>森鷗外

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南山の たたかひの日に
袖口の こがねのぼたん
ひとつおとしつ
その扣鈕惜し
べるりんの 都大路の
ぱつさあじゆ 電燈あをき
店にて買ひぬ
はたとせまへに
えぽれつと かがやきし友
こがね髪 ゆらぎし少女
はや老いにけん
死にもやしけん
はたとせの 身のうきしづみ
よろこびも かなしびも知る
袖のぼたんよ
かたはとなりぬ
ますらをの 玉と碎けし
ももちたり それも惜しけど
こも惜し扣鈕
身に添ふ扣鈕

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