渓流釣りを と
釣友の新設に誘われて私は来たのだ
車で送りつけ
そのまま友は帰った
なるほど街道沿いの流れはゆるく
足をとられる心配はない
陽はのぼり
魚信が遠のくと
しきりに白泡の中の朝の魚影が思われる
〈このめえの日曜日に
ここのところで孫息子が
でっけえ川マスを三匹釣って
いかくよろこんで工場さ帰ったけに
まだまだいるずらよ
辛抱さっせえ〉
八十あまりの老媼が小声で寄ってきた
しばらく傍にいたっけが
つり人の私に遠慮して
洗いものを抱えて去る後ろ姿に
山林の気はたしかに存していた
(sk)
命の別名
by 中島みゆき
https://kushima38.kagoyacloud.com/?p=49694
にどこか似ている。